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レコード収集癖 覚書2

ここに2枚のBLUE NOTE1588番 COOL STRUTTIN ’ / Sonny Clarkがある。

大丈夫、1枚何万円〜何十万円といういわゆる発売当時のオリジナル盤の話ではないので安心して欲しい。

前回の作文を読んでくださった方は…あ、コレが 「たまに持っていないと思って買ったものが家に帰るとすでにあったり。」のアレね!と思われたかもしれないが残念ながら答えは否。1588番はJazzを好きな日本人であれば全員がよく知っている有名盤なのだ。

であればマニアがよくやるという1枚が擦り減った時にもう1枚あるもんね的なスペア盤かというとそういうわけでもない。そんなお金があったらまだ持っていない聴きたい作品が山とあったのだから。

よく見ると左の方が少しセピアカラーであるが、どちらもTOSHIBA EMIがリリースした復刻盤。とはいえ格好良い写真だ。ブルノートの場合、通常撮影がFrancis Wolff、デザインはReid Milesとなり、ジャケットの傑作もたくさん生み出している。しかしこの写真、実はReid Milesの撮影ということだ。BLUE NOTE 1500番台のジャケットのほとんどはこの2人のコンビによって産み出され、それは設立者であるAlfred Lionの理想の高さが体現されていると言えるはずだ。

このジャケットのエピソードは別の機会に譲るとして、左のセピアの方が1984年(昭和59年)に発売されたもの、右が1994年(平成6年)に発売されたものである。(と思われる) つまり左は学生当時に新品で買ったもの、右は卒業してしばらく経って買ったものだ。

さて答えはそれぞれのジャケット左肩にある。左はSTEREO、右はHIGH FIDELITY。「HIGH FIDELITY」表記をLPレコードの世界ではモノラル録音の代名詞ととらえることが多いのだが、本来の意味は高忠実度再生で、現在では略語の「Hi-Fi(ハイファイ)」の方をよく目にすると思う。つまり左がステレオ、右がモノラルということだ。

そして卒業してから買ったモノラル盤の方には「帯」が残っていた。そこには「本邦初‼︎ オリジナル・モノラル・マスター・テープ使用!」とある。そう、1958年本国発売のオリジナル盤はモノラルなわけで、それを聴いてみたかったのだ。

モノラル盤をステレオ装置で聴くということは理論上左右のスピーカーから全く同じ音が再生されるということで、音像は2本のスピーカーのど真ん中にピシっと現れるべきであるが、どうもピシッと行かない。部屋の壁や物の左右の環境とかその他色々の影響でピシッと行かないのだ。気づいてしまうと色々やってしまう。

話がそれた。上の写真、帯の裏に印刷されたクーポン券みたいなものが付いている。前回書いた欠番、まさに1592番のプレゼントである。「詳細はライナーノーツ…」とあるのでジャケットの中を見ると

「全40タイトルの帯に付いている応募券を15枚集めて…」とあるが、すでに持っていないタイトルが15枚残っていない頃なわけで、そもそもこの帯自体が無傷なのだから応募しなかったはずである。いや、憶えているが1592番欲しさにカブっても買おうかどうかだいぶ迷ったはずなのだ。にもかかわらず僕の手元にはその実物がある。今ではネットオークションでみつかることもあるだろうし、その後CDだって発売された。真剣にBLUE NOTEを収集していたあの当時に中古市場でみつけたというのも難しく考えにくいはずだ。

謎は深まるばかり…。 幻の1592番についてはまた次の機会に。

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