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【 読書 】殺人事件ルポ 獄に消えた狂気 を読む

獄に消えた狂気
平井美帆
2011年8月20日発行

仕事でも優秀だったのに
外国に嫁いで、壊れてゆく ひとりの女性
リアルに悲劇だ 

幼稚園年中の終わりに2人の子供が通園の車の中で刺殺され脇の田んぼに捨てられた琵琶湖北部での事件だ
2000年生まれ、生きていれば今年22才だ
殺したのは集団見合いで日本に嫁いできた中国人妻だった
朝鮮系の中国人で、大連で通訳などの仕事をしていたエリート女性だったそうだ
裁判での判決では、無期懲役となった

犯罪者自身が悲劇の中にいる
もちろん被害者や遺族も悲劇だが
珍しいタイプの犯罪者取材ルポに感じた
どうやらそれは狂気に関わるものだからかもしれない
実際に幾つかの出版社はこの原稿に危険を感じて出版を断ったらしい
どんな危険かといえば例えば人権団体から訴えられるなどだ  他にも気になる点は多々ある

著者がこの犯罪者に拘ったのは、外国で疎外感を感じた経験や、同い年である事など幾つかの理由を書いている
精神障害とはいえ、面会室で直接見る狂気の眼差しからは著者も逃げ出したくなるのと併せて逃げてはいけない、もしくは、逃れられない人間の持つ恐ろしさを感じてしまった事も理由の一つなのではないかと思う

眼が動き回っている
白眼をむいたまま
そんな面会で取材を続ける
話しの内容もひどい  悪化もする

中国では優秀で、日本に嫁いできても聡明さは周りにも分かったたそうだ
子供を出産したあたりからおかしな言動が出てきて、精神分裂病:病名では統合失調症と診断され投薬治療が必要となる
そして5年で娘の同級生を殺害
10年経てばもう、自分が何者なのかすら分からない妄想状態に悪化している

しっかりした女性が、より豊かな生活を目指して外国人と結婚し、めでたく娘を授かった
しかし、この女性の場合は、その時期から精神障害が始まってしまった
ものすごい壊れ方で、哀れでもあり恐ろしくもある
現実から目を背けたくなる

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