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業務改善屋が言い辛い「生産性が上がる気配すらない」理由を、あえて言います

 これだけ日本は生産性が低いと言われ続けているにもかかわらず、なぜ長らく改善される気配すら感じないのでしょうか?

相談できる人はたくさんいるのですが

 業務改善に長けた「創業〇〇年の老舗コンサル」がたくさんありますので、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。それぞれ何千社という実績を重ねた、素晴らしいコンサルです。

 え?もう、相談しているのですか?

 日本におけるコンサルの市場規模はグイグイ拡大し、5年間で約2倍に成長、2022年には1.8兆円を超えたとのこと。2017年にも既に1兆円近い市場規模があったということになります。結構利用されていて、それがどんどん広がっている状況にあるようです。

 そのうち業務改善に係るコンサルティングがどれくらいの比率を占めているかはわかりませんが、少子高齢化の現実を考えれば、業務改善によって生産性向上が欠かせないと考えて、相談する組織は決して少なくないでしょう。

 とはいえ、まだ全体の生産性を押し上げるには至っていないようです。

 もっと多くの企業が相談し、コンサル市場が5兆円や10兆円にも成長するくらいでなければ、全然足りないのかもしれません。まだまだお布施が足りないのかもしれません...(あ、言っちゃった)。

 ちなみに、全世界のコンサルの市場規模をググったら10~20兆円だそうです。

事実、コンサルはすごいのです

 実際、コンサルの知識や経験は、素晴らしいです。業務改善屋も大手コンサル殿と業務を共にすることがありますが、彼らには膨大な知識があり、緻密で、真面目で、丁寧に業務をこなします。コンサルのアウトプットを見たことがある方ならお分かりかと思いますが、彼らのアウトプットは筋が通った、わかりやすい、優れたものです(難しい横文字や専門用語が多い方もいらっしゃいますが)。

 真面目で丁寧、素晴らしい資料や報告書を作る、まさに日本人のビジネスマンの鏡のような方々です(おっと、また言ってしまったか...)。

 ITに関する知識や経験があれば、具体的な業務の改善策を見いだすのに大いに役立ちます。その業務や業界に関する知識があれば、“世間の相場”もわかるでしょう。

 知識はあればあるほど「武器」になります。

 コンサルは個人にしろ組織にしろ、超越したバリエーションの武器を持っています。だからプロなのです。

武器がたくさんあるが故

 武器を持っていると、ついつい使いたくなってしまうのが、人の悲しいサガ。

 目の前にある問題に対し、その武器をいかにして使うかを考えてしまいます。でも、その業務が無駄か否かを考えるのに、そんなに難しい専門知識は必要ありません。大した武器は要らないのです。

 むしろ知識や経験が、問題の本質を見いだす邪魔をしてしまいます。重要なのは、専門的な知見ではどうなのか、ではなく、目の前の問題の本質がどうなのか。それに必要なのは「客観的洞察」です。知識や経験が豊富であればあるほど、それに頼ってしまい、洞察がブレてしまいます。

 年長者の「知識や経験」がもたらす結果がいかなるものか、皆さんよくご存じのことでしょう。

 なかなか言いづらい(散々、言っていますが)ですが、コンサルティングが目的となってしまい、業務改善が“おざなり”になる傾向にあると感じます。業務改善は、綺麗にビジュアライズされたわかりやすい資料を作ることでも、様々な知識に問題をあてはめることでもありません。素晴らしい提案をしても、実践しなければ何も改善されません。

 コンサルティング業務自体が、業務改善すべき業務と同じことをやってしまっているのです。そもそも、彼らの業務はコンサルティングなのですから、当然と言えば当然です。

 以上はあくまでも私個人の感覚ですが、現に多くコンサルが利用されてきた実情がある反面、全体の生産性が改善される気配すら感じられない実態があることは、その合理的な裏付けになると考えられます。

本当に私個人だけの感覚か?

 実は、現場にいる多くの一般社員は、薄々気づいています。

 コンサルが入って何も改善されませんでした。さて、現場の人々は困るでしょうか?何と言うでしょう?

 「な。」

 以上。

 組織に「コンサルが入る」という噂が流れたとき、現場は「待ってました!」とはなりません。「業務が増える…」、「どうせ何も変わらない…」、「お金の無駄…」こんな暗雲が一気に立ち込めます。

 なのに、なぜコンサルが“暗躍”…いえ、改め、“頼られる”のでしょうか。

 これも実は、現場にいる多くの一般社員は、薄々気づいていることでしょう。

 コンサルは現場が頼っているのではなく、「上の人」が勝手に頼っているだけで、現場の業務を改善するのに、現場の意見が尊重されない、あるいは現場の意に反した行動をとってしまっているからだと言えます。失敗する要素しかありません。

 一般社員は困ったら上司に相談できます。しかし組織の最上層である経営層には上司がいません。そこにコンサルが登場します。「経営層が困ったら相談する相手=コンサル」、という無意識の思い込み(=アンコンシャス・バイアス)が働いています。コンサルがそういう役割を謳っているから仕方ありません。

 業務改善屋ごときが、これだけコンサルを敵に回しておいて、さらに経営者の方々に物申すのはとても気が引けますが、敢えて言わせていただきます。

 経営者の皆様、業務改善で困ったときに頼るべきはコンサルではなく、支えてくれている社員ですよ。

 もし、都合のいい意見だけを聞きたいなら、コンサルや陰陽師のような御意見番管理職に相談するのがベストでしょう。しかし、殊に業務に関する問題の本質を解決したいなら、まずは実際に業務を担っている一般社員に相談するのがスジが良く、そしてスワリの良い結果に繋がるでしょう。

 その上で、コンサル等から客観的意見を取り入れるのは「有り」だと考えます。

 実情からおわかりのように、業務改善は、コンサルにお任せで都合よく進むようなものではありません。正攻法で、本質を解決する方法を見極めないと、業務改善自体が無駄な業務になってしまいます。

 【参考】御意見番管理職についてはコチラをご覧ください

まとめ

 残念なことに、日本は「資本主義国家」ではなく「拝金主義国家」であることを忘れてはなりません。

 特に困っている人からは、お金の匂いがプンプンします。それが経営者であるなら尚のこと。拝金主義者には、間違いなく「金ヅル」に見えます。名刺交換の時、相手の目をよーくご覧ください。$マークになっているかもしれません。

 自分一人で解決しようとするから振り込め詐欺に遭ってしまうのと同じで、まず問題を全体で共有し、その上で解決策を議論する必要があるのではないでしょうか。

ー 以下は業務改善屋のPRです ー

 そういう業務改善屋もコンサルじゃないか、という声が聞こえてきそうです。商売あがったりです。

 ところが実は、業務改善屋はコンサルのようで、コンサルではありません。

 どう違うか、ということを詳細に披露してしまうと、それこそ商売あがったりになってしまいますので、ここではご容赦ください。一つ言えるのは、業務改善屋の業務はコンサルティングではなく、本気の業務改善を全力でサポートすることです。成果をあげてこそ成果、だと考えています。

 始めましょう、本気の業務改善。

 そしてコンサルの皆さん、ごめんなさい。

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