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ヨーロッパ旅行を経て見えたもの

 日本を訪れる多くの外国人が日本人が横断歩道で整然と信号待ちをする姿を見て驚くという話を聞いた事はないだろうか。日本では大抵の歩行者が交通量や車の往来に関わらず大抵は赤信号で止まり青信号になるのを待つという動作を行う。驚くという事は海外では違うという事なのか、ヨーロッパ(オーストリア・イタリア・スペイン・フランス・ベルギー)を旅行した際に実際に見てきた事を紹介してみたい。

 結論から言うとやはり信号を守らない歩行者を日本より圧倒的に多く見かけた。無論交通量が非常に多い場所や、赤信号で飛び出す事がそのまま死に直結する場所や瞬間に飛び出す訳ではない。しかしいわゆるJaywalk.(交通規則を守らない横断)が当たり前で、隙きを見て渡る方が一般的な様子だった。

2017年にフランス通信社(AFP)が以下の様なニュースを報じている。

フランスでは歩行者の40%が信号無視、日本は2% ルール守る意識に差
https://www.afpbb.com/articles/-/3117931

また在バルセロナ日本国総領事館のホームページには以下の様な注意喚起の記載がある。

バルセロナ市内ではバイクの通行が非常に多く,自由奔放な運転が行われているので車との接触事故が非常に多く、また信号が青になる前の見切り発進や歩行者の信号無視も頻繁ですのでご注意ください。https://www.barcelona.es.emb-japan.go.jp/itpr_ja/menkyo_barcelona.html

 こういった情報やシェンゲン協定(検査の無い国境の往来)を考えるとヨーロッパでは歩行者が信号を守らない事は特に珍しくない光景といえる。

 ではそこら中で事故が多発するのかと言えばそういうわけでも無さそうだった。なぜならそういった事があり得る事がそもそもの前提として認識されており車に対して歩行者が絶対的に優先であるのは当たり前だからだ。

  逆に信号の無い片道一車線の様な道路(古い町並みを保存するヨーロッパでは良くある)で反対側に渡るために車の往来がとぎれることを歩道で待っていても日本の様に車が察して止まってくれることなど無い。そもそもの前提が歩行者は渡りたい時に勝手に飛び出すものだと思われているため、渡りたければその意思を示す必要がある様子だった。

 また、横断歩道の信号が変わるタイミングが非常に早い場所が多かったのも印象的だった。ちょっと早足でなければ渡りきれそうに無い様な場合も珍しく無い。これでは高齢者や歩行困難な者では渡りきれない可能性が高い。恐らくこれも前述の通り、歩行者が優先される事は当たり前という考え方と共通しているからだと思われる。つまり、高齢者や歩行困難な者がそうでは無い者と同じスピードで横断歩道を渡れないのは当然なため、それを待つ事もまた社会共通の倫理観として当然という考えなのではないだろうか。恐らく歴史や宗教観に由来したある程度の統一された倫理観が基準にあり、考えるまでも無い事については余計なルール化を避け社会全体で柔軟に対応している様な感じを全体的に受けた。

 杓子定規に考える事を前提に全体を細かく調整する日本の社会と、人間が柔軟に対応すれば良い部分は個々の判断と良心に任せるスタンスで調和を求める欧州の社会。どちらが良い悪いでは無く、文化の違いとして受け止めて行きたい。まれに「日本だったらこうはならない!」と憤慨している方を旅先で見かけるが、その土地において非常識なのは旅人側なのだから、ストレスと感じずそういった違いを考察し面白がる事をおすすめする。その方が何倍も旅を楽しめることウケアイだ。

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<ヨーロッパ旅行の動画公開中>
https://www.youtube.com/watch?v=nEZKFZfL8Fs&list=PLw9aIesq-Z_Qrz2bnP6_GeK_g9k9i51A4


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