橋の上

先日の見越し入道でまたふと思い出したので、
本日はこちらの話を聞いていただこうと思う。

今から数年前の話である。
と言っても多分見越し入道と同じくらいの時期だったのではないかと思う。


その日は浦添で友人と焼肉を食べていた。
(後々距離が大事になってくる話なので詳しく地名を載せさせてもらう。)

食事が終わり、またもやそのまま帰るのもなーと話していると友人が、
“コロナ禍でやることも無いし、前やってたカニ釣りをまた始めようかと思っている。
以前父親と行っていた漁港に下見に行かないか”
と言う。

私の方も特に何も考えずその漁港、屋慶名漁港へと向かった。

しかし、これは後に二人して始まりはそこからしておかしかったんじゃないのか、となる訳だが、実はその日はその時点で警報級の大雨が降っていたのである。

沖縄にお住まいの方ならお分かりいただけると思うのだが、浦添から屋慶名方面に向かう場合泡瀬方面を抜けていくと思うのだが、大雨の場合かなりの確率で泡瀬は冠水する。

更に言うなら浦添から屋慶名はちょっとそこまで、という距離ではない。

いつもならストッパーになるはずのこの友人が、どういう訳かこの日は至る所でイケイケゴーゴーになってしまうのである。

とにもかくにも屋慶名へ向かった私たちは泡瀬でうわぁとなりつつ諦めることなく海中道路付近まで辿り着いたのである。

昔から海中道路へはよく行くものの、実は私は屋慶名へは初めて、友人もかなり久しぶりだと言うことで(海中道路へ曲がらずにそのまま真っ直ぐ行くだけなのだが)その日は早い段階から友人がGoogleマップを開いていた。

そのまま真っ直ぐその方面へ向かったところ、どうにも右の側頭部が左へ向かって押されているような感覚があった。

というか寧ろ首が左に若干傾いていたと思う。

雨で車のワイパーはMAX。
普通ならばこんな日に下見も何も無いだろうぐらいの大雨である。

前見えな…、と言いつつ進んでいくと友人がそこ左と言うので思わずハンドルを切ろうとしたその時である。

左側に橋がかかっており両側にズラーッと人が並んで皆一様に海を見下ろしている、風に見えた。(初投稿でも書いた通り私はお化けを見た事は無い。頭の中の映像がそうなるだけだ。)

む、無理無理無理怖すぎて曲がれないよ!
最早前にも後ろにも行けないよ!
と、奇しくも見越し入道の時と同じ状態になったのである。

そこで友人が、いやいや曲がるのそこじゃないし取り敢えず一旦その先入ったら漁港だからというもんでよく見て見たら普通に漁港があった。

運良く漁港にはカッパを着た団体が集団で固まって何か作業をしていたため、人がいることに落ち着きを取り戻し、そしてご迷惑にならないようにそそくさとUターンして知っている方の道へと戻っていったのである。

友人曰く、わたしが橋を見たところは大雨の上灯りもなかったため何も見えなかったそうだ。
だが私の頭にははっきりと赤い橋が浮かんでいたのである。
というか橋自体はちゃんと目で見えていた、と思う。

ちょっと落ち着こうとパーキングに入って一休みしていた時、友人があそこ何があるんだ?と調べてみたところ、そこは“藪地島”へ向かう橋だったのである。

私たちは地元がそこ辺りでは無いため初耳だったが、後々中部出身の知り合いに聞いたところ色んな意味で有名な島だった。

この話に関して、後々なぜそんな勘違いをしたんだろうと思うことが一つあった。
それは曲がる手前で頭を左側に押されていた、という点に関してなのだが、家族に話している時に、“いやー、あれは行くな行くなって教えてくれてたんかなー”と話していた時にふと気付いた。

左に曲がろうとしている時に左側に押されていたのであればそれは逆に行け行けの方じゃーん、と。
気付かなければ良かった勘違いであった。

これまた謎だらけの、大雨のある夜の話である。
因みにその日の帰り道、その友人の珍しくイケイケゴーゴーなお陰でもう一つ、不思議なことに出くわすのだが、これはまた別の機会に。




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