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敵をぶつけて敵を壊滅せよ。戦略的STG「RE-BOND」ができるまで

こんにちは、ゲーム開発者の卵、グッピーです。
ゲーム開発のモチベ維持を目的として、unityroom主催の「Unity1week」に参加してみました。

お題は「Re」の模様、さてさて、どう調理するか。
今回はそんな1週間のゲーム開発を整理していこうと思います。

STEP0.「RE-BOND」とは?

今回のunity1weekでは、「RE-BOND」というゲームを作りました。
RE-BONDは敵と敵をぶつけて敵を倒す、戦略的STGです。
敵の体力は常に可視化され、この値を0にすると倒すことができます。

またこのゲーム最大の魅力は、敵同士がぶつかると互いに大きなダメージが与えられることです。単に自機の弾で倒すよりも、敵同士の衝突を利用したほうが効率よく敵を倒せます。

自機の弾にはノックバックがあるので、これを利用して敵同士をぶつける。
そしてより効率よく敵を倒し、最速クリアを目指す。
これがRE-BONDというゲームです。


↓からゲームを遊ぶことができます。(PCのみ)

今回は、そんなRE-BONDというゲームがどのように開発されてきたかを整理し、ゲーム開発者の方々の参考にしていただければと記事を書きました。

STEP1. RE-STOREの開発をスタート

はじめに考えついたのは、耐久系のローグライトシューティングです。
ゲームタイトルはRE-STORE(修復)にしました。

↑気前よくロゴまで作っちゃってましたね

ゲームシステムは「Vampire Survivors」「downwell」を参考にして、自機を強化しながら先へ進む感じで想定してました。

プレイヤーは惑星を守る使命を持っており、自機や惑星をパワーアップさせながら敵の攻撃から惑星を守ります。
ゲームの特徴は、買い物をすることで自機を強くできることです。
(要するにRestoreとstoreをかけ合わせたかっただけ。)

ゲームは無限に続き、いかに耐久するか競う、そんな内容でした。

STEP2. 開発頓挫!


しかしRE-STOREはボツになりました。
理由としては、
「レベルデザインが大変」
・「ゲーム単体が面白くない」

という理由が挙げられます。

理由① レベルデザインが大変

RE-STOREは無限に続くローグライトを想定していました。
しかしこれは間違いでした。調整が死ぬほど大変だったのです。

例えば敵を1体追加します。すると今までちょうどよい難易度だったのが、途端に鬼畜ゲームになる。そんな事例が発生してました。

そもそもローグライトにしたのには理由があります。
「長く遊べるゲームを作りたい」という願望があったからでした。

RE-STOREは無限に続くことで、長く遊べるゲームにしようとしていました。
しかし無限に続くゲームは長く遊べるゲームなのでしょうか?
おそらくバランス調整が悪ければ、すぐに飽きてしまうでしょう。

理由② ゲーム単体が面白くない

これは個人の感想ですが、RE-STOREは面白いものではありませんでした。
シューティングとして単調、パワーアップが面白さにつながらない。
もしかするとRE-STOREは調整の積み重ねで面白くできたかもしれません。
でも、ポテンシャルを感じなかったんです。

STEP3. RE-BOND誕生


ゲーム開発が頓挫したことにより、3日くらい少々鬱になりました。
ゲーム開発も進みません。

鬱々とした気分の中、「RE-STORE 2」としてゲームを作り直していた時、
とある事に気づきます。

物理演算って面白くね?

RE-STOREの敵はRigidBody2Dで作っていました。
なので設定を変えれば物理演算でふっとぶ敵も作れる訳です。

そこで、敵を弾で吹っ飛ばせるSTGが作れないかと方針を転換しました。「RE-BOND」の誕生です。

更に「吹っ飛んだ敵同士をぶつけたい」というアイデアから、
敵同士の衝突はダメージが高いというルールにしました。
こうして、RE-BONDの基本ルールは出来上がってきたのです。

STEP4. 何度も遊べるゲーム作り

RE-STOREの反省から、無限に遊べるゲームではなく
調整がしやすいステージクリア制にすることにしました。
しかしステージクリア制は1回遊べばおしまいになってしまいます。
長く遊んでもらうには何度も遊ばせる工夫が必要です。

スーパーメトロイドから着想を得る

短くても何度も遊べるゲームが作れないものか。
そこで思い出したのは、任天堂の「スーパーメトロイド」でした。

スーパーメトロイドは3時間でクリアすることが一つの目標とされています。更にはアイテムを100%集める目標など、やりこみ要素は充実していました。スーパーメトロイドは内容こそ短いですが、何度もやりたくなる魅力があります。

僕が言いたいのは、「長く遊べるゲーム」は「何度も遊べるゲーム」だということです。そんなわけでRE-BONDは何度も遊べるゲームを目指しました。

また、僕はこのゲームのタイムアタックの要素に注目しました。
近年はRTAというゲームを素早く攻略する文化もあります。
そんな理由からRE-BONDは何度も遊びタイムを競う事を目的としました。

STEP.5 RE-BOND完成!あとは公開のみ

その後、2日程度で「RE-BOND」が完成しました。
ぶっちゃけもう少し工夫する点はあったのですが、
ゲームジャムなのでここは妥協、期日内に公開することを目標としました。
ここからは「ゲームをより楽しく遊んでもらう」ための工夫を述べます。

ゲームファイルをUnityRoomにアップロード

まずゲームをアップロードしないと話になりません。
アップロードはUnityRoom側が用意した丁寧なガイドで難なくできました。

ランキング機能の実装

RE-BONDはタイムアタック制なのでランキングを導入することにしました。
実装前、ランキング機能は実装が大変なものだと考えていました。
ですが、実際にやってみると想像していた以上に簡単でした。

ランキングのクライアントはUnityRoom公式が用意してくれましたし、
ランキングサーバーも「ニフクラ mobile backend」を使うため、
思ったより苦労なく実装ができました。

アイコンの作成

ゲームは遊んでもらわないと意味がありません。
そのため、最低限周りのゲームと見劣りのないようアイコンを作りました。

アイコン作成は「Canva」というサービスを使いました。
使いやすいし、手軽でめちゃくちゃ便利です。
ちなみに操作説明にもCanvaを使っています。
https://www.canva.com/

(おまけ)相互評価機能の活用

UnityRoomにゲームを公開した後にやるべきこと、
それは「他の人のゲームを遊ぶ」ことです。

他の人のゲームを遊ぶと、ページトップに表示されやすくなったり、
実際に遊んだゲームの作者がゲームを評価してくれたりします。
これで僕はゲームをより多くの人に遊んでもらい、評価をある程度もらうことができました。

また、他の人のゲームを遊ぶことで自分のゲームとの比較ができます。
僕は他のゲームを遊んでみて、自分のゲームにはない他人のゲームの魅力を感じる事ができました。「井の中の蛙」になってはいけません。

課題

さて、RE-BONDを公開してみて気づいた、現時点の課題を上げていきます。

[課題1] 最終ラウンドで難易度が極端に上がる

このゲームは最終面の難易度が極端に高いです。
unityroomのコメント欄では「最終面が難しくてクリアできなかった」という感想を受けました。
このゲームは全ステージクリアでようやくスコアランキングに登録できるため、初心者はランキングに登録すらできないという状況が発生しました。

これは作者のレベルデザインに問題があったと感じます。
開発当初僕は「最終面はプレイヤーへの挑戦として激ムズにしてやろう」
という考えがありました。
ですが、そのようなことは次回作やEXTRAモードでやるべきでした。
誰もが初見の本作ではふさわしくないステージ構成だったと感じます。

[課題2] タイムアタックはモチベにならない

僕はこのゲームを繰り返し遊ぶことを想定し、タイムアタック要素を重視していました。しかし今考えてみると、それはゲームをやり込んだマニア向けの要素であり、初心者のモチベにはならないと感じました。

解決策として考えた物として実績の導入やスコアに応じた三つ星評価の実装があります。実績を導入すれば、「すべてクリアしてやろう」というモチベになりますし、三ツ星評価は「今度はうまくやろう、そのためにはどうしようか…」と考えさせるきっかけになるはずです。

最後に

今回のunity1week参加を通じて、僕は良いゲームを開発するために必要な様々な知見を得ることができました。
また、他の人に遊んでもらうことで見えてきた課題もたくさんありました。

次回のunity1weekも積極的に参加していきたいと思います。
unityroomさん、遊んでくれた皆さん、本当にありがとうございました。

画像素材:いらすとや