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週刊現代1996年4月20日より『わが故郷オキナワの真実』レビュー

ずっと探していた記事がありました。国会図書館にコピーを取り寄せようか悩みましたが、やはりコピーではない記事を読みたいという気持ちが勝り、メルカリ、ラクマ、ヤフオク、日本の古本屋等をちょくちょくチェックしてはや数ヶ月……。
めでたくヤフオクにて見つけ、早速入札。高値更新されずにスムーズに落札され、本日届きました。
こちらです。

週刊現代1996年4月20日号に掲載された、写真家の故・砂守勝巳さんのルポルタージュ『わが故郷オキナワの真実』です。
1995年のアメリカ兵による少女暴行事件を皮切りに、90年代後半からフラッシュ、SPA!、FRIDAY等も米軍基地に揺れる沖縄についてちょくちょく特集し、FNN News Japanでも木村太郎氏や安藤優子女史が神妙な顔で報道していました。【象の檻】については、私が来沖し始めた2003年には返還が決まりつつあり、2006年には全面返還、2007年には撤去されたので、00年代初頭のるるぶ沖縄やまっぷる等では「見られるのは今のうち」な基地の爪痕として紹介されていたのを覚えています。




さて、どんな記事かなと拝見しましたが、残念ながら第一部の文は砂守さん自身ではなく、ライターで沖縄インフルエンサーの一人だった故・岩戸佐智夫さんによるもの。那覇の酒場や食べ物屋について綴る時の岩戸さんならではの土臭い文体は影を潜め、米軍基地への葛藤を軸としたルポルタージュだからか岩戸さんらしかぬ歯に挟まったような文体でした。しかし、佐渡山豊さんが基地で働いていたのは知っていましたが建築士として働いていたことは知らなかったですし、また、照屋林助さんが軍用地地主だったこともお恥ずかしながら初めて知りました。


第一部は基地に揺れる沖縄をクローズアップ。



第二部は、基地に所縁のある人々の肖像。


芥川賞を受賞されたばかりの又吉栄喜さん


山城善光さんの晩年の写真は貴重です。しかし、オリビアも千賀乃ちゃんも初々しい。アクターズスクールとしては彼女たちはまだ未知数の輝ける『金脈』だったんだなあと。


いつもの笑顔がなく、固い表情のてるりん大統領。氏もまた基地に揺れる沖縄の人だったのだと切なさが。しかし、城間兄弟の服装の破綻がちらほら。後のお二方の未来を知る者としては……。



『豚の報い』で芥川賞を受賞したばかりの又吉栄喜さんや、『沖縄民主連盟』を組織された故・山城善光氏のポートレイトと共に、いつものふくぶくしい笑顔がなく複雑な表情の照屋林助さん、後にアイドルユニットD&Dとしてメジャーデビューするものの、歌唱力が抜きん出たオリヴィア嬢のソロ活動により空中分解してしまうのをまだ知らないオリヴィア・ラフキン嬢と比嘉千賀乃嬢の華やかかつ無邪気な笑顔、以前取り上げられたルポルタージュ『沖縄シャウト』同様に経営していたライブハウスアイランド入り口で撮影されたものの、店に客の姿はあってもどこか活気がなく、この数ヶ月後にアイランドが閉業されるのを知る者としては疲弊があるのかなと?と推測したくなる寂しげな表情の城間兄弟の写真はなんとも苦い気持ちにはなりますが貴重な写真です。思ったより短いルポなのが残念ですが、90年代の沖縄を捉えた特集だと個人的には思います。

(文責・コサイミキ)


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