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コザ・ノスタルジア

最後に来沖、そして来コザしたのは2018年1月20日。それからというもの、来沖のチャンスが訪れても台風、インフルエンザ、コロナ禍によるエアライン運休等が重なり来沖できず、はや5年と8ヶ月。今年の8月はじめに至っては、やっと念願の来沖だ!来コザだ!と張り切った矢先の台風6号。しばらく泣いてふて寝して過ごした。
なので、ネットを通して現在の沖縄やコザの様子を知るしかないのである。
が、知るのは馴染みの場所の閉業なのが悲しい。
まずは園田にあるウエスタンホテル。まるで民泊した気分になる家庭的な内装の部屋、雑多ではあったけど、歴史小説や漫画が豊富だったロビー近くの本棚。部屋によっては水道から出る水が錆びていて、シャワーしか使えないわ、隣のカラオケスナックから夜な夜な聞こえる歌声で眠れないわと不便さもあったけれど、オーナー夫妻のホスピタリティーと朝食として出されたトーストとゆで卵がおいしかったのでリピートしたそんなホテルだった。
2022年の秋に経営権を返納し、廃業されたと知った。むせ返るような昭和の匂いがするホテルがひとつ消えた。
さらに、今年7月末に胡屋にあるオリンピア観光ホテルが閉業したことをInstagramにて知った。部活動の合宿等団体向けホテルで、一泊二食つきにしてはリーズナブルな価格は魅力的だったものの、街をうろつきながら寄った場所で食事を取りたい私には悩ましく、なかなか泊まるきっかけを逃し、宿でのんびりしたい時に利用しよう、いつか泊まれたらいいなと呑気に思っていた。しかし、もうそのいつかは永久になくなった。後悔先に立たずである。
台湾料理店キャサリンも2020年8月に閉店。数年前から閉めようかねとキャサリンさんが呟いていたと風の噂で聞いてはいたが、閉店の報を知った時はついにその時がきたかとため息をついた。
玄米と野菜だけなのに食べごたえがあり、それでいて滋味深いチャーハンは忘れられない味だった。
コザの老舗店、2020年7月に珈琲美学やまも閉業。その後、しばらくして若い方が屋号を引き継いで経営していたものの、ステーキ店になったりとテコ入れの迷走とコロナ禍が重なったからなのかいつの間にか閉業したと知人の話で知った。
極めつけは中央パークアベニューにあったみやぎストアの閉業である。

みやぎストアは既に解体中だったとのこと。


もう開くことのないシャッター

店の中に入ると、古くからある商店独特の匂いと一緒に、ダウニーの洗剤の匂いと、ハーシーズ等アメリカのチョコレート独特の粉っぽさとケミカルさが合体した甘い匂いがしたみやぎストア。輸入菓子の種類が豊富かつ思った以上にリーズナブルだったのでお土産を買うときは必ずみやぎストアに寄っていた。さらに、サンエーやユニオンにはないキャンベルスープの徳用サイズの缶がみやぎストアにはあったので、マッシュルームスープの徳用缶を見つけては予算が許す限り買い込んでぜえぜえ息をきらしながらゆうパックで送ったのも懐かしい思い出だ。今や輸入菓子や海外の食料品は、コザや宜野湾に行かなくても全国の小洒落た雑貨屋、キタノエースみたいな凝った食料品店、輸入家具を扱うファニチュアモールでも買えるし、2024年には南城市にコストコが開業する。みやぎストアみたいな商店はこれからどんどん淘汰されていくのだろう。そう思うと口の中に苦酸っぱいものが込み上げてくる。 
昔は良かったなんて言葉はぼやきたくないものの、あまりの時代の移り変わりが目まぐるしいので狼狽え、どうしていいかわからず身動きできなくなるときがある。そんな中、いつの間にか街から消えてしまった思い出の中の店やホテルに思いを馳せてしまうのは過去にしがみついているのだろうか。
それでも、私はかつて愛した店にこのnoteの片隅でお疲れ様とありがとうを呟きたい。そして、目を細めながら、コザの街を歩いた時に側にいる誰かにその愛した店の話をしたい。ノスタルジーの凝り固まりかもしれないけれども。


文責・コサイミキ
写真提供・あいろむゆぅじ

(写真使用を快諾してくださったあいろむゆぅじさんに心からお礼を申し上げます。あいろむさん、ありがとうございます!)

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