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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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「百物語」の起源は東北という説がある。

「百物語」・・・百本の蠟燭を立て、夜を徹して怖い話を行い、一話話すごとに、蝋燭を一本消していく。そして、百本目の蝋燭が消えた時、 あやしいことが起こる・・・そんな怪奇イベントの話を聞いたことがあると思います。 この「百物語」怪談にありがちな夏のイベントではなく、 冬の夜長に行われたものらしいのです。 東北の農村地帯、長く雪に覆われる季節を楽しもうと言うことで始まったというのです。 確かに、夏の短い夜では、百も話をすると、夜が明けてしまいます。 冬の夜は夏より4時間くらい長いで

「転居」・・・少なからずストレスや心配事があるものですね。

それでも新しい家は心をワクワクさせてくれます。 ところがそんな新しい家で・・・というお話です。 ・・・・・・・・・・・・ 「新居訪問」 by夢乃玉堂 「新居に遊びに来てくれよ」 友人の伴野勇一に誘われ、怪奇愛好家仲間の吉野、上原の2人で 新婚夫婦の家に遊びに行った。 吹き抜けの玄関に降り注ぐ光、真新しい壁紙、使い勝手の良いキッチン。 お宅拝見的な説明と感想が一通り出た後で、話題は当然のように怪談になりそうになった。 「申しわけないけど、アタシはそういうの全然信じて

恐ろしい出来事が、二人の関係を変えてしまうことも・・・。

何か出来事が起こると、人間関係が変わってしまうことはよくあります。 それは、日常的なことでも、非日常のことでも・・・。 ・・・・・・・・・・ 『オオクビ』by夢乃玉堂 都築小春(こはる)は、4年付き合っている彼氏、真砂人(まさと)と 誕生日を温泉で迎えることにした。 偶然ネットで見つけた隠れ家的な宿だった。 これと言って特徴のない旅館だが、小春はなぜか気になった。 というより、ここにしなければならい、そんな気持ちになったのだ。 真砂人の方は、最初あまり乗り気ではなか

「芳一の気持ちを知る」

「麻田くん、芳一の気持ちを知る」・・・世界で最も人間を殺害している生き物とは? 『麻田くん、芳一の気持ちを知る』 「蚊は、最も人間を殺している恐ろしい生物なんだ。注意しろよ」 麻田くんが南米のペルーに出張すると聞いた途端、会社の先輩がこう言いました。 人類の生物による死因のトップは蚊だといいます。 蚊は、マラリアとかの病気を媒介するため、 鮫や毒蛇よりもはるかに多くの人類を殺害しているそうで、 その犠牲者は年間72万人にも及びます。 だから蚊にだけは気を付けろ。とい

上映に向けて・・・「デビュー作にして遺作 その3」・・・監督の魂は消えず

小林豊規監督の初監督映画「静かに燃えて」は、 初めて観る者に驚きを与え、映画的仕掛けがちりばめられた作品で この映画を観る事が出来た幸運な観客たちからは、好評を得た。 そして、映画好評のうちに公開を終えた。 その直後に、次の上映館(池袋シネマ・ロサ2024年3月)も決まり、 メイキング映像や次回作のシナリオを書いている最中、それは起こった。 その日、私は小林監督とあるイベントに行く予定で待ち合わせをしていた。 ところが、集合時間を過ぎても一向に現れない。 携帯に電話しても

「静かに燃えて」が始まった・・・「デビュー作にして遺作」その2・・・映画のような人生を送った監督について

・・・・・・・・・・・ 学生時代から知る小林豊規(とよのり)監督が、 彼が我が家に遊びに来たのは、2018年の初頭であった。 私の母が亡くなり、住んでいた家が空いて、 荷物置き場になっていたのを、 「撮影に使えそうなら使ってよ」 と軽い気持ちで声を掛けたのだ。 もちろん、その時にどんな映画を考えていたかは知らなかった。 ただ、どこで何を撮影するにしても、 ロケ場所は必要で、借りるとお金もかかる。 無料で使えるなら良い事に違いない。 そう考えて提案した。 「連棟の所

「デビュー作にして遺作」その1・・・映画のような人生を送った監督について

映画「静かに燃えて」の小林豊規(とよのり)監督が亡くなって、6日でちょうど1年。 ということで、個人的に見つめた小林監督について、改めて思い返してみたい。 *一部、昨年の池袋での公開時の内容とダブりますのでご容赦ください。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小林豊規(とよのり)監督。本名小林一(はじめ)。 初めて出会ったのは、大学の授業だった。 隣に座った彼に、「家はどこ?」と聞いて、 「銀座」と答る彼に、「銀座って人住めるの?」 と失礼この上ない返事をしたのが

「もう一年になる」・・・喪失感がじわりと湧いてきた。

小林一くん(小林豊規監督)がデビュー作である「静かに燃えて」を下北沢トリウッドで公開した一か月半後に急逝したのが、昨年の12月6日。 その後、親友でもある映画監督犬童一心らの尽力により、 池袋シネマ・ロサをはじめ、神戸映画記念館、横浜シネマ・ジャック&ベティにて、デビュー作にして遺作である「静かに燃えて」を上映することが出来ました。 さらに来年も上映するための努力が進められています。 これもひとえに故人を思う方々の尽力のおかげ。 本当に、感謝いたします。 今後の上映日程は

「あわや正面衝突!」・・・海外ではご注意を。

年末年始に海外旅行を考えている方も多いと思いますが、 海外に慣れてくると、バスツアーなどで回るより、レンタカーを借りるなどして、自分で行きたいタイミングで行きたいところを回りたいと考える方も多いのではないでしょうか。 そんな時に気になるのは、その国の交通事情です。 今回は、外国の道で苦労したお話です。 ・・・・・・・・・・・・ 「あわや正面衝突!危機一髪!」 社会人3年目、麻田君がオーストラリアにプライベートで旅行した時、 初めてレンタカーを借りることにしました。

年末になると、占い本が目に付く。皆、来年の運気が気になるのだろうか。

年末になると、本屋さんの店頭に暦や占いの本がたくさん並び、 それなりに売れるらしい。 ここ数年の世界に広がる不穏な情勢が未来を探ろうとするのだろうか。 様々な占いがあるが、いまだに人気があるのは、血液型と星占いである。 私は、「B型ですよね。」とよく言われる。 それも、おずおずとではなく、確信を持った語気の強い言い方がほとんどだ。 もちろんB型だし。B型が嫌いなわけではないのだが、 こう毎回では、何となく面白くない。 「いがーい」とか、 「えー見えなーい」とか言われ

「小判を生む財布」、第16回「森章二の素読の会」は、来年1月21日火曜日です。

2か月に一度の「森章二の素読の会」。 次回第16回。「小判を生む財布」は、来年1月21日火曜日です。 第一部は森章二さんの江戸話。「香具師(やし)」についての考察。 そして、第二部・朗読は「小判を生む財布」。 身に覚えのない小判がいつの間にか財布に入っている。神の恵みか?謀略か?新春の神楽坂を揺るがす謎は、恐ろしい犯罪を呼び・・・ 前回同様、火曜日の夜になります。 1月21日火曜日。18時30分開場です。 会場の神楽坂とんぼろは、お席に限りがあります。 お早めに

「ファッションだけじゃないのよ」・・・怪談。同じ靴を選ぶ理由。

女性のファッションは、戦闘服だと言って人がいる。 それは時に、所属意識の象徴であったり、時に営業のツールであったり、 わが身を隠す迷彩服になることもある。 今回は、そんなファッションの重要なアイテム「靴」のお話。 『同じ靴』 里奈は、いつも同じスニーカーを履いている。 最初気付いたのは、仕事帰りに会った時だった。 黒のビジネススーツに不釣り合いの赤いスニーカーを履いている。 「足が疲れるから、ヒールは会社のロッカーに入れて、これで通勤しているの」 そんな言い訳をその時

「自転車」・・・実際に聞いた話ともう一つ。

『自転車』 あれは確か、学生ホールでQ子を含めた4、5人で話している時だった。 誰からともなく怖い体験の話題になったんだ。 多分、Q子がいたからだろう。 後輩のQ子は、よく絡まれる。 但し、絡んでくるのは人間ではなく、妖怪・幽霊の類だ。 Q子が引っ越してくると平穏なアパートは事故物件並みに騒がしくなり、 結婚式では花嫁の入場曲になぜかお経が流れて、スタッフが大慌て。 海水浴で海に入ると、必ず足首に人の手の形をしたあざが浮かび上がる。 七不思議が八つにも、九つにもなると

「未来の記念日」・・・怪談。カレンダーには忘れられない予定と・・・。

『未来の記念日』 今田佐代子を襲った悲劇は、同僚たちの同情を誘った。 32歳。お見合いから半年で結婚をし、そのひと月後に交通事故で夫を亡くしたのだ。 同僚の中野美玖たちは、もしかすると、このまま会社を辞めてしまうのではないか、 と噂したが、その心配は杞憂に終わった。 「おっはようございま~す」 1週間後、出社した佐代子は以前に増して明るくなっていた。 予想外の態度に驚いた、美玖は思わず無神経な言葉を発してしまった。 「どうしたの? 旦那が亡くなってまだ忌引きの休みが