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昨今話題の生理の話

※この記事はあくまで個人の感想です。全ての人間が「このように考えている」「このような症状である」といったものではありません。

中身がおじさんでも身体機能が女性なので生理は来る。毎月コンスタントに来る。呼んでないのに来る。
明け透けに生理の話をすることは、憚られることだと思っている。職場で具合が悪くても「生理なんだよねアッハッハー!」と言うのはかなり抵抗がある。性自認がぐにゃぐにゃで人に女の人だと知られたくないのもある。
昨今、Twitter(X)なんかでは災害に直面した時の生理用品問題について目にすることが多い。私のオススメタブがそうしてくるだけだと思うが。
ナプキンを何枚使うか、種類は、タンポンではダメなのか、そもそも男性は何も知らない説、いろんな情報が溢れている。
そうしている間にも私の腹は痛い。男性はこのような現象に苦しむことがないという。うらやましい限りだ。
職場のあいつも、あいつも、あいつも、一つ飛ばしてあいつも、痛くないんだ。毎月、腹が。
この前提を知っているのと知らないのとでは認識が大きく異なるだろう。
定期的に風邪をひく、とか毎年インフルエンザにかかる、よりも短いスパンで不調になるのだ。私の場合は生理(以下祭りと呼ぶ)開始から3日くらい具合が悪い。その前段階の「もうすぐ始まるぜ……祭りが……」の時期も合わせると10日前後調子が悪い。
調子の悪さは多岐に渡る。
食欲がぶっ壊れてずっと何か食べていたい、ちょっとしたことでブチギレそうになる、時々ブチギレる、本当に些細なことで号泣、ダルさ、眠気、頭痛、稀に物欲センサーもぶっ壊れて衝動買いをしてしまったり、眠りが異様に浅くいつもより早く目が覚めてしまったり、全く眠くなくなってしまったり、食欲も全くなくなって無理矢理カロリーメイトを口に捩じ込むことしかできなくなったりと、とにかく祭り前は体が、脳が、大混乱である。
全ての症状が一度に出るわけではないが、レストランのランチメニューが如く毎回違う。今回は前菜がイライラと、メインが号泣、デザートには甘いものが止まらなくなる仕様にしておくね。ドリンクは眠気をご用意しました。とんでもないフルコースである。しかもちょっといい所のランチである。魚と肉が選べるタイプ。
これがランチメニュー、いわゆるPMS(月経前症候群)というやつだ。1週間、早い時は10日前からご予約承っている。承らないでほしい。
「身近な女性が急に激怒する、心当たりがないのに」と思うかもしれない。彼女はホルモンバランスがしっちゃかめっちゃかになっているのだ。
そして「私はなぜこんなにも辛く、苦しく、イライラし、食欲も止まらず、肌も荒れ、海は枯れ、地は裂け……」となっている女の人も、ホルモンバランスがしっちゃかめっちゃかな可能性がある。
ディナータイムこと、本格的な祭りはこれからである。
まず腹痛、そして腰痛、更には吐き気、頭痛、ダルさ、眠気と、どちらかというと痛い苦しいに振られることが多い。
血液さえ体外に出始めればこっちのもん、今までのイライラたちは鳴りをひそめ気持ちは楽になることが多い。
とはいえ痛いのはかなりのストレスだし、なにをしてても布団が恋しい。とにかく暖かい布団で、体を丸めてただ眠っていたい。
しかしそうもいかないのが現代社会である。
働かなくては猫ちゃんのご飯にも困るし、来月のカードの引き落とし、そもそも人間のご飯にも困ることになる。「ちょっと腹が痛いので休む!」も積もれば山。お財布事情に直結してしまう。あとは安定して出る欠員の、内訳一名になるわけにもいかない。
痛み止めを飲んでも、なんだか効いているのか効いていないのかわからない腹痛と腰痛を抱えて仕事をしなければならないのだ。
人によっては痛みと吐き気で仕事ができない、ということもある。バファリンもイブもロキソニンも役立たずになる人もいる。
血さえ出てけばメンタルのどうこうなんて、とこの間まで思っていたが直近では、血が出てもメンタルがボコボコすぎて同居人氏には申し訳ないことをした。本当に申し訳ない。
どうやら聞いた話によると、毛細血管を引きちぎりながら経血は出ていくらしい。バイオレンスにも程がある。月一で自分の毛細血管を破壊するなんて金をもらってもやりたくない。それを無給で、しかも痛みを伴いながら、毎月やるなんて正気の沙汰ではない。
女性の体は毎月狂気の沙汰で成り立っているのだ。

ホルモンバランスやそれに伴う内臓からの攻撃を受け、世の中の女性たちは生きている。
「そんなの仕方ないよね」「男は男で大変」「ママ(あえてママと表現する)はそんなことなかった」「生活習慣では?」という声も多いだろう。生活習慣、何度も試したが効果が薄かった。
中には「女だけどそんなことない」「病気じゃないんだから」「耐えることが美徳」という同性からの声だってある。
本気で理解できない人も中にはいるし、そういう方々は健やかに、すくすくと、思ってても黙ることを覚えて生きていただければ幸いだ。
ただ、考えてほしい。1ヶ月の3分の1が不調なのだ。
祭りが始まってから、毎月、3分の1、不調。ご理解いただけるだろうか?
昨今、男性にもホルモンバランスの乱れからくる不調があるのではないだろうか?という説もあるらしい。経血が出る、女性のお祭りとは別に、目に見えない不調が周期的に訪れるという話を聞いたことがある。ただ、医学的に証明されているわけではないようだ。
女性のお祭り自体は研究も進んでいるだろうし、医学的にも解明されている部分が多いだろうが、目に見えない不調に悩まされる男性を思うと、これはこれで不憫である。
そう、私とてお祭りのない人間、お祭りがあっても煩わしさを感じない人間が憎いわけではないのだ。
私が憎いのは「自分には関係ないし、そのせいで迷惑を被るのはご免なので優しくできないし、理解するつもりもないです」という共感性をハナから排除したような人間や「そういうのは甘えだし自分の持ちうる知識を基にするとこんなものは必要ないし配慮なんて必要がない」当事者じゃないのに出張ってくる人間や「お祭り人間ばかりが優遇されるのはどうしても我慢ならない、お祭りナイナイ人間にもそれに見合う何かがあったっていいじゃないか、ずるい」というような浅ましくみみっちい人間が憎いのだ。書いていて気付いた。
お祭り(生理)についての話題で必ずと言っていいほど男女は分断される。
数行前に書いた憎むべき人間の「共感性の欠如」「絶対的な自分を軸にしすぎるプライドの高さ」「男女が平等であることに対する幻想」が分断に拍車をかけているのではないかと私は思っている。
めちゃくちゃに掘り下げてしまった。どうしよう、このままだと家父長制の問題点とかジェンダーとフェミニズムとかなんかものすごく大きなテーマになってしまいそうだ。いや、避けて通れない問題なのかもしれないが。
私が言いたいのは「女性はお祭りもあるし妊娠出産もあるから大変なんだ!敬え!労われ!もう……わかれ!」とか「男だって求められるものが多いんだ!労われ!ちょっとくらいサービス(性的、性的でないにかかわらず)しろ!敬え!」という話ではない。いや、わかれ!はちょっとある。生きてれば男性だって女性だってどちらでもなくたって大変なんだし具合が悪ければ尚更だし、いつどこで立場が逆になるかもわからないのだ。相互理解ほど難しく、問題を一撃で解決できるものはないだろう。
あなたの大変と私の大変、本当はどちらも優劣つけられるものじゃないんですよ。と表向きは言われているが世の中にはどうしたってバイアスがかかってしまう。どんなに頑張ってもどこかに肩入れしてしまうのが世の常である。
個人的に一番いいと思うのは「具合が悪い人間はきちんと休める」と「具合が悪い人間にみんな優しくしてあげられる余裕のある世の中」を目指すことだと思う。
そして「具合が悪いことはその人に非のあることではない」ということに対する理解だろう。もちろん「真冬に酔っぱらって外で寝て風邪をひきました」とか「明け方まで酒を飲んで二日酔いです」とかは気を付けていただきたいがそれはそれで、別の問題がある。合わせて「具合の悪いこと=弱いこと」ではない、という認識も必要だろう。
本来のフェミニズムなどの社会学とは男性の為でも女性の為でもなく、この世の中で生きるすべての人が生きやすくなる為のもののはずだ。間違ったって男女を分断するためのものではないだろう。大きな問題に踏み込んでしまった。

お祭り真っ只中に書いてしまった記事なので、感情が乗りすぎている部分も多いだろう。
しかし、子供を産むための準備だからね⭐︎なんて可愛い、生優しい言葉では言い表せない。子供を産むための準備で毎月毛細血管引きちぎられながら暮らすことを想像してほしい。とんだ拷問である。
なんだか主題から外れてしまった。またこういった毛色の記事を書く日が来るかもしれない。
今回はここまでにしようと思う。

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