サロン記事(2020/6/3投稿)
※投稿から1年が経過した記事は西野亮廣エンタメ研究所サロンメンバーに限り口外(コピペ)OKになっています。
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6月3日(水) ※6月5日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
今朝(ジョギング中)、奇声を発しているオジサンとスレ違う時に「お前は友達が少ない!」と言われたキングコング西野です。
#マジで何のことやねん
さて。
今日は昨日に引き続き『NORA美容室から学ぶ2020年代の生存戦略(後編)』について、お話ししたいと思います。
サービス提供者(もちろん僕を含む)全員が共有しておいた方がいい話だと思います。
一緒に勉強していきましょう。
(※今日は長いですよ)
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コロナ中の、表参道の美容室の『数字』
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「100年に一度のウイルスに襲われた経験」が僕らを強くしてくれることは間違いありません。
ただし、『そこから学んだ者に限り』です。
ダイヤモンドプリンセス号の政府の対応を見た時に(2020年2月)、新型コロナウイルスが感染拡大し、日本中から『移動』が奪われることを確信しました。
経済活動は『移動』の上に成り立つものですから、その基盤が奪われると、かなりやっかいです。
すぐに「自分が八百屋さんならどうする?」「自分が学習塾の経営者ならどうする?」「自分が美容室のオーナーならどうする?」というシミュレーションを開始しました。
オンラインサービスはむしろ『バブル』なので、この場合、学びが多いのはオフラインのサービス。
実店舗の経営です。
僕は友達が少ないながらも(笑)、実店舗を経営している友人が何人かいて、コロナショックで、すぐに顔が浮かんだのは、
アパレルブランド『#FR2』を率いる石川涼さんと、
メガネブランド『OWNDAYS』を率いる田中修治さんと、
美容室『NORA』を率いる広江一也さんでした。
https://hba.beauty.hotpepper.jp/check/16708/
とにかく打ち手が早い人達なので、ジッとしていることがあったとしても、それはそれで「狙い」があっての判断だと思ったので、彼らがどう動くか勉強させていただいていました。
そのうち、『NORA』さんに関しては、コロナ期間中も実際に髪を切りに行っていたので、お店の状況や、次の打ち手の話を、比較的近い距離で共有させていただいておりました。
ちなみに、これは、オーナーの広江さんから、サロンメンバーの皆様に共有することを許可いただいた『コロナ期間中のNORA美容室の数字』です↓↓
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【Facebookセッション】
→1693%アップ
【Instagramセッション】
→1249%アップ
…全体で174%アップ。物凄い宣伝効果です。
広告換算したらこれだけでもかなりのプラスだと思います。
【BASE(ネットショップ) 売り上げ】
→約1ヵ月で1500万円
…コロナ前の2月の売り上げや、昨年の売り上げと比べても、4月、5月とも『前売り券』や、『ギフト券』の影響もあり、120%UP。
【4、5月のSNSの広告価値まとめ】
(2月と比べて)
→7倍の数の新規ユーザーを獲得
→facebook, Instagram においては、11倍のフォロワーを獲得し、セッションも12倍以上に増えた。
…本来、これらのユーザー、セッションを獲得する為に支払う広告費は約1,300万円。
以上。
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ややこしい数字が並びましたが、要するに、コロナ期間中の方が売り上げが伸びているんです。
もちろんそこには『前売券』が含まれていますから(=4月5月期の借金を返すように後々の稼働が増えるので)、正確な数字ではありませんが、『前売券』の購入者の約4割が「新規客」だったので、トータルで見たら、かなりプラスだと思います。
NORA美容室の成功を受けて、その後、多くの店舗が『前売券』システムをスタートさせましたが、僕が知る限りでは、皆が皆、上手くいっているわけではなさそうです。
ーその違いは何だろう?ー
NORA美容室は、何故、コロナ期間を乗りきれたのでしょうか?
僕らは、ここから多くを学ばなければなりません。
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▼ 『顧客』と『ファン』
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普段通っている近所のスーバーがクラウドファンディングをしても、僕らは支援をしないでしょう。
それは『顧客』であり、『ファン』ではないからです。
僕らは潜在的に「まぁ、このスーパーが潰れても、その跡地にAEONができてくれたらいいや」ぐらいに思っています。
要するに『品揃えの良い近所のスーパー』という「システム」にお金を払っているんですね。
そこで働いている「人」にお金を払っているわけでない。
当然、僕らは、そこで働いている「人」の生活を想像していない。
その先に、その「人」が守らなきゃいけない家族がいることも想像していない。
これが『顧客』です。
一方、『ファン』というのは、「システム」ではなくて、「人(ときどき理念)にお金を払っている人」のことを指します。
今回のコロナちゃんが残酷なまでに顕在化したのは、「顧客に支えられている店はアウト。ファンに支えられている店はセーフ」というルールです。
刻一刻と状況が変わったコロナ期間は、同じく『変化の激しい2020年代』の縮図なので、この
「顧客に支えられている店はアウト。ファンに支えられている店はセーフ」というルールは2020年代のルールとして適用されるでしょう。
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▼ NORA美容室が仕掛けた『ファン作り』
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『前売券』や『ギフト券』は手段でしかなくて、それらを機能させる為には『ファン』の存在が必要です。
近くでNORA美容室(広江さん)を見ていて、「上手いなぁ」と思った『ファン作り』が、いくつかあります。
サロンメンバーさんの中でも利用された方がいるかもしれませんが、NORA美容室は、ときどき、営業終了時間を前倒しにして「イベントスペース」として店を提供しているんですね。
僕も『オフ会(飲み会)の会場』として何度か利用させてもらったことがあるのですが、その時、NORAの美容室さん達がイベントスタッフとしてイベントを手伝ってくださるんです。
お酒とか出してくれるんです。
イベント目的で集まったお客さんが、そのタイミングで「人(NORAの美容師さん)」とコミュニケーションをとるわけじゃないですか?
そのうち何割かが「今度、僕の髪を切ってください」となる。
その瞬間、『料金表』なんて見てないんです。
そこで決めたのは一つ。
「この人にお金を落とそう」
『ファン』が生まれる瞬間です。
それもこれも「イベントスペース」として場所を提供していなければ、その流れは生まれていません。
オーナーの広江さんはここが上手くて、「そりゃ、ファンになっちゃうよな」を、やりまくるんです。
マンマと僕も沼にハマっています。
ちなみに、毎回、広江さんに髪を切っていただいていますが、広江さんのカットの技術を僕は1ミリも知りません。
もしかしたら、メチャクチャ下手かもしれません(笑)
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▼ 「お金」の使いどころ
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これは僕も意識していることですが、NORAさんの「お金」の使いどころは、とても勉強になりました。
コロナちゃんに襲われ、緊急事態宣言が出され、店の売上が極端に落ち込むことが見込まれた時(※まだ『前売券』の結果も分から無かった時)、多くの店が従業員の給料を泣く泣く60%~40%に減らす中、NORA美容室は90%にすることを決めたそうです。
従業員をたくさん抱える大きなお店なので(表参道だから家賃も高い)、売上が見込めない中での、「給料90%」は“ほぼ”自殺行為です(笑)
ただ、この判断は完璧で、二つの大きな大きなメリットを生み出しています。
1つ目は『結果的に、いつもより高い報酬を渡せた』です。
「信用度」が力となる信用経済では、これまで以上に「お金」を「時価」で見る力が求められます。
当然、全員のキャッシュが不足している時の「1000円」が、通常時の「1000円」と同じ価値であるわけがなくて、コロナ期間中のお金はメチャクチャ価値が高かったんです。
僕はホリエモンのロケットに1000万円の支援をさせていただきましたが、ホリエモンから5000万円分ぐらい感謝されています(笑)
コロナ期間中は「給料を払うには絶好のタイミング」で、言ってしまうと、従業員さんの労働力と現場の士気を、かなり安く買える。
当然、その瞬間、自分の首は絞まりますが、100年に一度の「出し時」であったと思います。
二つ目は『広告になった』です。
これが今回、天才すぎた点ですが、他の美容室の従業員さんの給料がカットされている中、NORA美容室の従業員さんだけが給料の90%を受け取っていて、多くの「Why?」が従業員さんに寄せられたそうです。
その時に、「実はウチ、『前売券』を出してまして…」でフィニッシュです(天才かよ!)。
タイムラインに強引に流れてくる宣伝と違って、お客さんからの興味に答える形での宣伝なので、宣伝効果がケタ違いです。
「Why?」が生まれるようにお金を使った(「Why?」を買った)、という話ですね。
スゲーっす、ホントに。
今回のNORA美容室さんから学ぶことはあまりに多くて、その中でも特に『ファンの作り方』と『お金の使い方』に関しては、腕にタトゥーを入れておきたいレベルです。
2020年代を生きる僕らは、ここを絶対に忘れちゃいけなくて、今、この文章を読み終えた瞬間にできる作業としては「私の『ファン』は何人だ?」という自問自答です。
胸に手を当てて、聞いてみてください。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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