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脱毛


抗がん剤は毛髪を作る細胞にも影響を与えてしまいます。そのため、治療を始めると髪の毛が抜けてします患者様もいらっしゃいます。時には眉毛やまつ毛、陰毛などの体毛が抜けてしまうこともありますが、多くの場合は治療が終われば、3か月ほどで再び髪が生え始め、個人差もありますが、半年〜1年くらいで生えそろってきます。しかしすべての方がもとの状態に戻るということではありません。また新しく生えてくる髪の色や質が以前と違っていることもあります。

【発現時期】
抗がん剤投与後10日ごろから脱毛し始め、3週間後には脱毛が目立つようになります。

【毛髪のサイクル】
毛髪が成長する時期を成長期といい、2〜6年たつと毛球が委縮して退行期に入ります。
約2週間の退行期を経て休止期になると、毛髪が抜けやすい状態になります。毛髪は、この周期(毛周期)を繰り返します。ところが、抗がん剤によって成長期毛母細胞の細胞分裂が抑制されると、毛球が編成壊死を起こして脱毛を起こすようになります。毛周期は体の部位によって異なります。

【脱毛のメカニズム】
頭皮毛器官は、ほかの部位の毛器官より生物学的活性が著しく高いために、抗がん剤による副作用を受けやすいです。抗がん剤治療をすると必ず脱毛するわけではありません。
抗がん剤の種類や投与量、薬の組み合わせ、患者さんの身体状態によって、脱毛の程度は異なります。

【セルフケアポイント】
・治療が始まる前に、髪を短くカットしておくとよいでしょう。(バリカンなどで剃ってしまうと、短すぎる髪が抜けた時に、首や服の中に入ってチクチクすることがありますので、気を付けてください。少しは長さをもってカットするのをオススメします。)
・ウィッグや帽子、スカーフ、バンダナなどを利用しましょう。(ウィッグは事前から情報を集めて準備しておくと気持ちに余裕ができます。
・ブラッシングは、柔らかく目の粗いブラシを使いましょう。
・刺激の少ないシャンプーを使い、爪を立てずにやさしく洗いましょう。
・髪の清潔を保ちましょう。脱毛を恐れて洗髪しないことから、好中球が減少する時期に毛嚢炎を起こす恐れがあります。
・頭皮も抗がん剤投与により脆弱化するため、こすりすぎないようにブラッシングはやさしく行いましょう。
・抜け毛が多いときは、使い捨ての不織布帽子などを使用するのが便利です。
・外見の変化の相談にのってくれるケアセンターが増えてきていますので、活用するとよいでしょう。
・まつ毛や眉毛の脱毛に対しては、これまでの化粧の方法をもとに、どのように対応するか考えておきましょう。
・つけまつ毛やつけ眉毛なども使用できます。
・まつ毛や鼻毛の脱毛では、ほこりなどの異物で眼球や鼻腔粘膜を傷つけてしまうおそれがあるため、外出時は眼鏡やサングラス、マスクなど着用するとよいでしょう。
・脱毛した髪の毛が衣服についたときに目立たないように、脱毛が多いときには頭髪の色に近い衣服を着用するのもよいでしょう。
・脱毛後に脱毛前の容姿に近いイメージをつくれるように、自分の顔写真をとっておくこともよいでしょう。

※参考・引用文献
ナツメ社:がん化学療法のケア
学研:乳がん患者のケア パーフェクトブック
エーザイ株式会社:ドセタキセル・シクロホスファミド療法をうけられる方へ

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