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アナログバイリンガル

 始発で朝帰りした姉と私は、駅の近くで男に刃物を突きつけられ、車に連れ込まれた。それ以来、六時間以上走り続けている。
 私たちをさらったのは外国人の二人組だ。

「Let us go! All our family and friends are looking for us. You should release us now!」

 バイリンガルの姉が英語でまくし立てる。前の座席の男たちは笑うだけだ。

 私は窓の外を眺めていた。
 車がどんどん寂れた地域へ向かっているのがわかる。

 突然、かん高いサイレンの音が響いた。
 二台のパトカーが現れ、私たちの乗った車を停めさせた。男たちは警官に捕まった。

「よかったな。君の出していた合図に気づいた人が、通報してくれたんだ」

と警官に言われ、私はようやく笑顔になれた。

 六時間ずっと、窓から「助けて」と叫び続けていたのだ。声を出さずに。
 手話のわかる人が沿道にいてくれて本当によかった。

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