無関係な第三者による著作権私刑の実例

7/19に向けて生意気な話をする、の21日目です。20日目はボウリングで押した分を処理しておりました。スウェーデンから来たギタリスト、ユリアン・エリクソンさんとの対談動画の最終回をアップしてます。
https://www.youtube.com/watch?v=5PRM-hXwVPY

あまり日本語がしゃべれない状態でローディ募集に応募するって、ほんと凄い行動力だなと思うと同時に行動って大事だなぁと改めて思ったりもしました。米丸さんが結構いい感じでエンジンかかってますので、ゆるーく見てやってください。


本題

本題ですが、著作権について本当にこれはやめて欲しいなと思うのですが、盗作疑惑をぶつけてそれで私刑を始めるシーンにちょくちょく遭遇します。丁度最近ですと「イラストレーターみきぐちさんの盗用問題について」が該当します。
https://togetter.com/li/1342141

まず著作権についておさらいですが、ざっくり言うと作ったもの及びその複製をどう取り扱うかに関する権利です。基本的には権利者が専有します。著作権法第二十一条から第二十八条が該当します。

専有がどいう事かというと、権利者だけが決めれると言う事です。すなわち、どこで公開するかを決めることが出来るのは権利者だけで、同時にどこで公開してはいけないかを決めてよいのも権利者だけです。

これは公開しても構わないと言っていないのだから、権利侵害している物は引っ込めなければならないとするものではありません。自分も権利者の端くれですが、自身の著作物が不法に流通していても黙認する場合が有ります。見て見ぬふりをする権利と言う物が著作権者にはあります。

しかし、例えば提示したtogetterのまとめでは「作品の販売は中止してください」という要求を全く関係のない第三者が出していますが、販売を黙認している物に対してこれを行われた場合は公表こそしていないが公開を認めている者に対して、全く関係ない第三者がひっこめさせたことになりこの要求もまた権利侵害に当たります。

また、よく似たものを作ってしまった結果権利者からその公開停止を求められたとしても、別の物だと判断される判例もあり、実際に権利侵害が行われたかどうかは該当まとめでは不明です。にもかかわらず、権利侵害をしたのだから、悪いことをしたのだからと攻撃を行うのは私刑そのものです。

私刑を行う権利はない

私刑とは、「法によらず、私人が勝手に加える制裁」を意味します。販売停止などの要求は権利者が制裁として加えるものですから、権利として何の法的根拠も持たない第三者がこれを行うのはまさに「法によらない」「私人による」「勝手な制裁」以外の何物でもありません。

指摘までは言論の自由として認めたとしても、それ以上の行為は明らかにやりすぎです。重ねて主張しますが本件は司法による判断もなく、権利者による要求すらない、現段階ではただの疑惑にすぎない訳です。疑惑なんかいくらでも作れますからね。ネットで問題になるネットリンチは往々にして罪を犯した方に対して行われますが、現段階では罪を犯したかどうかですらまだ確定していない訳です。

これを認めてしまうと疑惑による私刑を肯定することになり、権利者の一人としてとても容認できません。著作権と言う物は決して他人を叩くための便利な棒ではありません。著作物という財産の取り扱いは、原則として当事者間で解決すべき問題で、何の関係もない第三者が正義感や義憤で公開停止などを要求するものではありません。それもまた権利侵害であるという認識はもう少し広まってもらいたいなと思います。

本日は以上です。7/19にノルマゼロ、バック70%のライブを行います。取り組みの詳細はnoteをご参照ください。ご来場、ご支援、フォロー等頂けましたら幸いです!

ノルマゼロ、1枚目から70%バックのライブをやりますhttps://note.mu/gymaterials/n/n7ee96fc6cd6b


【資料】

第三款 著作権に含まれる権利の種類
(複製権)

第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(上演権及び演奏権)

第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
(上映権)

第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

(平十一法七七・追加)
(公衆送信権等)

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

(昭六一法六四・見出し1項2項一部改正、平九法八六・見出し全改1項2項一部改正)
(口述権)

第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。
(展示権)

第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
(頒布権)

第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。

2 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。

(平十一法七七・見出し1項2項一部改正)
(譲渡権)

第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。

一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三 第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
四 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
五 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物

(平十一法七七・追加、平十六法九二・2項四号一部改正、平二十一法五三・2項三号追加旧三号四号繰下)
(貸与権)

第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

(昭五九法四六・追加、平十一法七七・旧第二十六条の二繰下)
(翻訳権、翻案権等)

第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)

第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
http://www.cric.or.jp/db/domestic/a1_index.html
より


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