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【事例紹介】 メンバー20名でコーチングを学び、自社ならではの価値を創造する

「対話型アプローチを通して自主自律型組織への変革を伴走する」をテーマに、各社の状況やニーズに合わせてオーダーメイドのサービスを提供しています。今回は、メンバー向けにコーチング講座を取り入れられ、その後、行政や外部の企業とも連携してコーチング事業に取り組んでいるはたらクリエイト様に、コーチング講座を導入するに至った経緯、費用対効果を考える中での葛藤、導入後の変化についてお伺いします。

お話を伺ったのは、株式会社はたらクリエイト取締役CEmO高木奈津子さん。

新卒で東京の人材総合会社に入社し、求人広告の法人営業や、エンジニアや女性向けの就職・転職フェアの企画・運営を経験。2015年に長野県上田市に移住し、託児所付コワーキングスペースの立ち上げを経て、株式会社はたらクリエイトを起業。個々の力を引き出し、いかしあうための組織づくりと制度設計、事業開発を行う。

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「はたらく」をクリエイトする

ー 事業内容について教えていただけますか?

「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」というミッションを掲げ、長野県上田市と佐久市に拠点を設けていて130名のスタッフが在籍しています(2021年7月現在)。事業内容としては、主に東京のお客様から業務委託の形で、Webコンテンツの制作、SNS運用などを請け負っています。

ー 御社のミッションの背景を教えていただけますか?

私たちの出発点は2015年、上田市に託児所付きのコワーキングスペースを開設したことからでした。きっかけとしては、キャリアを積んだ女性が子育てや介護を理由にキャリアが一時中断し、再度働く場所を探しても地方の場合、限られた仕事しか見つけられないという課題がありました。ライフステージの変化によって働くことを中断したとしても、今までの経験を活かしてキャリアを再構築していける場が必要だと思い、コワーキングスペースを作ったのが始まりです。

立ち上げてから2年は個人、企業、行政など各所と連携を取り、コミュニティづくりやキャリア支援に力を入れていました。コワーキングスペースがハブとなって県内の企業の業務を請け負い、登録メンバーに割り当てる仕組みも作りました。ただ、2年を経過すると地方創生の補助金の支給も終わりが見え始め、事業の方向性を再度策定し直し、コワーキングスペースとしての役割を終えることを決めました。

そこで、仕事の請け負い先を営業先を県内から東京に切り替え、1社、2社とご縁をいただけるようになり、クライアント企業様が増えるにつれて提供するサービスの幅も広がっていきました。また、メンバーも登録型から雇用型に切り替え、半年間で50名以上の組織になりました。その後本格的に営業体制を作り、メンバーのスキルや専門性も次第に高まり、お客様の業務をリモートで請け負うことから「リモートチームサービスhatakuri.」と名付け、活動の幅を広げていきました。結果、2019年には女性のキャリア再構築の仕組みが評価され、「日本HRチャレンジ大賞人材マネジメント部門優秀賞」をいただくことができました。

2021年はコロナ禍での市場の変化に適応することを目的に「ともに成長するチームをつくるbanso.」へとリニューアルし、ただ単にアウトソーシングの業務委託をするだけでなく、顔が見える関係性を大事に、共に成長していけるようなチームを作っていこうとしています。その一環として、今年は佐久オフィスにサウナや焚き火ができる場所を作って、東京のお客様をお呼びして関係づくりができる環境を整えています。

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コーチング講座は社内の関係づくりを超え、その先を見越す

ー コーチング講座を検討したきっかけは何だったのでしょうか?

私自身、2020年にコーチングを学びました。事業や制度の基盤を作ることに集中してきた3年間は、目の前のことに必死になるがあまり、メンバーにリクエストを押し付けるような感覚になっていて…。自分自身も辛くなり、メンバーの可能性を潰してしまっていると思ったことから、コーチングを学ぶことで変化を起こせないかと思いました。

小寺さんが講師を務めるZaPASSのコーチ養成講座で、メンバーと対話する時の心持ちや感情との向き合い方など、コーチングのスキル以外にも人としてのあり方を学びました。そして、学んだものを現場で実践してみると、メンバーとの関係性や会社の雰囲気が変わっていくことを体感したんです。そこで「コーチング的文化を社内で醸成したい」と思い、メンバー向けにコーチングの基礎を体験するワークショップを実施しました。メンバーからも「もっと深く学びたい」と声が上がったり、メンバーのコーチとしての素養も感じることがあり、さらに深くコーチングを取り入れる方法を模索し始めました。

ー 模索する中でどんなことを考えていましたか?

自分の力だけで、社内にコーチングを浸透させていくことに限界があると感じたため、外部の方の力を借りることを検討を始めました。ただ、投資の費用対効果について考える中で、社内の関係性の質の向上のためだけでは投資には見合わないと感じていました。

学び方の可能性を探っている時に小寺さんとお話しする機会があり、「このメンバーだったら、学んだことを価値として提供できるチームになるのではないか」とお言葉をいただきました。その時に、一筋の光を見た気がしたんです。

社内の学習に留めておくのではなく、メンバーと共に、学んだことを社会へサービスとして提供できる可能性があるのではないかと伝えてくださったのがすごくうれしくて、動き出すきっかけになりました。社内の関係者との対話を繰り返し、コーチング講座をサービス提供に向けた事前投資と判断し、導入することを決めました。

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学ぶだけではなく、共に事業を創る意識を持って

ー 講座が始まるまでにはどんな道のりがありましたか?

講座に参加するメンバーは、立候補で募集しました。講座を受講するだけではなく、コーチングを学び、共に事業を創るメンバーになるという目標を掲げて募集したところ、40名ものメンバーが手を挙げてくれました。そこから私たちが目指しているものやメンバーが考えているものを交換し合う対話会を実施して、最終的には20名が参加することになりました。

ー 講座の内容について教えてください。

全12回のオンライン講座で、基礎的なコーチングスキルとタイプ別のコミュニケーション方法について学びました。何より、毎回の講座を対話的に進めていただけたことが良かったと感じています。

ー どんな変化がありましたか?

最初は、メンバーも周囲を気にしながら発言していたのですが、コーチングを学ぶことを通じて「自分も考えていることを伝えていいんだ」という意識に変わっていきました。講座が始まってすぐはメンバーの反応も様々で、バラバラとしたスタートでしたが、回を重ねるにつれて、新しい知識をインプットしたり実践の場が増えていったりすることで、同じ目標に向かう一つの集団へと変化していったように感じています。
講座ではコーチングのスキルを学べることはもちろんのこと、それを超えて、関わる人自身のあり方を見つめ直す機会になったり、自己肯定感が育まれる時間になりました。

ー コーチング講座の導入と事業フェーズの関係性について教えていただけますか?

会社を設立して丸4年経ちます。今は投資を考えられるフェーズですが、それまでは事業を存続させるために必死で、正直投資までは考えられませんでした。その下地作りの期間を経て、現在は中長期的な成長を考え、より人にフォーカスを当てています。個々のメンバーの価値観や感情に対して本質的に向き合い、共にカルチャーや環境を育んでいくことで、より社会にも価値を発揮していくことを目指しています。

どんな働き方であればメンバーが仕事を楽しむことができるのか、という問いを常に持っていて。一人一人が、その人自身の「本当にありたい状態」と仕事が結びついていれば自ずと成果も上がってくると思っているのですが、その状態になれるのって1日2日の話ではなくて、半年、1年かけて一緒に育んでいくものなのかなと思っているんです。その育むところに投資し始めている感覚です。

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「コーチング×◯◯」 自社ならではの強みを生かす

ー コーチングを活かした、今後の展開について教えてください。

講座が終わってまず実施したのは「長野県100人コーチングプロジェクト」でした。長野県に後援いただき、長野県在住・移住検討中の方に向けて、名前の通り100人にコーチングを提供するというものです。(※すでにプロジェクトは終了。)

無償でコーチングを提供したのですが、その背景として、コーチングを地域の人たちに広く届けることや、共に学んだ20人のメンバーと1つのプロジェクトを乗り越えることに意味を見出していて。メンバーと共に、事業を作るという観点を育むのに最良の機会だと思いました。

このプロジェクトを経て、6つのチームに分かれ、「コーチング×子育て」「コーチング×移住」のように、ターゲット別にコーチングを掛け合わせて何が提案できるかをまとめ、長野県に向けて提案しています。

また、行政とは別に、既存のお客様に対してもコーチングを活かすことも検討しています。例えば産育休を取る人が出た時に、これまでは業務の一部を受託するという関係性だったところから、一歩入り込み、産育休前後の心の変化に寄り添ったり、チームの目指す先を一緒に言語化したりするイメージです。

ー 最後に一言お願いします。

今回のコーチング講座では、「はたらく」をこんなにもクリエイトしていいんだ、という経験をメンバーと味わえたと思っています。これからも、メンバー個人だけに留まらず、関わる人といろんな体験を通して可能性の輪を広げていきたいですね。

「仕事はこうするべき」といった「have to」で動くよりも、心から沸き上がってくる「want」に従うことで仕事を楽しんでいる人が増えて、それが子どもたちにも伝わっていくと嬉しいですね。そして、「仕事だからしょうがない」という動機ではなく、「仕事って楽しい」「働くことが楽しみ」とワクワクするような働き方をする人が増えていくことを願っています!

サウナ・ごはん2

\9/15(水) イベント開催/
はたらクリエイトさんをゲストにお迎えした、イベントを実施します!

「仕事の楽しむこと」にチャレンジし続ける、はたらクリエイトの礎となる哲学に迫ります。モデレーターには、10年に渡り国内外問わず数多くの企業を視察している小寺毅氏を迎え、”New"で”Next”な企業のあり方を、共に考えるイベントです。

■イベントタイトル
:New&Nextな企業研究:株式会社はたらクリエイト 
〜地方発!「仕事を楽しむ人を増やす」事業作りの哲学とは〜

■日時
9/15(水) 19:30〜21:00

■登壇者
[ ゲスト ]
株式会社はたらクリエイト CVO 井上拓磨様 / CEmO 高木奈津子様
[ モデレーター ]
株式会社はぐくむ 代表取締役 小寺毅

■詳細・イベントページ
こちら


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