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【読書】月村了衛の 悪の五輪 を読む

悪の五輪
月村了衛
2019年5月14日発行

読み応えあって良かった
昭和の東京オリンピックの記録映画にまつわる物語だ
映画好きのヤクザがこの記録映画を仕切ろうと命を張って取り組む
黒澤明が制作費の提示が通らず監督を断り今村昌平や当時の有名監督も断ったそうだ
親分の命令を受けて動き出した主人公は映画界から五輪委員会、政界とその黒幕などに渡りをつけて行く
当然、別の組との抗争にもつながる
フィクションだが、児玉誉士夫や岸信介、田中角栄、野中広務といった実名や伊丹十三、渥美清、田宮二郎などの俳優たちの芸名もそのまま出てくるのでリアリティがある
オリンピックに絡むのは様々な主導権争いでもあった
ヤクザ同士の抗争も激しく描かれ、映画の撮影現場もしっかり描かれる
主人公が描いた夢は潰えてしまい
最終的には市川崑監督で制作された

テレビの普及も進む中、戦後の大衆娯楽として映画は大きな興行であった
著者が産まれた頃の話なので、親の世代が若かりし頃を描写したことになる
時代感覚は近いようで遠いのかもしれない
元号も平成から令和に移ろうという時、コロナ禍が無ければ東京オリンピック2020が目の前にあったタイミングで書かれたわけだ
2021年のオリンピックでは、終わってみればヤクザの利権争いよりも広告代理店の金の問題の方が取り沙汰された
似たようなものなのかもしれない

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