学生時代にいた華やかな女子の話

 先日、引きこもりがちな私がめずらしく会合に参加しました。30代~50代くらいの老若(?)男女が10人ほど集まり、事業に関する相談やワークショップをしました。私は初めて参加したので、全員初対面でしたが、私ともう一人の女性以外は、お互い既に知っている方のようでした。

 初めての場で、普段ひきこもりがちな私は、とても緊張して静かにじっと周りの様子をうかがっていたのですが、もう一人の女性(Aさん)は、Aさんのお子さんの話で主催者の男性の方と談笑していたり、隣に座った男性の方から話しかけられて、何やら話をしているようでした。

 そうこうしているうちにワークショップが始まりました。頭をつかったり、参加者同士で話をするワークがあったり、課題に集中していくうちに、だんだん緊張がほぐれ、午前の最後くらいに、私もやっと隣の人と笑いあったりする余裕が出てきました。

 お昼の時間になり、あらかじめコンビニで買ったおにぎりを食べようと、自分の席でバッグから取り出すと、Aさんが「ご一緒にいかがですか?」と声をかけてくれました。ひとりで食べることに抵抗があったわけではないですが、せっかく声をかけてくださったので、(ありがたいわ~)と思いながら、おにぎりを持ってAさんのところへ行きました。隣の席の男性と近くの女性3人も一緒でした。

 話は男性を中心に繰り広げられていました。その男性は初参加のAさんにあれこれ質問をしたり、自分の現状を話したり、他の3人の女性も初参加のAさんの話に聞き入って、時々考えを話したりしていました。その時になって私は(Aさんは初参加だからいろいろ聞かれているんではなくて、Aさんだからなんだ)と気づきました。そこからは、自分から話すのも(まあいっか)という気持ちになり、ずっと聞き役にまわっていました。

 午後のワークが始まると、Aさんはさらに緊張がほぐれた様子で、あれこれ話をしていました。生き生きとした姿は、「大輪の花」のようだなと思いました。

 それでふと思い出したのです。中高時代クラスにいた華やかで目立つ女子のことを。誰もが目を見張る美人とかではないのですが、男子から人気があって、いつも周りに男女問わず何人かがいる。大勢に囲まれた中心にいて、笑顔で「も~。だって〇〇なんだもん~」と言いながら、周りのみんながその子の反応を気にして、言葉をかけ、態度を返す、という記憶の映像が。

 学生時代、私は全く離れた位置にいて完全に傍観しているだけでしたが、その子のことを悪く言う女子もいました。「あの子ぶりっこだよね~」「男子に媚びてる」。当時はその意見に、私も心の中で賛同していました。たぶんうらやましい気持ちがあったのだと思います。若い女の子なんて、ほとんどの子がみんなに注目されたいと思っているでしょう。私もそのうちのひとりでした。でも、どんなに誰が悪口を言おうと、卒業までその子の位置は変わることはありませんでした。

 先日の会合であったAさんは、きっと学生時代そういう人だったのでしょう。もちろんぶりっこしているわけでもなく、男性に媚びているわけでもない。ただ普段通りの自分のまま、周りの人に接しているだけで、周りに人が寄ってくる。その中心で笑顔で話をしている。それだけでした。

 はぁ~。こういう人間がいるんだな~。

 というのが、あの学生時代から20数年を経た私の感想でした。今の私は誰からも注目されたくないので、冷静な目で見られた結果でしょう。

「大輪の花」のようではない人だって、その人なりの魅力があるのだから、心配しなくていいんだよ。もっと本当の自分に合った魅力を伸ばす方向で努力するといいよ。って、学生時代の私に教えてあげたいです。

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