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私はベレー帽が似合う

私はベレー帽が似合う。自分で言い切れる。

他の帽子は似合わない。永沢君の通学帽くらい似合わない。

あ、でも麦わら帽子と女優帽も似合う。何故かマダム感が強めなものが似合う。でもこの二者は日よけには長けているが、汎用性は著しく低い。

ということで、秋冬限定でベレー帽をかぶる。しかも似合う。

あまりにずっと被っているので、私=ベレー帽というイメージを持つ友達も多い。もう頭から直に生えている説さえある。

私がベレー帽をかぶる理由
①暖かい。
言葉の通り。被ると暖かい。頭が暖かいのはこんなにいいことか、とシーズン初め、必ず感心する。
②他の帽子に比べ、室内で被っていても違和感がない。
帽子を被ったら髪がぺしゃんこになるので、一度被ったらその日は脱帽しない覚悟の私にとってベレー帽はありがたい。
③プリン隠しになる
美容室に行くのが面倒であっという間にプリンを作ってしまう私に帽子は持ってこい。これは他の帽子でも同じことだが、他のものは似合わない。
④前髪が決まらない時ねじ込める
③同様、美容室から足が遠のくことで、残念過ぎる前髪になり手も足も出ないそんな朝、サッとベレー帽に前髪をねじ込んでおでこ全開で一発解決。

という感じで、多分どれもこれも全く意外性のない理由で私はベレー帽を愛用し続けている。

頭上にチョンと波平さんの髪みたいなのが1本生えているのは好きじゃない。何もついてなくて、黒で、カチッとしていない柔らかめの素材で、大きめのサイズ感のものがいい。顔や頭が大きいので素材、サイズ感は大事だ。

もう何年も前、波平以外は完全に私の掲げる理想とドンピシャな品をアウトレットモールで発見、以降、長い間愛用した。紛れもなく私の身体の一部だった。(波平の毛は寝ていたのでぎりぎりOKということにした。)


恥ずかしながら、そのベレー帽は洗うことなく何年も着用していた。帽子は洗うものなのか?よく分かっていない。が、④の通り、前髪をねじ込む段でどうしてもファンデーションがついてしまうことがあり、薄ら汚れていくのを少しずつ見逃せなくなっていた。

ふと「洗おう」と思ってからは早かった。フェルトというのかあの独特の素材。洗濯機で回したらダメだろうなとなんとなく思い、おしゃれ着洗剤で手洗いして干したら、普通に縮んだ。


正直、黒い塊だし、気のせいかも?と思って被ったけど、明らかに小さい。なんだかバランスがおかしい。

大ショックだった。身体の一部、苦楽を共にしたベレー帽(さすがに言い過ぎ)をこんな形でダメにしてしまう日が来るなんて思いもしなかった。


そこからベレー帽探しの日々が始まった。

シンプル過ぎるものは一周回って意外となくて、一癖あったり、カチッとした素材や形のものが多く、なかなか気に入るものに出会えなかった。

そんなときGUでまさに理想通りのシンプルベレー帽を見つけた。1,000円するかしないか。そんな激安で理想が手に入るとは。まさに灯台下暗し。

しかし、これだけいつも着用するんだからGUは繋ぎで、今後も探し続けようと、何ともGUに失礼な思いで購入した。

それから数年、まだそのGUが一軍の四番でピッチャーでキャプテンだ。最初は、初代との違いを想って多少の違和感も覚えたが、もう今や二代目・私の身体の一部だ。頭から直に生えている。


あまりに似合い過ぎるので、初対面の人(主にナンパ的なやつ)に「お仕事、画家か漫画家ですか?」って言われるくらいだ。

冗談の種類として昭和過ぎるし、普通にベレー帽被っているだけで知らない不特定多数の人からこんな何度も言われた経験あります?なくないですか?

もはや最後には「はい、漫画家です」って真顔で答えることにした。


ベレー帽でスカートだった日、母が「餃子ちゃんジャイ子じゃん!」と涙を流しながら爆笑していた。


画家か漫画家に見える程、ジャイ子に見える程、私はベレー帽が似合う。

自分で言い切れる。


おわり

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