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花の絵を描くことは。#1

永遠に枯れない、花束をつくること。



いつか誰かが言った「わたし、花束って苦手なんです。どうしていいかわからなくて」という言葉が、ずっと心に残っていました。

感謝、祝福、告白、愛情表現。いろんな形の想いを載せて贈られる花束は、いつか必ず、枯れてしまう。それでも、ひとはときどき、誰かに花をあげたくなる。

自分のために花を買いたくなることもあります。花を摘みたくなることもあります。自分へのエールだったり、ただ美しいものを手に入れたい想いだったり。

そして、やっぱりその花はいつか枯れます。


大好きなアーティストの湯木慧さんは、ファンがくれた花束をドライフラワーにして飾っていました。

私が大学を卒業するときに後輩にもらった花束も、青く美しい花がたくさん入っていてとても嬉しかったので、今でもドライフラワーにして部屋に飾ってあります。


でも、それは、「大切なひとつ」だけがもらえる、最上級の返礼でしかない。


ひとはもっと気軽に、愛情を誰かに渡していいし、そこに躊躇いは不要であるべきです。


いつか枯れてしまう花をあげることに意味があるという人もいるでしょう。どうしても生花をあげたいと思う人もあるでしょう。そういうときは人生で何度もあります。

それでも、その時よりもほかに、誰かに花をあげたいとおもったときに。

そのために、「花の絵」がある。

永遠に枯れず、一ミリの隙間さえあればしまいこんでおける「花束」。

花の絵を誰かにあげることは、永遠に枯れない花束をあげること。

花の絵を描くことは、いつでも持ち歩ける花束をつくること。

そう思って、毎日、花の絵を描いています。

花屋が客の想いに応えて花束をつくるように、

わたしも、誰かの想いのために花束をつくりたい。

そんな、「花の絵を描くひと」になりたいと思います。

そんななか、昨日から、わたしは自分の手帳の表紙を描いています。無印良品のシンプルな手帳の表紙です。

これは、自分のための花束。自分が好きな花だけ、自分の思い出がある花だけを集めた、いつでも持ち歩けていつでも眺められる花束です。

そんなふうに、人の人生の傍らに、いつも花があったら。

きっともっと、ひとは愛情を誰かに伝えることができて、もっと、誰かを大切にできるのではないかなと思います。

画材やアートの材料やモデルのお花をもとめています…