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ATP500テニス ドバイ大会の準決勝  ルブレフ 対 ズべレフ

ジョコビッチが、378週のATPトップを迎えて世界記録を作った。これまでの最長記録はグラフの377週で、フェデラーは310週。文字通り、テニス歴史上、最も強いチャンピオンとなった。この時代には、フェデラーとナダルとマレーがいたことを考えるとこれはさらに凄い記録となる。

準決勝の戦いは、アンドレイ・ルブレフとアレキサンダー・ズべレフ、ジョコビッチとメドベージェフとなった。ドバイ大会は、賞金がとてもいいのだろう、これほど強い選手がATP500に揃うのは珍しい。

ルブレフは、ロシア出身で、25歳、188cmで、現在のランキングは6位、この大会では、第2シードでジョコビッチに次ぐ。一方のズべレフは、ドイツ出身で、同じ25歳、198cmで、現在は16位にいる。この大会では、第7シード。彼は、昨年全仏オープンの準々決勝でナダルと熱戦をして、試合中に右足首の靭帯を断裂した。この1月に復帰したばかりで、その回復具合に興味があった。

二人の対戦成績はズベレフの5ー0で、ルブレフはまだ勝てていない。ただ、一番新しい記録でも2021年で、ルブレフはその頃からずいぶん成長しているので、この試合はどうなるかわからないだろう。二人は同い年で、ジュニアの時からライバルでもあり、仲の良い友人らしい。この試合中でもそれがわかるような場面が何回かあって、微笑ましかった。

セットが始まる前に、コイントスでサーブの先行を決める。今回は、ルブレフがコイントスで勝ったのだが、サーブにするかレシーブにするかをしばし悩んで、レシーブを選んだ。悩むなんてとても珍しい光景だが、それをズベレフが笑っていたのも印象的だった。

第1セットは、ズベレフのサーブではじまる。ズべレフのサーブはとても良かったが、ルブレフはレシーブが上手くなっていて、リターンできる場合が多く、ストローク合戦になる。ズべレフのストロークが少し長くなりアウトが多く、最後にダブルフォールトで第1ゲームをルブレフが破った。

第2、3ゲームはそれぞれキープでゲームは2−1となり、ルブレフのサーブで第4ゲームとなる。ルブレフは40−0となり安心したのか、ショットに伸びがない。一方、ズべレフはやっと調子が出てきたようで、ショットが鋭くなってきた。ズべレフが、このゲームをブレークバックして、2−2のイーブンになる。

第5ゲームでは、ルブレフのリターンが良くなって、再びズべレフのゲームを破る。ズべレフのサーブは速くて重いのだが、その分リターンは速く返ってきて受けられない。第6ゲームは、ルブレフのストロークが良くストレートでキープとなった。この時点で、ルブレフの4−2で先が見えてきた。

第7ゲームはズべレフのサーブだったが、両者のストロークの打ち合いは、スピードが速く、スーパーショットの連続で素晴らしかった。ズべレフのキープだった。第8ゲームはルブレフのサーブだったが苦戦、40−40までもつれキープとなった。第9ゲームはズべレフのサーブで、速い重いサーブが入るが、ルブレフのリーターンが鋭くズべレフの足元をえぐり、ブレークされ第1セットが終わる。ルブレフの6−3だった。

第2セットは、素晴らしいセットだった。第1ゲームは、ルブレフのサーブで始まり、ストレートでルブレフがキープした。最後のポイントは、ズべレフの打ったショットがルブレフのいるベースライン近くに落ちたが、ラインアウトという審判のコールに、ルブレフが首をひねり、ズべレフに「インだよ」と合図を送った。そこでズべレフは、チャレンジをしたのだが、アウトだった。ルブレフは、結果的にはズべレフのチャレンジ権を1つ奪ってしまったので、ズべレフに謝ったが、ズべレフは笑っていた。珍しい光景だった。

第2ゲームは、ズべレフのサーブで二人のストローク合戦が素晴らしかった。結局、ズべレフのキープとなった。210km以上のズべレフのスピードサーブをレシーブするルブレフも凄かったが、、、。第3から第11ゲームまでは、お互いキープが続いた。ここでも、2人のストローク合戦が素晴らしかった。第12ゲームでは、ズべレフが5−6でサーブとなる。40−40になり、ルブレフがマッチポイントを握るが、ズべレフはキープしてタイブレークに入った。

タイブレークは、ルブレフのミニブレークで先行したが、ズべレフは6−6で追いつき、8−7で初めてセットポイントを握る。ズべレフも粘り、結局11−9でルブレフが振り切り、セット数2−0で勝った。スコア以上にレベルの高い、スーパーショット連続の面白い試合だった。

ズべレフは怪我からほぼ完全に復活したようだ。まだ、復活してから実戦経験が少ないので、初めのうちはストロークが安定していなかった。特にフォアハンドストロークが長くなったり、トップスピンのかけ過ぎで球足が短くなる事が目立った。修正は時間の問題だろう。彼が戻ってくると、ATPテニス大会はさらに面白くなる。ズべレフは優等生だから、通常のショットや変化にはめっぽう強いが、チチパスのような変化の激しいテニスに対してうまく対応する必要があるだろう。

一方、ルブレフはここ2年くらいでずいぶん成長した。私は、ATP10位くらいが限界ではないかと思っていたが、レシーブがとても良くなった。ズべレフのあんなに速い重いサーブをいとも簡単に返せるようになったのが驚きだった。両手打ちのバックショットもずいぶん安定感が出てきたし、たまに打つバックのストレートは見事だ。ボレーもすごく上手くなってきた。フォアハンドやサーブは前から凄かったので、チャンピオンを狙える位置に上がってきたのもうなづける。彼は、おそらく性格も素直なのだろう、あの激しいショットや失敗した時の自分を責める表情からはとても想像できないが、、。




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