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爪の変化


抗がん剤は、爪をつくる細胞にも障害を引き起こします。
爪が黒く変色したり、ひどい場合にははがれることもあります。
また、爪がもろくなっているので、洋服などに引っ掛けただけで、めくれてしまう場合があります。
治療が終われば元にもどりますが、爪が完全に戻るまでは半年〜1年くらいかかります。

また、がん薬物治療に伴う爪の変化は、細菌性爪囲炎などの合併症をきたすことがあります。

【爪の変化を生じる薬剤】
爪の変化が生じやすい薬剤の1つに、タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセルなど)があります。爪甲内に紅色を帯び、その後褐色を帯びる。爪甲は次第に肥厚し、色調は黄色ないし黄褐色を帯びる。さらに、爪甲は抹消部から剥離し、爪としての機能を失う場合もある。
分子標的薬も爪の変化を伴う場合がある。急激な変化を伴うことは少ないものの、EGFR阻害薬をはじめとする薬剤は、次第に爪甲の菲薄化を促すことがある。爪の先端が欠けたり、張りがなったりすることで、爪の変化を自覚することが多い。


カペシタビンなどの手足症候群の原因になる薬剤を使用している場合には、手足症候群が重症化すると、皮疹が爪囲なで及ぶことがある。この結果、爪甲が影響を受け、重症の場合は脱落することがある。

【セルフケアポイント】
・爪はやすりで整え、清潔にしておきましょう。
・爪の乾燥を防ぐために、ハンドクリームやキューティクルオイルで保湿しましょう。
・爪の変色に対するカモフラージュとして、ネイルカラーを塗布してカバーするのもよいでしょう。
・マニキュアを使う場合は除光液に注意が必要です。
(近年販売されている除光液は、保湿・保護成分が配合されているものが多いため、一般的な使用の際でも爪甲を過度に乾燥させる心配は少ないと思われますが、その成分は少量であるため、過度に期待せず、ハンドクリームやオイルなどを併用するようにしましょう。除光液を必要としない水溶性ネイルカラーという製品も販売されています。)
・マニキュアは週に1度は落として、爪の状態を確認しましょう。
・爪甲が著しく変形し、人前で手を出しにくいような場合、ネイルチップをもちいてカバーできます。
・硬化性樹脂を用いたアクリルネイルやジェルネイルは勧められません。


【参考書籍。パンフレット】
エーザイ株式会社:ドセタキセル・シクロホスファミド療法を受けられる方へ
南山堂:がん患者のアピアランスケア

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