見出し画像

光と遊ぶのが少し楽しくなってきた。

ライティング。
日本語に訳すなら個人的には「光による演出」だと思う。
演出するとは、光を「操る」、即ち意図をもって画角内の光を設計することで偶然性を可能な限り排除し、再現性とは言わないまでも計算された環境を作ることだと思う。
アマチュアとしてカメラを楽しむお気楽な身分としては、色々と遊びながら、回り道を許容しつつ自分が興味を持った順番で知識を広げていきたい。
今回の記事は、光の演出の第一歩としてストロボについて考える。


はじめに

前回の記事でストロボに興味を持った話を書いた。
その記事から繋がる内容なので、前回記事の大筋を書いておく。

とある人気写真作家の作品を見た。
ライティングにより被写体の魅力を存分に引き出した美しい作品。

RAW現像は万能ではないが、多少の光量の過不足を修正したり明・暗部を和らげたり、と一定の「手当て」ができる。本来ライティングにより場の構築を行うべきシーンでも、自宅でPCに向かい「力づくで」何とかしようとしていた(そもそもRAW現像では物理現象を変えることは出来ないので、ライティングとRAW現像は全く別物である)。

そんな私にとって上述の作家の作品は神の啓示だった。
正しき道へ進め。
そういう神の導きを感じた。

なお、私は仏教徒である。

買い物

やりたいことがあると物が必要になる。
クリップオン用のリフレクターを買った。
屋外においてクリップオンストロボをバウンスしたい。
内においても古い日本家屋など天井が有色だったり形状が複雑な場合でもバウンスしたい。
そういうモチベーションである。

このリフレクターを購入後、お試し撮影もせず、早速現場投入した。

後から考えると、日中にフラッシュを使う装備が出来てなかったな…という写真。
リフレクターやフラッシュの効果ではなく別の要因で写りの差が出ていると思う。
どちらもJPEG撮って出し。

正直なところ、機材はちゃんと使い方を把握してから現場に行くべし、という当たり前の結果になった。リフレクターを正しく使えているか疑問だし、ストロボについても人生で初めてマニュアルモードにした。これまでは専らTTLで使っていた。日中に使うにも準備が足りていなかった気がする。
撮影環境が、時が静かに流れる場所で良かった。
色々と試す時間的猶予があった。

さて、リフレクターの効果について学ばなければ、ということで自宅に戻り、試行錯誤を開始した。

わりと硬い光になってしまったが、なるほどこれならキャッチライトできそうだ。
でもWBオートではなかったはずだが色味が変わってしまった。
光量の変化によるものだろうか。
何となく硬い写りになった。
買ったリフレクターはこういうことも出来るものだった。
スヌートっていうらしい。
これは色々使えそうだぞ。

リフレクターについて試行を繰り返す中で、そもそも自分はストロボについて自身が満足できる程度に理解出来ていない事にもどかしさを感じた。
そこで今更ながらストロボという機材について気になっていたことを全て調べた。

ストロボ

本記事でなし崩し的に使っている(クリップオン)ストロボ(strobe)という名称は、他にも(内蔵/外付け)フラッシュやスピードライト等の呼称でも呼ばれる。どの呼称を使っても、カメラ界隈の住人はだいたい同じものを想像するという不思議な存在。
改めて明記すると、今回の話題はスタジオ据え付けのモノブロックではなくクリップオンストロボである。

ガイドナンバー

私が長年愛用しているLUMIX FL-360Lは、ガイドナンバー(以下GN)36のストロボである。このストロボは、私がまだOLYMPUSのマイクロフォーサーズ機を使用していた時代に天井バウンスという使い方を知り、「たまたま」中古で安く手に入ったから買ったものだ。GN36というスペックにこだわりは無かった。

一先ずパソコンでインターネットを立ち上げ、キーボードで「ガイドナンバー」と検索窓に叩き込む。
最上位にはNikonのHPが提示されたのでそちらのページを基に学ぶ。

ガイドナンバーが大きいほど、より遠くの被写体を適正露出で撮影できます。
式:ガイドナンバー(GN)=距離(m)×絞り値(F値)

デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - フラッシュ | Enjoyニコン | ニコンイメージング
https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/24/02.html

GNを言葉で定義すると、「特定の距離にある被写体を、特定の絞りで撮影したときに適正露出になるストロボ出力のこと」と理解した。
LUMIX FL-360LはGNが「36(ISO100 時)、12(ISO100、ワイドパネル使用時)」と書いてある。ISO感度が100の時に、例えばF5.6の場合GN36では大体6mまでの範囲で適正露出になる。
上記引用Webページの内容からは発展するが、露光時間は関係無い。ストロボ使用時のシャッター速度最大である同調速度に対しては、ストロボ発光時間が十分に短いために(長時間露光したとしても)被写体の露出は変わらない(ストロボの光が当たらない背景は露光時間により露出が変わる。また、ハイスピードシンクロについてはここでは割愛)。こちらのWebページは参考になった。

フラッシュモード

LUMIX FL-360Lが持つモード(フラッシュモード)は以下である。

  • TTL AUTO

  • AUTO

  • MANUAL

  • RC

  • FP TTL AUTO

  • FP MANUAL

  • SL AUTO

  • SL MANUAL

ストロボに関する用語としては、TTLが一番難易度が高そう(でかつ一番拍子抜け)な単語であるが、いくらでも説明が出てくるので省略するとして、この中でSL(スレーブモード)は大きく興味を引く。RC(ワイヤレスモード対応カメラで使えるワイヤレス制御モード)は説明書を読んでもあまりSLとの違い(ユーザ目線での嬉しさ)が感じられなかった(結局マスターの発光に同期するように読める)ので、見ないことにする。
SLは、多灯ライティングへの入り口になる。

スレーブモード

我が家には、親戚から預かっているCANONの420EXが存在することを思い出した。
SLモードで撮影してみよう。

LUMIX DC-S5にマニュアルモードのCANON 420EXを装着。
LUMIX FL-360LはSL MANUALに設定した。
S5のレリーズと同時に420EXが発光し、それを検知したFL-360L が発光している。

いとも簡単に実現できてしまった。
今までこのモードを使わなかったのが勿体なく感じる。
以下、お試しでSLモードを用いた多灯ライティングで遊んだ。

クリップオンのCANON 420EXは天井バウンスにした。
右はカメラ-被写体を基準に45°回転した位置にディフューザーを装着したLUMIX FL-360Lを配置。
配置したときのFL-360L の向きは被写体方向。
クリップオンのCANON 420EXは天井バウンスにした。
右はカメラ-被写体を基準に90°回転した位置にディフューザーを装着したLUMIX FL-360Lを配置。
配置したときのFL-360L の向きは被写体方向。

被写体をボディソープにすると、被写体自体の透過性も手伝ってか、天井バウンスだけの撮影に比べ撮れた写真の印象は明らかに異なる。

お買い物が楽しい

クリップオン用のリフレクターを買い使い方を検証をする中で、ストロボについて理解を深めるうちに多灯フラッシュにも手を出していた、というのが今回の顛末である。

多灯ライティングの世界に首を突っ込み、楽しさを実感したもののCANON 420EXは親戚にお返しする日が決まっている。また、様々な試みをする中でGN36というスペックのストロボは心もとないシーンがあることに気が付いた。いつ来るかも知れないTTLを使いたい場面のためにLUMIX FL-360Lは使い続けるとして、GN60クラスの高級なストロボが欲しくなってきた。
GN60級ストロボを購入するついでに、多灯ライティングするうえで演出の発展性を確保するために、ライトスタンドも購入したい。
夢(と財布の口)が広がる。

ノートの余白

心の声を記しておく。
結局スタンドを買うほど撮るのか、という不安がある。憧れが先走って使わない機材(ないしそれ以外のジャンル)を買ってしまうことにならないか、と心配になる。
また、今回の経験から、デジカメなら何度でも撮り直し追い込めるため、(準)静的な環境ではストロボの設定を積極的にマニュアルにしていきたいと思った。意図した撮影をし易いと感じる。

最後にもう一点。
LUMIX(Panasonic)は、ストロボについてやる気があるのだろうか。
数年間、LUMIXのストロボのラインナップを注視しているが、FL-360L亡き今、まともに使えそうなものはFL-580Lのみだ。
でもRCモードはイマイチ「ワイヤレス」の恩恵を感じない。
そもそもLUMIXのページの商品一覧には、ストロボは無い。
「LUMIX エコシステム」にNissinやGodoxが含まれている(ソースはこちら)し、このままストロボは社外製に一任してしまうのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?