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ド文系社会人が人工知能研究室に入り、修士号をとるまでの2年間の歩み

はじめに

このたび、無事に筑波大学 大学院 ビジネス科学研究科 経営システム科学専攻(GSSM)を修了することができました。
この記事では、タイトルの通り文系出身者かつ社会人の私がどのように人工知能の世界に入り学位を取得するまでについて書いています。
私と同じように「文系バックグラウンドだけど人工知能に興味がある」あるいは「GSSMってどんな大学院か知りたい」「社会人だけど大学院行きたい」といった方の参考になればいいなと思っています。

入学のきっかけ

私は、学部では外国語を専攻していたため、理系科目の知識は高校生レベルで止まっていました。
しかし、昔から漠然と理系への憧れがあり、いつかは勉強してみたいと思っていました。
また、私は会社で営業をしているのですが、その製品に機械学習が搭載されたこともあり、特に「機械学習」「人工知能」といったキーワードに惹かれるようになっていきます。
そんな中、古い友人から背中を押されたことも相まって、真剣に大学院に入学して勉強し直すことを考え始めました。

なぜGSSM?


数ある社会人向けの大学院の中でGSSMを選んだ理由は、主に以下の3点です。
1. 社会人限定のため(自分に)言い訳ができない
2. 学びたいものだけを選んで学ぶことができる
3. バックグラウンドを問われない

1. 社会人限定のため(自分に)言い訳ができない
社会人を受け入れている大学は他にもたくさんありますが、社会人限定か社会人も受け入れているかの違いは大きいかなと思います。
学生がいる環境だとどうしても、研究の進捗の遅れを仕事のせいにしてしまいがちです。
その点、社会人しかいない環境だとみんな状況は同じなので言い訳ができず、自分をとことん追い込めていいな、と思いました。

2. 学びたいものだけを選んで学ぶことができる
GSSM では、「戦略・組織」,「マーケティング」,「会計」、「ファイナンス」、「オペレーションズ・マネジメント」、「統計」,「知識・情報技術」,「システム・ソフトウェア開発」の8つの分野の授業が提供されており、それぞれの分野に精通した教授陣がいます。
普通のMBAだと、最低限基礎科目は全分野やらないといけないことが多いのですが、GSSMでは興味のある分野だけを集中してとってもなんとか単位は足ります。
実際、私も会計の授業は全くとらずに卒業しています。

3. バックグラウンドが問われない
最後になりましたが、これはかなり大きいです。私はMBAをとることではなく、理系っぽい勉強がしたい!という動機だったので(改めて文字で見るととても頭悪いかんじですね笑)当初仕事をやめて一般の理系大学院に通うという選択肢も検討しました。
しかし、これはやはりハードルが高かったです。
まず、入試の段階で当然のことながら学部卒業生レベルの知識は要求されます。これについては過去問などをみて勉強すればなんとかなります。しかしながら、これまでやったことない分野の勉強をするために一度仕事をやめて数年間を費やすというのは私には極めてリスクが高いと感じられました。
そこで、幸い入試時に知識を求められず、夜間土日開講で仕事と両立可能な GSSM への入学を決めました。

学生生活

学生生活ですが、1年目はとにかく講義、2年目はひたすら研究という感じです。
【1年目】
週に2〜4回くらい夕方18時20分〜21時まで講義があります。
各講義では毎週レポートやグループワークなどの課題が出るため、それを週末や夜にこなしてから寝るという生活です。
17時すぎには退社しないと間に合わないため、この期間は少し早めに出社するようにしていました。
【2年目】
2年目も当然講義はあるのですが、よりゼミや研究に割く時間が増えます。ゼミは、希望通り人工知能系のゼミに入ることができました。基本的には、輪読と研究発表が行われることが多かったのですが、この輪読についていくのは正直かなりキツかったです・・・。説明を聞きつつ、調べながら話についていくのがやっとという状態でした。
自分の研究については、興味を持ったシミュレーション分野のテーマについて研究を進めることを決めました。修了に必須の研究発表会の他にも、教授に勧めてもらった学会にいくつか応募し、京都大学や慶應大学などで発表させていただく機会ももらえました。

学んだこと

1. ハード面でのスキル:R, Pythonなどなど
この辺りは授業でも使うので自然となれていくことができました。
2. ビジネスとアカデミックには意外と共通点が多いこと
当初これらの2つは全く正反対の世界!くらいに思っていました。しかし、実際飛び込んでみるとかなり共通点も多いなと感じました。
学会に自ら積極的に投稿するプレゼンスや学会中のネットワーキングなど、これらはビジネスでも大事なソフトスキルだと思います。
3. 論文を探すクセがついた
これまで、何か情報を探すときにはとりあえず普通にググる、あるいは人に聞いてみる止まりでした。しかし、論文を一本書き終えたことで、先行研究を探すという習慣がついたのは面白かったなと思います。
こないだは「サウナって何分入るのがいいんだろ?」と思い、論文データベース探してみたらこれについての実験結果も見つけることができました。(気になる方は探してみてください笑)
4. 人的ネットワークが広がった
まあよく言われることなので、この点は長く触れるつもりありません。
5. 理系への興味が満たされると同時に向いてないことに気づけた
向いていないというと語弊があるんですが、プログラミングをゴリゴリやっていくような人間ではないということは実感しました。
ただ、"Think Clearly" (ロルフ・ドペリ著) で言うところの「能力の輪」がどこになるか知れたのは非常に有意義だったと思っています。
(「能力の輪」が気になる方はぜひ一度 "Think Clearly" 読んでみてください。読む価値のある本だと思います。)
6. (おまけ)大学のアナログ具合がすごい・・・。
お世話になった大学なのでネガキャンはしたくないんですが、やはり正直アナログだな〜と感じることは多かったです。紙の資料の提出物がめちゃくちゃ多いです。印鑑を求められることも多く、普段紙慣れしていない私には少しストレスがあったと言うのが正直な感想です。
一応クラウドシステムっぽいものも入ってはいるものの活用されていなかったですね・・・。

今後の展望

そんなわけで大学院は修了したのですが、研究は続けていくつもりです!
せっかくの研究なので、引き続きブラッシュアップし論文の質を上げていきます。
と同時に、この2年間左脳を使いすぎて右脳が死んでいる気がするので、右脳を鍛えるような何かをしたいなーと思っています。お絵かきとか?
人工知能の前に自分の脳をまずはケアしたいかなと。

最後に

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
最後にまとめると、GSSM は良い学校だと思います。MBA を期待している人には合わない気がしますが、私のようにあるテーマについて突き詰めて学んだり研究したいんや!というひとには向いているんじゃないかなと。
MBA という学位が欲しい、あるいはケーススタディとかやってビジネスコンテスト出て・・・みたいな方には他にもっと良い選択肢があるのではないかなと思います。

謝辞

修了までの間支えてくれた会社の同僚、家族、パートナー、友人、同級生、そして知識ゼロから終了まで導いてくれた教授には感謝しても仕切れません。

令和2年2月22日 







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