Not so all.



予定がなくなった。

2時間前に突然なくなったのだ。

そんな予感はしていたけれど、
実際そうなるとなんだか少し楽だった。

寝溜めよう、と1人では広すぎるベッドに転がると、
眠りが浅いなりに少しだけ寝ることができた。

録画していた番組もバラエティばかりで、
見飽きた頃に化粧品が切れていたことを思い出し、
のろのろと支度を始めた。


ついでに指輪も買いに行こう。



難なくスキンケア用品を買い足すと、
指輪を探すために何店舗か寄ることにした。


ある程度のブランドものを買ってしまおうと思ったけれど、
なんだか少し寂しくなってしまって
百貨店を出た。

ちょうどいい価格のものがなく、
近くのショッピングモールも諦めることにした。

安すぎず、高すぎないちょうどいいものが欲しかった。



なんだろう、百貨店のあの空気は。


息がつまるような、場違いな気持ちは。



それでも目的のジュエリーコーナーにいこうか考え、向かうことにした。

でもそれはやっぱりやめたほうがよかったのかもしれない。


フロアに着いた途端、幸せがいっぱいに詰まった空気が
どこからともなく流れてきて
わたしを飲み込むんだ。

フロアを見渡すかぎり、
男女二人組ばかり。

それに耐えれなくなって、わたしは
フロアを一周だけすることにした。

ちなみに、目的のジュエリーショップのポップには
ウエディングフェア、と記載されていた。

きっついな、と心で苦笑しわたしは
エスカレーターへと向かった。


あんなことを書かれて、
1人で買いに行くことができるだろうか。

むしろ、種類は違えどそんな強さが欲しくて
指輪に願掛けをしようと買いに行ったのに。


自分の弱さに少し呆れて、
タイミングよく滑り込んできた電車に乗り込んだ。



真っ白な外は、今にでも雨が降りそうだった。

外に干した洗濯物を取り込まなきゃ、と
見慣れた道を歩きながら、
暖かくなった空を見上げた。


#エッセイ #ひとりごと

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