天気は晴れ
朝はいつも、その日1日の天気を
スマートフォンのアプリで確認するのが習慣だった。
仕事に行くときはもちろん、
デートや1人でどこかに行くときも。
服はいつもあたしを守ってくれるから
わたしはいつも、守ってくれる相棒を
引き出しから選ぶ。
その日、アプリに表示された文言は本格的な春の始まりを告げた。
仕事が毎日忙しく、休日は平日にやりきれなかった家事や用事をすませるために
ほっとする時間がなかなかとれない。
日当たりが悪く寒い部屋で
わたしは変な理由をつけて、
春服に変えるのを、きっと心のどこかで拒んでいた。
きっと、今の状況でなければ
うきうきで、週末にでも衣替えをしようと思っていたに違いない。
部屋を出るときに、薄手のコートを羽織って
少しだけワガママを言って
玄関で見送ってもらった。
でも、そんな顔されるくらいなら
もう呼ばないようにしよう、干渉しないようにしよう。
眩しい朝日を見て、その光を焼き付けるように思った。
わたしの心とは裏腹に、
天気はこの年の最高気温を記録した。
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