宝島昭和55年11月号より

少し小銭が入ったことをいいことに、またも沖縄ロックの資料を漁っております。
ヤフオク、メルカリ、ラクマをチェックしてはお宝がないか目を光らせているのです。
今回見つけたのはこちら。

『宝島』昭和55年11月号です。特集は『ホイホイ文章術』なる、糸井重里さん、橋本治さんを講師にした文章術や、セントラルパークにて行われたロックフェスティバルのレポ等かなり当時の尖ったサブカル色が強く、広告も『インド人間ツアー』や花輪和一さんの短編集等と何かを得たい、何者かになりたい私な人々を刺激するようなものばかり。

そんな中、中部博さんによるロックミュージシャンにスポットを当てたルポルタージュとして、喜屋武マリー(現・Marie)さん、マリーwith Medusaを特集した『ハードロックウーマン』が当該号に掲載されています。
しかし、ハードロックウーマンって……。KISSのハードラックウーマンじゃないんだから。
マリーさんと、当時の旦那様である喜屋武幸雄氏のインタビューの内容は後に利根川裕さんが書かれたルポルタージュ『喜屋武マリーの青春』やマリーさんがブログにて書かれている自伝『真実の叫び』、2014年に沖縄市により刊行されたオキナワンロック50周年記念誌での寄稿されている内容と被るので割愛しますが、オキナワンロックの変換の例としてシンキさんとジョージ紫さんを挙げておられること、そして、1976年に、沖縄ロック協会を立ち上げようとしたもののうまくいかず雲散霧消したことが綴られており、沖縄ロック史の資料としては貴重な証言となるものがいくつかあり、ぞくぞくしました。
さらに。CBSソニーによる本土デビューを間近に控えていた時期でのインタビューなためか、沖縄ロックを本土のオーディエンスに見せつけようとする意気込みと、本土化され、マリーwithMedusaの本来の持ち味が飲み込まれていくのではないかという不安がマリーさんや喜屋武さんの言葉の端々から感じられています。(残念ながら後者寄りの結果になりましたが……)

そして、双方の内心は知るよしもないですが、写真の中のマリーさんと幸雄さんは、さながらミック・ジャガーとビアンカ・ぺリッツ・モラ・マシアスや、シーナ&ロケッツの鮎川誠さんとシーナ(悦子)さんにひけをとらない絵になる夫婦なのが、現在、“それぞれの道”をひた走るお二方を知る者としては切なさと苦さを感じるのです。

(文責・コサイミキ)

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