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【読書】 中山七里の テミスの剣 を読む

テミスの剣
中山七里
2014年10月25日発行

満足
冤罪事件に償い続ける刑事の物語り
冤罪事件が起こるのも取り調べ段階からだ
日本の司法の問題点だが既成事実になってしまっていることがいまだに悲劇を生み続けることになっている

一旦供述しろ  犯行を認めろ  法廷で言い分を明らかにすれば法治国家の日本では無実の人間に罪を被せることはない
などと、無実であろうが調書を作成押印させる

この小説では、この容疑者は無実だった
しかし法廷で無実を叫び続けても死刑の判決だった  控訴しても覆ることはなかった
そして刑務所内で自殺してしまう



やがて別の事件で真犯人が判明する
この犯人はさらに重い罪を犯しながら裁判では無期懲役の判決だった

冤罪を警察内部から告発することは大変な事になる
しかし主人公の刑事は償う想いがある
信頼する賢治に託したのだった
メディアへのリークにより嵐のような時を過ごすことになる
多くの者が更迭や免職で責任を取らされる

そしてヌケヌケと懲役刑で模範囚を務めた真犯人は20年以上経って仮釈放となる
冤罪を苦に自殺した者もいるのにだ

こうした理不尽な司法制度が日本の現実だ

小説では真犯人が仮釈放後すぐに刺殺される
犯人は、冤罪のまま自殺した死刑囚の父親だった
そして、それを仕向けたのは信頼していた賢治だった

決してどんでん返しとかいうものではない
実話ではないというだけの話だ
でも実話でないから要点を絞ってストーリーがまとまっている

ルポルタージュのような雰囲気も多少は感じさせてくれている
楽しめた

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