ぐるぐる。――ぐーるぐる。 あはは、いえがまわってる! 幼いころ、誰しも一度は、わざと目を回して遊んだことがあると思う。僕は五歳くらいの頃、その遊び、或いは小さな実験に、かなりのめりこんでいた。 本当は家が回っているのではないとは分かっていた。家にあった図鑑で、耳の中にある何らかの器官が、上とか下とかを感じていて、回るとそれが錯覚を起こして、目が回る、というところまでは何となく理解していたからだ。 一人寝室で回っていた僕には、自分が今どうなっているのか分からな
僕と同じコンプレックスを持つ人たち・真逆のコンプレックスを持つ人たちの存在を、承知の上で書く。 僕の生きる世界とは、僕の心の中だ。この懐疑論めいた考えを、ずうっとうっすら持っている。モノがあること、他人がいること、そして自分がいることさえも、心のどこかで疑いながら生きてきた。「愚話~は素直で騙されやすい」と言われ育ったが、実際は、何一つ信じることをしていなかった。だからこそ逆に、全てを平等に信じた行動をとっているように見えたのだろう。ひょっとしたら、「素直さを伸ばしてほ