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ATP1000テニス インディアンウェルズ大会の準決勝  アルカラス 対 シナー

インディアンウェルズ大会の準決勝の組み合わせは、メドベージェフ対ティアフォ、アルカラス対シナーとなった。この組み合わせの中で実力が接近していてスーパーショットの連続が期待できるのは、アルカラス対シナーだろう。

カルロス・アルカラスは、スペイン出身で19歳、183cm、ATPのランキングは2位、この大会では第1シード。フォアもバックもグランドストロークは、安定していて、ボールは速く、重く、伸びがある。そのため、ドロップショットも得意でよく決まる。サーブもレシーブもフットワークも素晴らしいものがある。精神的にも安定していて、長期のチャンピオンになるだろう。

一方、ヤニック・シナーは、イタリア出身で、21歳、188cmで、現在のランキングは13位、この大会では第11シード。フォアもバックハンドもグランドストロークは素晴らしい。ボールは、ライジングを打つためか非常に速い。サーブもレシーブもフットワークも良いが、左右に動く時に体のバランスが良くなくなる時があり、そのためにリターンが左右に外れる時がある。いづれアルカラスとチャンピオンを争うことになるだろう。

二人の対戦成績は2ー2だが、ハードコートでは、アルカラスの2−0。アルカラスの方が少し有利だが、実力的にはほぼ互角に近いと思う。そのため、この試合はとても面白くなるだろう。

第1セットの第1ゲームは、シナーのサーブではじまる。シナーのファーストサーブが良く、40−15でキープ。第2ゲームは、アルカラスのサーブだが、シナーが左右に振るも、アルカラスの左右の動きが極めて良い。アルカラスのキープとなる。

第3ゲームは、シナーのサーブで、40−30からキープ。シナーの戦略は、サーブであれ、ストロークであれ、アルカラスのバックに深く打って、ボレーで仕留めるというものらしい。第4ゲームは、アルカラスのサーブがよく40−15でキープ。第5ゲームはシナーのサーブだが、ジュースまでもつれこみ、シナーのダブルフォールトで自滅する。セカンドサーブでは、アルカラスが打ち込んでくるため、ダブルフォールトが出てくる。ゲームはアルカラスの3−2となり、第6ゲームと第7ゲームは、お互いサーブが良くキープ。

第8ゲームはアルカラスのサーブだったが、0−40のストレートでブレークされて試合は4−4のイーブンとなる。第9ゲームはシナーのファーストサーブのキレが良く、キープ。第10、11ゲームはどちらもキープが続き、第12ゲームはアルカラスのサーブだったが、ジュースまでもつれた。最後は、アルカラスのドロップショットが決まり辛くもキープ。第1セットは、6−6のタイブレークとなった。タイブレークは、アルカラスが終始リードしていて、7−4でとった。第1セットは、ゲーム数でアルカラスの7−6だった。シナーのダブルフォールトで失ったゲームがなんとも痛かった感じがする。

第2セットの第1ゲームは、アルカラスのサーブで始まり、キープした。第2ゲームは、シナーのサーブだった。バックハンドショットの打ち合いはほぼ互角だったが、アルカラスは苦しくなるとトップスピンの山なりのボールを混ぜ、これに対してシナーのミスが目立つ。ジュースまで持ち込まれて、アルカラスに破られる。第3ゲームでは、アルカラスの2−0で、アルカラスのドロップショットや最後のロブが見事だった。アルカラスがキープした。

第4、5、6、7、8ゲームは、キープが続いた。ゲーム数、アルカラスの5−3でサーブの第9ゲームとなったここでもアルカラスのドロップショットが冴え、40−30でシナーを退けた。第2セットは、アルカラスの6−3で、アルカラスは、ストレートでシナーを破ったが、とても面白い試合だった。

全体的には、シナーはグランドストロークでは、スピードでアルカラスを上回っていたが、ところどころでトップスピンの山なりのボールを混ぜられ、それがシナーのミスを誘っていた。ドロップショット、ロブ、全体の視野、相手の動きの予測などは、アルカラスの方が上回っていたような気がする。

アルカラスについては、あまり言うことはない。バランスが良いし、打った後で体のバランスが崩れないのもすごい。ボレー、ドロップショット、ロブなどの小技など、とても19歳とは思えないくらいうまいと思う。なかなか彼に勝てる相手は現れないだろう。シナーは数少ないその相手になれる選手だ。アルカラスは、明らかにシナーを嫌がっている。

一方、シナーはここ2年くらいで驚異的に成長した。強烈なフォアハンドとサーブは、出た時から素晴らしかったが、両手のバックハンドも安定感がかなり増した。ボレーも積極的にこなしているのは良いと思う。ジョコビッチやアルカラスやメドベージェフなどにどうやって勝つかということになるとまだ難しい。サイドラインやベースラインギリギリのボールの精度が必要だろう。また、試合中でカッカしないことや相手の動きの予測の向上などが挙げられるだろう。是非、アルカラスの天敵になって欲しい。

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