コザに抱かれて眠りたい…zzzを読んだんだ。

まだ沖縄移住という言葉が雑誌媒体にも出ていなかった頃、コザこと沖縄市に惚れ込んで移住を決めた女性のエッセイ。
文章のところどころに、年齢不相応な幼さと思慮の浅さが垣間見えるが、今みたいに雑誌媒体やネット媒体で懇切丁寧に移住ノウハウやデメリット等を知ることもできず、当時、29という年齢で、コザという独特の地元意識と連帯のある街で時には深く傷つき、時には不条理さに憤りながらもかつかつな暮らしをし、コザを愛し、添い遂げようとした著者のその姿勢はかつてコザを愛したものや今のコザの現状に嘆息しつつもコザリピーターとして沖縄に通いつめる者には大きな共感を覚える本である。
実際、この本には今でこそ移住ブームを煽った媒体が後ろめたさと共に重い腰をあげて取り上げた問題点である「沖縄の人々の本土の人間への偏見」や「ヤマト嫁の苦労」、基地の街の複雑な事情、沖縄の人々のルーズさも軽快ながらもリアルかつ熱を帯びた文章で取り上げている。
同時に、米兵に恋する女性たち「アメ女」への私怨混じりの憤りと、彼女たちへの偏見への反省も女性らしい着眼点である。
だからこそ、今は更新を停止し(2020年現在、サーバー元廃止により閲覧不可)ている著者のサイトに書かれた慟哭のような最後の記事、「くたばれ再開発」はこの本と並行して読むと、コザの街を心から愛しながらも添い遂げられず、想いは平行線に終わった旅人の悲しきラブレターのように思える。
コザアッチャーのパイオニアに敬意を表すと共に、著者同様、コザを愛した者として変わり行くコザの街並みに想いを馳せた。

(文責・コサイミキ)

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