法人の確定申告を自分でやってみました

 昨年、AFFに対応するためGY.Materials(の興行に関する事業)を法人化しました。

 元々個人事業主の青色申告でしたのでその応用で法人の確定申告も大丈夫だろうと思っていたのですが、提出書類が全く違い難儀しました。

 同じようにAFFから法人を立ち上げた方も大勢おられると思いますので、そちらの方向けに自分の手順について記録を残します。今の所何も連絡は無いのでやり方としては多分正しいと思います。

 なお青色申告で処理しました。白色についてはよく解りませんが、これから申告されるのであれば赤字を引き継げるので青色を強く推奨します。

(去年の赤字を今年受け取った補助金で相殺が可能)


使用した会計ソフト

 の2つです。

e-Taxソフト

e-Tax操作画面

 e-Taxの確定申告書等作成コーナーはID・パスワードを入力しても弾かれました(個人事業者向けで法人には対応していないものと推察します)

 また、e-Taxのweb版は確定申告が利用できません。(参考 https://www.e-tax.nta.go.jp/software/software.htm

 よって、全ての申告に対応しているe-Taxソフトが必要となります。

ダウンロード:https://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoft/index.htm

 立ち上げると20年前ぐらいのお堅いUIが出てきて泣きそうになるかもしれませんが堪えてください。(自分は頭を抱えました)

 最初はどれがどれか解らないと思いますが、とりあえずユーザーID等の入力を済ませて、一旦e-Taxのソフトウェアは忘れてください。

 申告に必要になる帳票等は後から追加、削除が可能です。

フリーウェイ経理Lite

フリーウェイ経理Lite操作画面

 当初やよいの青色会計を使用していましたが、書類が全部違うという事で他に使える会計ソフトが無いかを探しました。

 大体はいいお値段なのですが正直予算が無いので、無料で使えて必要な書類が出力できそうなものを探し、いくつか試した結果行きついたものがフリーウェイ経理Liteです。

ダウンロード:https://freeway-keiri.com/

 ただ、やよいの青色申告からエクスポートしたデータではインポートが怪しい個所がいくつか存在したため、帳簿を右から左へ再度作成しました。(入力件数が少なくて助かりましたが下手すると発狂ものです)

フリーウェイ経理Liteでの作業

帳簿の作成

 法人の確定申告の際には財務諸表が必要になります。まず、財務諸表を作成する前に帳簿の入力を済ませてください。

 ここは青色申告と同じですので、個人事業主として青色申告の経験があれば応用が利きます。

 科目名について一部見慣れないものがありました。自分の作業では帳簿入力後、以下の項目設定についてエラーが表示されました。

  • 商品売上高

  • 商品総売上高

  • 製品売上高

  • 製品総売上高

 今までは商品、製品問わずに全て売上で処理していたため、ここで詰まりました。以下、調べた内容です。

商品と製品の違い

 商品は売るための品物
  加工しないで提供するものを指します
 製品は原料から作られた品物
  加工して提供するものを指します

 帳簿への記載時に製品と商品の混同が発生したので自分はこの段階で再度帳簿を修正しました。

 ライブや演劇等の興行業においては原則として商品となります。(AFFの対象となる展覧会なども基本的には「商品売上高」かと思います)

総売上高と売上高

 総売り上げ高は値引きなど無しで売った場合の売上高、とのことです。

 値引き
  売上値引は売り上げたものが1つであっても適用する場合
   外装に傷が入ってるので安く売る場合はこれ
   最初から値段を引いてあるもの
   処理上は本来はこの値段で売ったもの
    正規の金額で計上後、値引きの金額をを売り上げから引く形
 戻し
  リベートやキックバックのこと
  まとめ買いセールでの値引き
   1足400円の靴下を3足まとめて買った
    本来1,200円が1,000円になるような場合
    200円分の売上割戻しが発生
   処理上は、売ったあとに値引き分を先方に渡す形
 戻り
  返品
 売上高
  おそらく「純売り上げ高」の略かと思います
   総売り上げから上記(値引きの金額や戻した金額、戻りの金額)
   を差っ引いたもの

 例えばですが、チケットノルマのチャージバックは主催者側の会計処理としては「戻し」になるかと思います。(ほとんどの主催者は「預り金」で処理していると思いますが……)

会場費について

 販売費なのか一般管理費なのかで迷いました。

 販売費
  会社の営業活動に支出した費用のうち、
  商品の販売に関連して発生した費用
   参考:https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/47911/ 
  販売する従業員の給与や宣伝広告費、発送費や配達費、保管費
 一般管理費
  会社の一般管理業務に必要な全ての経費のこと
  会社の本業において収益を得るために使われる経費
   参考:https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/47911/
   販売とは直接には関係のない業務に必要な経費

 ホールレンタル料の場合、会場が無ければ営業出来ないので販売費でいいのかなと言う感じです。

 帳簿の入力等が完了したら、「決算書」→「e-Tax財務諸表出力」をクリックしてデータを作成します。

e-Taxソフトウェアでの作業

 ここからはe-Taxソフトウェアの操作になります。

 取り急ぎ先ほど作成した財務諸表を「財務諸表の取り込み」からXBRLを選択してデータを反映させます。
 財務諸表が存在しない場合は「帳票の追加」から選択してください。

翌期へ繰り越す欠損金又は災害損失金

 今期が赤字の場合は書いときましょう。AFF採択で補助金が出ていないのであれば節税に繋がります。赤字が出た時に前期の赤字にしてしまう「欠損金の繰戻しによる還付」という制度があります

参考:

 さてここからがややこしい話。個人事業主とは確定申告で提出する書類が全く異なります。

 別表と呼ばれるものですが、別表につけられた番号はあくまでも税務署側が見ていく際にチェックしやすいよう割り振られたものと思われます。作成側は何も考えず別表一から入力しようとすると思うのですが、混乱するだけ(しました)なので五から順次入力していってください。

 取り急ぎ必要になりそうなものは以下のものです。

必要になりそうな別表と簡易説明

別表五(二)
 税金の納付状況を知らせるもの。
 1期目は税金が発生していないので不要
  https://www.freee.co.jp/ctaxguide/taxreturn/corporate/appendix5_2.html
別表五(一)
 必須です。
 資本金の入力があります。
別表七(一)
 赤字の場合必要です
 うちは文化庁からの振り込みがあるまで赤字なので作成しました。
 別表七における赤字分の金額はマイナスで記載しないように
 注意が必要です。(赤字のマイナスは黒字)
別表四
 法人税が引かれる前の金額を記入、算出します
  これは見たままですね。
別表一
 上記をまとめたものです。
 とりあえずこれまで書いてきたもので該当するものを転記
 AFFで任意団体を立ち上げた人は基本的に中小法人です
  法人区分は人格のない社団等を選択
  同非区分はスルーで
 決算確定の日について
  決算確定の日は総会などで確定をさせた日です
   申告書の作成日ではないので注意。
買掛金の内訳書
 未払いが有ったので作成しました。「勘定科目内訳明細書」のツリーに有ります。
 科目には「買掛金」「未払金」「未払費用」のいずれかを記入します。
仮受金の内訳書
 源泉徴収支払済みのため削除
  期末で残高がある場合は作成
  「勘定科目内訳明細書」のツリーに有ります。
借入金及び支払利子の内訳書
 赤字の補填を借入金で処理していたので作成。
 「勘定科目内訳明細書」のツリーに有ります。

 特定の借入先からの借入金が50万以上ある場合は、
 それぞれの借入金を一行ごとに記載
  それ以下の金額はまとめて記載するようにとのことです。

 別表一からではなく、上記記載の順で作成していくといいと思います。

 書類がそろったらe-Taxソフトウェアから送信します。次年度などに見比べる項目が出てきますのでPDF等に印刷しておくことをお勧めします。

送信

左の柱にある「署名可能一覧」から「電子署名」を選択します。作成完了した申告の項目を選択し、電子署名を行います。マイナンバーカードを使用しました。

署名後、「送信可能一覧へ」から「送信」をクリック。送信を行います。この時、受付システムにログインするのですが、「マイナンバーカードでのログイン」ではなく、「利用者識別番号と暗証番号でのログイン」を使用します。(これは人によって違うかもしれません。自分は利用者識別番号を登録していたのでこちらをせんたくしました)

もし何かしらエラーが出た場合、右上のログアウトを押してから再度送信の項目まで戻り、ログイン方法を変更してみてください。

送信に成功したら確定申告が完了です。お疲れさまでした。後は納付するだけです。

eLTAX

e-Taxを送信しただけでは確定申告はまだ終わっていません。地方自治体への申告が必要です。

事前準備

e-Taxの「申告・申請等」のボタンから今回申告した確定申告の項目を選択します。

右下にある「地方税申告共通項目エクスポート(E)」を選択してください。

「エクスポートする地方税申告共通項目ファイルに設定する情報を選択してください」の項目は通常は内国法人(単体法人)を選べば大丈夫です。

ではeLTAXへと進みます。

eLTAXでの申告

eLTAX用のソフトウェア、「PCdesk」での操作を前提としています。

PCdeskを立ち上げたら申告をする法人を選択します。次に「申告に関する手続き」を選びます。

申告メニューが開いたら「申告データの作成」を選択し、利用者情報を確認します。問題が無ければ次へを選択してください。

「法人と道府県民税・事業税」を選択します。ツリーが表示されると思いますので、「確定申告」とその一つ下にある「確定申告」の二つにチェックを入れます。

次へを選んだ後、「国税情報を使用して作成」のラジオボタンをonにします。事業内容は我々の世界であれば「第1号・第2号事業」を、法人種別は何も無ければ「非分割法人」を選択してください。

ファイルの読み込みを促されるので先ほどエクスポートしたファイルを選択します。

基本情報選択はどちらを選んでも大丈夫です。

様式選択は特殊な事情が無い限りはとりあえず何も考えず、「決定」、「次へ」で大丈夫です。

提出先の選択で所轄の事務所を選択して次へを押してください。

転記結果一覧を確認して、問題が無ければ次へを選択します。

本表の編集

本表の編集を開始します。

入力漏れなどをチェックして問題無ければ次へと進めて下さい。電子署名を済ませたら送信して完了です。

後は納付したらすべての手続きが終了となります。

所感

 初めて自分で法人の確定申告をやってみた感想ですが、非常にややこしく2,3日は潰れる感じでしたので、個人的には自分でやらずに税理士さんか、有料のソフトウェアの使用をお勧めします。

 一応できたので来年も自分でやろうとは思いますが人には勧めないです。経理が専門職になる理由がよく解りました。

 とはいえ予算が無い所もあるかと思います。最低限、会計のデータがあれば税務署も相談を聞いてくれると思いますので、最悪、迷ったら税務署へご確認を。

 本記事が自力でやらざるを得ない方の参考になれば幸いです。

関連


資料

資料:別表のまとめ

提出する書類のまとめです。
 ※一般的には、別表一、別表二、別表四、別表五(一)、別表五(二)は必ず提出します。

別表一
 各事業年度の所得に係る申告書
 法人税の納付税額を計算する表

別表二
 同族会社等の判定に関する明細書
 同族会社に該当するかどうかを判定する表
 (出資金や株主が存在しない場合は気にしなくても大丈夫です)

別表四
 所得の金額の計算に関する明細書
 当期の利益から所得の金額を計算する表

別表五(一)
 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
 税務上の純資産の金額を記録する明細書

別表五(二)
 租税公課の納付状況等に関する明細書
 ①法人税、住民税、事業税などの租税公課の発生及び納付状況
 ②納税充当金の積立ておよび取崩しの状況を記載した表

資料:同族会社

 会社の運営方針などを決める会議における権限の強さの問題です。(議決権の強さ) 

 株式会社などは持ち株に応じて発言権が強くなりますが、この強い発言権(50%以上)を有する人や法人が集中しているかどうかで別れます。

 任意団体であれば普通に多数決かと思いますのであまり気にする項目ではないと思われます。

 参考:https://support.yayoi-kk.co.jp/business/faq_Subcontents.html?page_id=1559

参考サイト

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