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【妻に捧げる読書note】「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考(by 末永幸歩)

先に結論から言うと、ものすごい本に出会ってしまった。これは、近年で読んだ本で一番楽しい本だった。

要点

  • これからの世の中で必要なのは、自分なりの答えを「つくる」能力:これまでは、数学のような、正解を「見つける」能力が問われていた。技術の進歩があっても、その中で、その瞬間の「正解」を取得したものが勝つ世の中だった。しかし、個人一人一人がニーズを持ち、また技術もものすごいスピードで変わるため、正解が多種多様なものとなり、それを生み出す手段も日々変わっていく。そんな時代には、自分なりに正解を作り出す能力が重要となる。それを培うのが「美術」という教科であり、アート思考という力である。

  • 現代アートはわかりにくい、と言われるが、それは20世紀までのアートがわかりやすいためである。それまでのアートは、実世界をリアルに再現することに重きが置かれ、また、王侯貴族や教会などから依頼されたものを作る、課題解決型の作品だった。しかしながら、カメラが登場したことで、アートの「正解」が大きく揺らいでしまう。現実を切り取るカメラに、アートはもはや存在意義を奪われてしまいそうになる。そんな20世紀に、アートとは何か、という問いに様々なアプローチがなされた。その結果、現代アートは、「わかりにくい」と言われるようになった。

  • アートとは、相互作用(インタラクション)デザインの一形態である。作者が作品を作る際に、作者自身と作品が相互作用し、また、作品を鑑賞する人と作品が相互作用する。そこに、正解はない。作品を鑑賞する人は、自分たちの持つものの見方によって、自分なりの解釈を感じ取る。アート作品を鑑賞することは、自分なるの答えをつくる能力を養うための訓練として最適である。

    • アートの鑑賞方法①:アウトプット鑑賞:作品から感じたことをそのまま言葉に出していく。どんなことでも、気づいたことをアウトプットする。

    • アートの鑑賞方法②:アウトプットしたことから次の問いをして発展させる。

      • どこからそう思う?:意見の根拠となる事実を問う

      • そこからどう思う?:事実から感じた意見を問う

    • アートの鑑賞方法③:音楽を聴くときと同じように、ただ純粋にその作品と向き合う。作品とやり取りをすることで、作者とともにアート作品を作り出していく。

  • 正解を導くだけの「課題解決型」の人から、問いそのものを生む「価値創出型」の人になろう。自分の意見を持ち、自分の探求心を深め、自分なりの答えを作り出していけば、作品を世に出さなくても、スキルが突出していなくても、みんながアーティストと言える。

響いた内容

6つの授業からなる構成でとても読みやすい本だった。カメラの登場でアートの正解が揺らいだ時、先人たちはどのようにしてアートを再定義していったのか、6つの名作と呼ばれる作品と、そこに込められた挑戦や問いを題材に、アート思考を習得するための授業が繰り広げられる。「自分がどう感じるかが大事」、「自分なるの答えが作れればそれで良い」という一貫したメッセージと、本のわかりやすさから、とても強くメッセージを体得することができた。

こんな人に読んでほしい

これからを生きるすべての人たち。


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