人は死ぬ

この春から長男が小学生になり、朝が大変辛い。私は未だに人生がよくわからなくて、こんな時間になっても延々と無駄な考え事をしている。

昨日。長男を送っていく通学路の途中、わざとバイクに向かって飛び出して行った小学生がいた。咄嗟に大きな声で怒鳴ったんだけど、別に止める必要はなかったな、という気もする。

その少年は、見知らぬ中年男性から怒鳴られたことに対する反抗心だか羞恥心だかに任せて、どうせいつか人間は死ぬんだろ、というようなことを私に言ってきた。その通り。人は死ぬ。お前のようなガキに言われなくても、もう30年はそのことを考えてる。

瞬間、お前が死んだら父親や母親がどう思うか、なんてくだらない説教が脳裏に浮かんだ。が、それは口に出さなかった。死ぬ、というのはどこまでも自分の問題で、死んだ後に誰がどう思うかは些細な問題に過ぎない。特に、こういうクソガキにとっては。

長男は、突然大きな声を出した私を緊張した表情で見上げていた。私が本気で怒り出すと手がつけられないことを知っているからだ。

確かに、私は怒っていた。しかし、何に怒っていたのかはわからない。よく知りもしないクソガキが1人居なくなったところで別に何も困りはしない。私の長男の前にそういうバカが存在していることに腹が立ったのだろうか。

明日も私は通学路を、長男の手を引いて歩かなければならない。朝の、希望に満ちた空気の中でもう少し考えてみれば、答えはまた変わるだろうという気もするが、長男はひっきりなしに私に話しかけてくるので、考え事をする余白はないかもしれない。

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