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プロマネ(行イノ#4)

行政イノベーション推進室です。今回は、2022年12月末に有志メンバーで実施したプロジェクトマネジメント研修について報告します。

研修開催のきっかけ

 「公務員にもプロジェクトマネジメントが必要」
数々の民間企業の経営アドバイスや地方自治体の組織改革に携わっている専門家からのこの助言をきっかけに、プロジェクトマネジメントについて学ぶことにしました。
 マネジメント改革こそが働き方改革の中核で、働きやすい環境、働き甲斐のある環境整備はマネジメントによるところが大きいこと、つまり、働き方改革の成功の可否は、マネジメント力そのものにあると言っても過言ではないとの助言もいただきました。
 民間でも取り入れているマネジメント研修を地方自治体でも取り入れていることが「令和時代の研修スタイル」ということで、具体的に挙げられていたのが、プロジェクトマネジメント研修、WBS研修、KPI・KGI研修、モチベーション研修、チームビルディング管理研修、リーダーシップ研修、コミュニケーションスキル研修などでした。
 プロジェクトマネジメントは、市内に本社のある日揮さんが得意であるとのことで、市役所内での研修をお願いしたい旨お伝えしました。この依頼を快諾いただき、日揮グローバル株式会社プロジェクトコントロール部 加地久泰部長を講師としてお招きし、研修していただきました。

加地久泰日揮グローバル株式会社プロジェクトコントロール部長

成功のカギは「気持ち」

 何百億円、何千億円もの大型プロジェクトをいくつも成し遂げてきたが、プロジェクトが成功する法則はない。でも、何らかのパターンがあるのではないかと考えて、社内向けのプロジェクトマネジメントのガイドを作成したとのことでした。
 それでも、成功のカギは成功する」との意志や気持ちで、これがなければ成功しないと、国内外で数多くのプロジェクトを経験してきた加地さんのご発言はとても説得力のあるものでした。
 社内では、このガイドの勉強会を昼休み(!)に定期的に開催しているそうです。日揮社員さんの意識の高さを感じます。
 勉強会では取組姿勢を大切にしているとのことで、以下のルールを設けています。
①図書を読む(予習する)
②積極的に参加する
③自分の頭で考える ➡ 考えないと身に付かない
④メモする ➡「良いことを聞いたな」と思ったらメモしストックする。何度も見直す習慣を付ける。
⑤実践する ➡ 実際にやってみることで成功に近づく。研修内容を他者に話すことも、実践

言葉を定義する

 この後、グループワークに入りました。加地さんから「〇〇とは?」と出されたテーマに対し、グループ内で話し合い、グループとしての意見をまとめて発表します。
 最初は、プロジェクトとは
 グループ内で個々の意見を出し合っていると、何となく同じような、そんなにズレていないような気もするのですが、表現は人によってマチマチです。グループ内ですり合わせた結果を、グループごとに発表しても、やはりそれぞれでビミョーに違っていることが分かりました。
 ここで、加地さんから一言。「言葉を定義しないとみんなが混乱する。プロジェクトマネジャーとして重要なポイント」。プロジェクトに携わるメンバーの多様性にも言及され、みんなに分かるように伝えないとバラバラになってしまうということでした。これは、プロジェクトに限らず、日常業務の中でも当てはまると言えると思いました。自分の発した言葉が、自分の意図
したように相手に伝わっていないことは往々にしてあります。言葉の定義の大切さを改めて認識しました。
 また、プロジェクトのポイントとして、他にも
①「独自性」:成功するかどうかわからない。前回の成功が通用するとは限らない ➡ 柔軟性が必要
②「有期的」:時間が決まっている ➡ 計画・遂行能力が必要
③「決められた納期とコスト」➡ 適正なコスト競争力が必要
を挙げられ、これらのポイントを念頭に置きながら、自分なりのプロジェクトをつくっていくとのことです。
※「プロジェクト」の定義は日揮さんのガイドによるものなので、ここでは掲載を省略します。ご了承ください。

やりきることが本質

 次のテーマはプロジェクトマネジメントとは?
 プロジェクトをマネジメントすることでしょ?と言いたいところですが、正解はそう単純ではありませんでした(汗)
 プロジェクトマネジメントは、様々な制約要件のある中で、プロジェクトをやり遂げることということでした。意志のない人はそもそもやらない方がいい。「上司に言われたからやらなきゃならない」と思っているようなものはプロジェクトマネジメントではない。加地さんはキッパリ言われました。
 メンバーが傍観者になった時点でうまくいかないことから、すべてのメンバーに当事者意識をもたせるのもリーダーの大事な仕事であり、そう仕向けてもなかなか意識が変わらない人がいれば、プロジェクトから辞退してもらうことも考えていかなければなりません。

困難の先に、お金には代えられないことがある

 最後のテーマはプロジェクトマネージャーとは?
 プロジェクトマネージャーは、プロジェクトをやり遂げることを組織より託された人物です。プロジェクトマネージャーは大変なことも多くありますが、困難を乗り越えた先に、お金には代えられない満足感と達成感が味わえるとのこと。
 コスト、スケジュール、品質(顧客満足)、人的資源、調達、リソースマネジメント(資産・モノ、人のモチベーションや健康管理も含まれる)、リスク(不確実性)、コミュニケーション(チーム内、ステークホルダー)、環境、家族、将来世代のことなど満遍なくみていかなければなりません。また、これからは、データマネジメントもプラスしていく必要があります。
 さらに、プロジェクトマネージャーは知識だけではだめで、リーダーシップ、洞察力、ファシリテーション能力も求められるなど、なかなか大変な役割だと感じました。
 それでも、成功した暁には、メンバーのレベル、組織力のアップも図られる、そんな状態を目にすることは、プロジェクトマネジャーとしても至福の喜びなのだろうと、勝手に想像を膨らませてみるのでした。
 加地さんからの最後のメッセージは、
  プロジェクトは人生。人生をいい加減に送っている人はプロジェクトマ  
 ネジメントはできない。

 民間企業だけでなく、市役所の仕事でも様々なプロジェクトが動いています。私自身、〇〇プロジェクトと名の付く取組に関わってきましたが、果たして、加地さんからお話いただいたような意識や、やり方で取り組んできたか・・・。反省にとどめず、加地さんに教えていただいたように、気づいたことはこれからしっかり実践していこうと思います(今回の投稿もその一環です)。
 加地さん、ありがとうございました!