No good.



今週は、早く帰れる日とそうでない日があると踏んでいた。


だから、今日は早く帰れる日。


そうやって、思い込むからいつも
地面に叩きつけられるんだけれど。



明日は半年ぶりに彼とランチができる日のはずだった。


お互い働いており、別々の場所に勤務していると
ランチなんて一緒に食べれること自体が奇跡なのだ。


ウキウキしてしまった。
わたしは、少しでも嬉しいと浮き足立ってしまうのだ。


これがまずかった。

ふと、なんだか嫌な予感がして
スケジュール帳を確認する。



その日には、会社の人と親睦を込めたランチに行かねばならないと書いてあったのだ。



思わず一瞬下を向いてこめかみを押さえてしまった。


まじか。

正直そんなくだらないその場限りの人間関係のために、わたしと彼の貴重な時間をなくされたのだ。
しかも、半年ぶりの時間を、だ。


それでなくても、わたしはその日
他の用事があったのに。



声には出さず一言だけつぶやくと、
スケジュール帳を閉じて短く吐息を吐いた。


あたしは、本当にタイミングが合わないのだ。





最近、恋愛は諦めた。
恋人なんていても、この仕事をしていたら駄目になることは何度も経験済みだからだ。


愛を懸けるのは、家で健気に待ってくれているあの子だけで十分なのだ。

使うあてのない、溜まっていく預金の額を見るのも嫌になって、
引っ越しを決意した。





毎日何時間も待たせても、彼は健気でい続ける。

それが嬉しくて、さみしくて
わたしは、外出する機会を何度も逃すのだ。



相変わらず乗り継ぎの悪い電車を途中で降り、
わたしは家まで歩いた方が早いと
駅の改札を出た。



早く会いに行かなきゃ。


そしてきみに、甲斐性のない彼の代わりに、
遅めのご飯をあげるのだ。


きみが早く人間にならないか、心待ちにしてしまっている自分がいることが、すこしだけ痛々しく思えた。


そんなこと、あるわけないのに。


でも、そう思うだけで救われる。

変だ。



#エッセイ #ひとりごと #小さな幸せ

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