見出し画像

温泉に行ったよ日記

9月頭、友人から連絡が入った。
以前から暖めていた“温泉で旧友と再会”計画を今こそ実行に移そうというもの。
度重なる残業で肩や腰が悲鳴を上げている私。
すぐにその気になり、先週、温泉旅行に行ってきた。
メンバーは4人。私と友人Aは関西在住、友人BとB夫は関東在住だ。普段離れて生活しているのに付き合いが続いているのは、ひとえにネット環境とSNSの恩恵、そして筆まめな友人達の愛情によるものだ。

特急電車に揺られて2時間半、互いに朝に弱く、当然のように朝食を食べ損ねた私とAは、切ない声をあげる胃をさすりながら下呂駅に降り立った。
B達はすでに到着していた。年単位で久しぶりに会ったのに、普段から交流しているからか、感動もこれと言ってなく、ぬるっとした合流だった。これもSNSあるあるだろうが、友人を近くに感じられるのはいいことだ。 

下呂グルメ

到着した日の昼食は、温泉街で食べ歩きと洒落込むことにした。
旅行に来てまで体重を気にするなんてナンセンスということで、手当たり次第に目についたものを食べる我々。
屋台で売っていた飛騨牛の串焼き、温泉まんじゅう、行列ができているお店の肉寿司とソーセージ、やたら可愛い瓶詰めのプリン、ソフトクリームなどなど。
食欲が勝ってほとんど写真を撮らなかったのが悔やまれるが、どれも美味しかった。
食べては足湯に浸かり、歩き、また食べては足湯に浸かる。だんだんお腹がいっぱいになってきても、まだ食べたいものがある。古代ローマの美食家に倣うわけにもいかず、令和の日本人は温泉街の誘惑を振り切ってホテルへ向かった。

旅館、それは風情

一泊朝食付きのその旅館は、新しくはないが掃除が行き届いており、部屋からの眺めも良かった。
部屋に備え付けの急須でお茶を入れ、茶菓子をつまむ。
夕食までに時間があれば温泉に浸かるぞ!と意気込んでいたのだが、ひんやり冷たい畳の感触が心地よく、旅の疲れも伴って、「もう一歩も動かん…」状態に。ふと見ると、Aものんびりとスマホをいじっていた。どんなに浮かれていても、旅館の部屋の前では地蔵のように落ち着いてしまうのだから、これは一種の魔法だと思う。
その後は夕食まで、Bたち夫婦が持ってきてくれたテーブルゲームに興じた。アズールというタイトルのもので、カラフルなタイルが綺麗だった。これが頭を使うゲームで、慣れてくるとなかなか面白かった。もう一回やりたい。

夕食は近くの居酒屋を予約していた。そこで飲んだ地酒の「天領」がとても美味しくて、絶対にお土産に買って帰ることを決めた。
他にもいろいろと頼み、好きなだけ飲み食いをしたのだが、偏食強めのB夫ががんとして野菜を食べないのが面白かった。なお彼にとっての「野菜」は葉物野菜全般と根菜の一部、海藻とキノコも苦手なのだという。
思えばBたちと出会ってから10年以上になるが、当時(結婚前)からBは、なんとか彼に野菜を食べさせようと、にんじんをすりおろしてポタージュにしてみたり、涙ぐましい努力をしていたものだ。煽りでもなんでも無く、私はそこまで他人に尽くすことが出来ないので、そんなBを心の底から尊敬している。やっぱり他人に尽くす喜びを知らないと結婚はできないのだろうか。しかし特に結婚したいとも思ってないというかもにょもにょ。脱線したので話を戻します。

ホテルに戻り、少し酔いを覚ましてから、満を辞して温泉へ。泉質はマイルドで、サラサラしたお湯だった。
普通に浴槽にお湯を張って浸かるのとは明らかにちがうリラックス感。気持ちの問題なのか、やはりお湯に溶け込んでいる成分の効能なのか。私はサウナが苦手なので、水風呂とを行き来することはしなかったが、内湯と露天風呂と檜風呂に浸かり、これが「整う」というやつか、と得心がいく思いだった。女3人、心なしか肌もつやつやになって満足顔で浴場を後にした。
思えば「温泉」に入ったのはかなり久しぶりで、それこそ10年近くの時間が経っていたかもしれない。銭湯なら時々行くこともあったが、やはり満足感が違った。電車に揺られ、一日歩き回った身体の疲れも癒えたようだ。時々「湯治」をしないといけないな、と思うなどした。

幸せは旅館の和朝食の形をしている

その後深夜までパーティーゲームに興じた我々だったが、朝食を予約している関係で、8時半にはぱっちり目を覚まし、いそいそと食堂に向かった。
旅館の和朝食というのは、どうしてこう魅力的なのだろう。
つやつやと粒の立った白ごはんに、お味噌汁、とりどりの小鉢。海から遠い地域らしく、山の幸のおかずが多い。(B夫はどうしたかな…と一瞬脳裏をよぎったが、案の定食べられるものだけを食べた模様)
そしてここの朝食のメインは固形燃料で温められて出てくる朴葉味噌だ。少し焦げ目のついた香ばしい香りが漂う甘い味噌をご飯に乗せて口に入れると、顎に力が入り、じゅわっと唾液が溢れてくる。なるほど朴葉味噌ねーなるほどねーこれは美味しいわ。お土産決定。
常々思うのだが、旅館の朝食はご飯のお供がたくさんあるのに対して、お茶碗一杯によそえる白米の量が少なすぎる。結局、お代わり用にと置いてもらったお櫃のお米をあらかた食べ尽くしてしまった。しばらく体重計は見ないので大丈夫だ。

御嶽山とVtuber

チェックアウト後、うっかり転んで足を捻ってしまい、あまり歩けなくなってしまった。(帰宅してから医者に診てもらったら全治3週間とのこと。南無…)
もともと予定も特に決まっていなかったので、患部を氷で冷やしつつ、B夫の運転で御嶽山のドライブに行くことに。トラブルに柔軟に対応してくれる友人たちに頭が上がらない。
がんだて公園の絶景や、雄大な自然を見て心癒された。足は痛いが気持ちは軽い。
カーステレオからは、B夫婦の好きなVtuberの曲が流れ続けている。私はVtuberのことは全くと言っていいほど知らないのだが、今時のVtuberは、トークができるだけで無く、歌ったり踊ったりできなければいけないらしい。なんと厳しい世界なことか。にじさんじ、ホロライブといった単語の意味も教えてもらい、少し今時の流行りに詳しくなった気がする。Vtuberについて色々教えてもらううち、私も自分の贔屓のタカラジェンヌの話を披露しようかと思ったが、「好き」を遮らずに好きなだけ聞いてもらえることの幸せを知っているので、自制した私は少し大人になったと思う。
おしゃべりしたり、景色を眺めたり、歌を歌ったりしながらドライブはあっという間に終わった。
そしてその夕方、私たちは解散した。


また2時間半電車に揺られて、京都駅に帰ってくると、人でいっぱいの駅構内がわずらわしくも懐かしい。吸い込んだ空気は慣れ親しんだ匂いがして、やっぱりここが私のホームタウンなのだと思った。
いつもの地元の良さまで発見できる、旅行とはかくあるべしである。

以上、オチのない旅行の備忘録および日記でした。
また行きたいなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?