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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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記事一覧

「情がふくらみゃ重いと落ちる 線香花火の薄情さ」・・・最近の悩み事は、行方不明のちょび山さん。

最近、ちょび山さんが顔を見せなくなった。 数日前まで、毎朝8時には庭に現れて挨拶してくれていた白黒ニャゴ。 思い当たる事はある。 その朝、私は寝坊してしまったのだ。 特に昼過ぎまで用事が無いのを良い事に 前夜遅くまで原稿を書いてしまい、翌日は堂々と寝坊した。 その次の日からである、ちょび山さんの姿が見えなくなったのは。 「もう待ちぼうけは嫌だ」 と思ったのか、それとも 「もっと居心地の良いところを見つけたもん」 と別の家に貰われていったのか。 最後に見た顔が

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「サンダーバード55周年・シネマコンサート」・・・懐かしさだけでない楽しさ。

ここしばらく、重い物語が続いたので軽い話題を。 1968年TV放送された特撮番組「サンダーバード」は ご存じの方も多いと思われます。 その迫力とリアルな映像は、当時の男の子たちを魅了し、 現在50歳以上となった多くの大きな子供たちを今も魅了し続けています。 そのサンダーバードのシネマコンサートを東京オペラシティで鑑賞しました。 新作映画「サンダーバード55(ゴーゴー)」の宣伝を兼ねてのコンサートでしたが中々楽しめました。 旧作第一話の映像に当てたシネマコンサートのよ

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「憑依思念(後編)」・・・怖い人の話。男のプロポーズに返された言葉は。

『憑依思念(後編)』 人間の脳は、理解しがたい出来事に遭うと、 その全能力を駆使してそれを分析しようとする。 そのため脳は、『表情を変える』『言葉を発する』といった 日常的な指令さえも出すことが出来なくなってしまう。 「鈴音さん以外には考えられません。僕と結婚して下さい」 港に面した公園で、市川雄太は勇気を振り絞って求愛の言葉を発した。 だが、それに対する森野鈴音の返事は、想定外の混乱を彼にもたらした。 「雄太さん。ありがとう。私・・・私には、 あなたよりふさわしい

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「憑依思念(前編)」・・・怖い人の話。港に面した夜の公園で男は勇気を振り絞って。

『憑依思念(前編)』 「いよいよかな」 森野鈴音は、心の中で覚悟を決めた。 今夜のディナーはフランス料理、ワインも奮発していた。 「食後の散歩をしましょう」 普段以上にスーツをびしっと決めた市川雄太は、 恋人を夜景が美しい港の公園に連れ出した。 つき合い出して半年になるが、雄太はまだ手を握るくらいしか、してこない。 雄太がそれ以上を求めてこないであろうことは、 付き合い始めて数分で分かった。 『純潔って鈴音さんはどう思われますか?』 配偶者に求める最大の条件が

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「今夜あなたが浮気する相手は」・・・不思議な話。倦怠期を迎えた夫婦がとった予防法とは。

私、伴野麻砂美は今夜浮気をする。 ただし、相手は夫の駿也だ。 私たちは月に一度、浮気ごっこをする。 40歳の声が聞こえ始め、倦怠期を迎えた私たちは、夫婦生活に刺激が欲しくなり、浮気防止を兼ねてこんな遊びを始めた。 お互いに普段とは全く違う服装を着て、 バーや公園で待ち合わせ、別の人間として偽のナンパをする。 一種のコスプレ遊びで別人になる訳だが、夫婦でやってみると、別人になるのは意外と楽しく、どんどん凝った格好になっていった。 バブル期ファッションから始まり、 純和

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「体温センサーの謎」・・・日常にある不思議な話。

「体温センサーの謎」 最近ほとんどの商業施設、病院、公共機関を問わず置いてあるのが 手指の消毒スプレーと、体温の計測装置ですね。 ところが、この装置、メーカーによって検査する体温が微妙に違います。 勿論、日の当たる場所から入ってきた、寒い中を歩いてきた、等の条件によって変わるのは分かっているので、正常の範囲内なら余り気にはしません。 最近では、 「ここのお店はいつも36.0度で頑張って測ってるな」 「こちらの施設のは35度台で適当だな」 などと、計測機械なのに癖がある事

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「ヨクボーバス」・・・不思議な話。遅刻寸前、バスで眠ってしまった女子高生は。

『ヨクボーバス』 「あちゃ~。寝過ごした」 目を覚ますと、バスは見知らぬ停留所を出たところだった。 「朝トラブルると、その一日は調子が悪いな」 今朝、ママと交わしたバトルが原因だ。きっとそうだ。 寝起きの娘には、もう少し優しくするべきなんだ。 「紗代! あなた最近、寝すぎるわよ。朝も遅いし、かと言って夜も早く寝てるでしょ。学校から帰ってきてもすぐソファーで寝てるし」 「陸上部がハードなのよ。それに眠れなくてノイローゼになるよりマシでしょ」 「いくらクラブ活動が忙

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「ちょび山さんの水槽」・・・ニャゴが入る。注意:虐待ではありません。

「どうして猫を閉じ込めているんだ。ちょび山さんが可哀そうじゃないか!」 そんな風にお怒りになった方々、ご安心ください。 履いてますよ、じゃなくて、開いてますよ。 写真では、水槽にちょび山さんが閉じ込められていて ネズミ捕りならぬ、ニャゴ捕りの罠のようにも思えますが、 これは決して罠で捕まえたのでも虐待でもありません。 捨てようと思って、庭に置いていた壊れた水槽を 最近、ちょび山さんが、別荘として使っているのです。 この水槽、写真で見ると全く壊れていないように見えるので

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「ロボット三○○」・・・大学の部室で先輩が言い出したこととは。

『ロボット三○○』 「話は変わるけど『ロボット三原則』は知ってるよね」 SF研究会の部室の中を歩きながら、井上先輩が突然話し出した。 『話は変わるけど』で始まると、井上さんの話は迷走しする。 変わりっぱなしの話が戻ってきたためしがないのだ。 それはともかく、ロボット三原則は我が大学のSF研究会の部員なら誰でも知っている。 部室の壁に、まるで会則やモットーのように張り出されているのだから。 「アイザック・アシモフのSF小説「われはロボット」に登場する、ロボットが従うべき

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「ミウラ・チャット」・・・真夜中のSNSで起こった事とは。

『ミウラ・チャット』 午前7時にセットした目覚まし時計が鳴るより早くスマホが鳴った。 「朝からすまん」 同期の湯川だった。 「佐野はひと月前の『三浦チャット』に参加してただろう」 「ああ。でも俺はほとんど見てただけで、二時間くらいで抜けたけど」 「おれもその後すぐ抜けたんだけど、チャットの記録見たか?」 「いや。忙しくて見てないけど、誰か書き込みで告白でもしたのか?」 「そんなんじゃねえよ。とにかく見てみろよ」 俺はスマホをテーブルに置いてPCを立ち上げた。

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「いざないの湯」・・・怪談。大自然の中でカメラマンが誘われた癒しの湯とは。

18歳になったばかりにしては、その女の子は奇妙な落ち着きがあった。 旅行雑誌の読者モデルで、『多津のぞみ』というレトロ趣味の芸名を使っていた。おそらく派遣してきたタレントプロダクションの老社長が適当に付けたのだろう。 まあ、珍しくも無いことだ。 長年、旅行雑誌専門のカメラマンをしていると、このモデル、適当に扱われているな、と感じる事は多々あるが、お互い様の面も少なからずある。 ファッション誌と違い、旅行雑誌の読者モデルは入れ替わりが早い。 理由は移動時間も含めて拘束時間

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「麻田君、給料二か月分をはたく」・・・散財して買ったものとは。

『麻田君、ネクタイを締める』 旅行好きの麻田君が、仕事でヨーロッパを訪れた時の事です。 接待の一環で、クライアントを創業100年というネクタイ専門店に連れて行きました。 その店は、イタリアは勿論、イギリスの王室にも納めているという、歴史あるネクタイ店で、気難しいクライアントも喜んでくれると思ったのです。 予想通り、クライアントはお店に入った途端、 その店に並ぶ品々の素材の良さと丁寧な仕事に感心していました。 麻田君と部下の南くんは、ホッと胸を撫でおろしました。 しば

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南国でも雪?・・・枝に雪兎?

久しぶりに積もった。 冷たく心地よい風に吹かれて、雪残る街を歩いた。 通学時間で、小学生たちが行き交っていく。 その中で、ひとり低学年の男の子が、履きなれない長靴を滑らせないように、びくびくしながら、一歩一歩足を進めていた。 「おはよう。気を付けて歩いてね」 と声を掛けると・・・ 「気い付けてるから、下向いて歩いてんのやろ。そやなかったら、堂々と、お天道様も雪だるまも、しっかり見ながら歩くわ!」 と地面に文句を言うように、顔も上げず、そのままのガチガチに固まった

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「ライブか配信か」・・・評価に困る場合。

年に一つか二つ、どうしても作品名を伏せて感想を書きたくなる作品に出合う。 今年は正月早々出会ってしまった。 劇場に行く時間が無かったので配信で観た。 かつてタモリさんが嫌いだと言っていたタイプのミュージカル。 歌は情感ではなく説明の為に使われ、脚本は多すぎる情報をこなすだけ、 アクションは、ただやれるからやってるだけ。楽しみにしていたナンバーも出てこない。 全体の印象としては「音楽が邪魔な芝居」 ただ、そこで一歩留まって考えた。 そんな風に感じた作品でも、配信ではなく

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