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韓国の高速バスの改札に関する話

韓国に関する話が続いているが、今回も引き続き韓国のバスについての話題である。

・韓国の高速バスは乗車改札が自動化されている

韓国で高速バスに乗車しようとすると、運転手や地上係員などが改札を行っていない場合が多い。そして、そのようなバスでは乗降口扉を入った所に下の写真のような機械が設置されている。
この機械、実は高速バスの乗車用の自動改札機となっていて、乗客自身で機械の横にあるVの描かれたテーブル部に乗車券のQRコードを読み取らせることで乗車改札が行えるという優れものである。

高速バス乗降扉そばに設置された高速バス用の自動改札機。
機械右側のテーブルへ乗車券を乗せ、券面のQRコードをスキャンさせる

この自動改札システムは「E-Pass」と呼ばれており、韓国の全国高速バス事業運送組合の運用する「KOBUS」の予約システムと紐づけられて運用されている。
KOBUSのシステムについては、以前の記事にて取り上げているので、そちらを参照されたい。

KOBUSのシステムではバスターミナルで発券された乗車券のほか、高速バスモバイルというアプリで予約からデジタル乗車券の発券まで行えるようになっているが、デジタル乗車券のQRコードを読み取らせてバスに乗車することも可能だ。本当に便利である。

・改札状況は運転席上のモニターに表示される

このE-Passのシステムで改札された後、運転手はどのような形で改札状況を確認するのだろうか。
これはとても簡単で、始発地停車中は運転席上にあるバスの発着案内やその他の映像を流すためのモニターに予約情報が表示されるようになっている。
発車前に運転手がこれを確認して、改札された座席に乗客が着席しているかを確認すればよいのである。
さらにこのモニターでは予約済だが改札されていない座席も別途色分けして表示されるようになっているので、まだ乗車していない乗客も情報も確認できる。

運転席上にある液晶モニターに表示された予約情報の表示。
赤色で示された座席が改札済、水色で示された座席が予約済み改札の座席である。
最下部には改札済、予約済、空席の座席数も表示されている。

運転手はバスターミナル停車中に改札をする手間が省けるので、ホームに着車後はバスから降りて過ごしたり、トイレを済ませたりといった時間に回すこともできる。乗客側としても鉄道の自動改札に近く、使い勝手は悪くないシステムなので、とても合理的と言えるのではないか。

・E-Passは基本的に高速バス用のシステムで普及率はイマイチ

E-Passはとても合理的なシステムと言えるが、実は韓国のバスではそんなに普及率が高いものではない。
E-Passが運用されているのはあくまでも「KOBUS」のシステムで予約できる路線かつ機械が搭載されている事業者のバスに限られる。
このため、KOBUSのシステムを用いていない市外バスや、KOBUSのシステムで予約できる路線でも全国高速バス事業運送組合に加盟していない事業者のバスではE-Passのシステムは使用できず、運転手や地上係員が直接乗車券を拝見する。
主に運用されているのは錦湖高速、東洋高速、中央高速、東部高速、天一高速、韓一高速、三和高速、俗離山高速、以上の8社のバスなどだ。

また、上記の8事業者が繁忙期には「協定運行」という形で、提携している貸切バス事業者に増発便の運行を委託することがある。
こういったバスでは地上係員や運転手が直接乗車券を拝見している。

協定運行のバスの改札の様子。地上係員がQRコード読み取り機を持って改札している。

市外バスでもC-Passと呼ばれる同様の改札システムが徐々に普及してきており、スムーズな改札や運転手の負担軽減につながっている。
まだまだ普及率の高いシステムとは言えないが、E-Passの運用開始からまもなく10年という今日、こういった先進的なシステムがどのように普及、進歩していくのかも注目したい所だ。

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