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オンユアリップス

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自作のまとめです。かなり古いものもあります。
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#小説

ピンボールとドロップス

 夏生まれで、日にやけて、南国のフルーツが好きで、だからってあんまり陽気ではない。
 このあいだ雑貨店でひとめぼれして、宝石でも選ぶときみたいに恐る恐る買ったトロピカルフルーツドロップがスクバの中でカラカラ鳴る。ピンクはグァバ、みどりがキウイ、淡い黄色がパイン、オレンジがマンゴー。もうじき夏だから、飴が溶けてべたべたになる前に食べきらなくちゃ、と思うけど、もったいなくて、それに教室には友だちがいな

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習作:くらげ

——くらげだ。

平日の真昼間であっても、雨が降って、どうしようもなくふさぎ込むことはある。よりにもよってそういう日に、カーテン越しのひすい色の陽を浴びながら、長くひらひらと装飾的な触手を蠢かせ、くらげは浮かんでいた。
くらげというのは大昔は水中に住んでいて、比較的下等な——下等なというのは昨今どうも差別的な言い方だとして是正されつつあるのだが——単純な構造で生存する生物だったのだという。たいてい

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習作:ラズベリー

 (宇宙というのは、甘い匂いがするんだよ。)——

 彼の言葉が聞こえたような気がして、目を覚ます。枕もとを見ればAM 2:37とデジタル数字で表示される時刻、どうしてだか、これは、全くどこにも存在しえない時刻であるような気がした。まるで、宙に浮いた数字であるような。たとえば、時間というものが、完璧に敷き詰められているかのように見えるそのレールを外れてしまうことは、あるのだろうか。物理学をきちんと

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方舟に松明

 息を荒くしている目の前の人を、どこか冷静に眺めている。愉しんでいないわけではない。これから和くんとするのは、他のどんなことよりも愉しいこと、だ。彼の吐息からは仄りと、さっきふたりで飲んだ梅酒の匂いがする。見上げると、干しっぱなしの靴下がエアコンの呼気に揺れているのが目に入った。あつい吐息。シャンプーの甘い香りを感じながら、熱くなっているところを膝で軽くなぞってもてあそぶ。私の手首を握る手に力が入

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