あなたはマリアを覚えていますか?
同居人氏から「好きなゲームのこと書いたら?」と言われたがそんなに弾がない。
なけなしの弾としてこのゲームである。
マリア〜君たちが生まれた理由(わけ)〜
プレイステーション(以下PS)、セガサターン(以下SS)で1997年に発売されたアドベンチャーゲームだ。
ご存知だろうか?発売当初話題になって、中古屋さんの店頭でも最近見かけないこのゲーム。
ゲーム会社も発売元も多分消えてしまってコンソールすら出ない。
あと、もしかしたら今だとテーマに問題があるからかもしれない。内容に関してはこのあと触れていく。
思い出
私がマリア〜君たちが生まれた理由〜に触れたのは、ある日母が買ってきたのだ。クリスマスも近い12月の中頃に、クロックタワー2とこのソフトを。
なぜこの2本だったのか、いまだに謎である。
RPGしか遊ばなかった母がなぜこの2本を?
ホラーっぽいゲームが遊びたかったのかもしれない。今度会ったら聞いてみようと思う。
買った本人の母は「クロックタワー2はちょっと違うなぁ」と封印されていたが、マリアは気に入ったようで最後までプレイしていた。
夕飯後寝るまでの時間、寝室に置かれたブラウン管テレビで母はゲームをするのが習慣だった。
母と三姉妹同じ部屋で寝ていたので誰かが寝ると電気を消して、暗がりの中ゲーム画面をじっと見ていたのはいい思い出だ。目が悪くなりそうだが。
私のゲームの原風景である。
テキストアドベンチャーゲーム
このゲームはテキストアドベンチャーゲームである。
文章を読んで、選択肢を選び、ストーリーを進めていくタイプのゲームだ。かまいたちの夜や弟切草を想像していただければ雰囲気は掴めるだろう。
若い外科医である高野純の勤める慈愛堂病院に、急患として自殺未遂をした少女、筒井マリアが運ばれてくる。ここから二人の運命が動き出す……!
といったゲームだ。
高野先生視点で物語を観ていくことになる。
テキストアドベンチャーなので一部を除いてほとんど全て文章とムービーで進行していく。場合によっては高野先生を操作してのアドベンチャーパートや、ミニゲーム的なものもある。
所々の選択肢いかんによってエンディングが変わるマルチエンディングだ。
マルチエンディングが大好きな癖はここで培われた可能性がある。ちなみに今後記事にしようと思っているものもマルチエンディングである。大好きマルチエンディング。
微妙にぬるっとしたグラフィック
ストーリー中もアドベンチャーパートもフルポリゴンのキャラクターが表示されている。
PS、SSこの時代のテクスチャの問題だと思うが、絶妙にぬるっとしている。
そして美少女と言われているマリアちゃん、どうしてもグラフィックがリアル寄りのためかあんまり美少女に見えない……。が、物語の終盤ごろになると美少女に見えてくる。不思議。
主人公の高野先生も、考え事をする際下瞼の赤い部分を露出させるクセがある。妙にリアルな下瞼の赤い部分にも注目だ。
そしてロード画面、セーブ画面に出てくるお面が怖い。人格(ペルソナ)を表現しているらしい。怖い。
肝心のストーリー
このゲームは解離性同一障害(多重人格症)のマリアちゃんの人格を統合するゲームである。
全くの赤の他人同士だった二人の接点が徐々に明らかになるサスペンス仕立てのストーリーとなっている。
『ドラマを観ているようにゲームをプレイしてほしい』というコンセプトがあるこのゲーム、一話進むごとにエンドロールが入る造りになっている。ちなみにスキップができる。優しい。
物語の進め方によって高野先生に出会う人格はそれぞれ違う。敵対する人格もいれば味方になってくれる人格もいる。
基本的なストーリーは一本であるが、どうしてこんなことになったのかを脇役含めて掘り下げてくれる場面もあり、物語としての厚みは充分だと思う。
マリアちゃんの両親がなぜ悲劇に巻き込まれたのか、高野先生がなぜ医者になったのか、医院長の過去などプレイすると全てがきちんと繋がっている。
破綻がないので安心してプレイできる。
前半はマリアちゃんと会話をして彼女の生い立ちを紐解くが、中盤から後半にかけて様々な謎が明らかになっていく緊張感も楽しい。
このゲームが話題になった理由(わけ)
このゲームは新聞で取り上げられるほどセンセーショナルなゲームとなった。
薄々お気付きとは思うが、実際の解離性人格障害についてのゲームとなっているからだ。
現実とゲームは違うことは百も承知だとは思うが、発売当時は物議を醸した作品となった。
ゲーム内で理解のない発言をするキャラクターもいるがあくまでもゲームである。彼がそうなってしまったのは、また理由がある。
そして高野先生含め周囲も理解を示してくれるキャラクターがほとんどだ。
発売当初、小学生だった私がプレイしても何か誤解を招くような表現はなかったと、大人になってもプレイした私は思う。
以上が私の感想である。
薔薇の花を病室に生けてくれるイケメン外科医が現実に居るとは思えないのでフィクションとして最高である。
高野先生の同期で、同じ病院に勤務する精神科医本田がイチオシのキャラクター。本田イイヤツだな。
グラフィックでも書いたが、本当に最後はマリアちゃんが美少女に見えてくる。
今振り返ると彼女の精神の安定がそうさせた、とも思えてくる。
マリアは続編もあるが正直なところ今作だけでよかったという気持ちもある。
しかしマリア2は声優が豪華。松本梨香と子安武人がいる。
微妙に繋がっているが今作で一番いいエンディングを出した身からすると、そのエンディングが公式続編……?と思えてしまう。
とはいえ今作は魅力的な作品なので皆さんもプレステ実機とソフトをご用意の上プレイしてみてはいかがだろうか。
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