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自己変革力の必要性

■自己変革の経験

私自身、実務において「自己変革」した経験が何度かあります。

 1回目は、20代後半、人材サービスの法人営業を担当している時です。当時、同僚が高い成果を出していく中、まったく売れなくて焦っている時、上司にかけあって「結果の出しやすい顧客を担当させてくれ」と頼んだのですが、当然任せてもらえるわけもなく、当時良くしてくれていたクライアントの管理職の方に愚痴をこぼした際、本気で叱られました。「そんな事をいっているうちは成果は出せない。自らリーダーシップを発揮しない奴にチャンスは来ないし、仕事は任されない」と。この後、自分なりの方法で、自分なりに考えて新規開拓に取り組み、それまで誰も開拓できなかった組織を顧客として開拓できました。
 2回目は、30代前半でコンサル業に異動してはじめて携わったプロジェクト。会社員としてあるプロジェクトにコンサルとして配置されましたが、自社メンバーは自分ひとりだけ。上司にあたる人は個人事業主でした。3か月ほど、名前では呼んでもらえず、「そんなこともできねぇのか」、「もうやめたら」的な厳しいことをかなり言われていました。当時は本気で辞めたい、逃げたいと思っていましたが、悔しさの方が勝り、追い出される覚悟である案件を勝手に巻き取り、結果的にその案件については誰よりも詳しくなり、自らの居場所を勝ち取りました。自分自身も半分個人事業主となった今、当時のボスが悪意で自分を責めていただ訳ではない、ということはよく分かります。(もうちょっと優しくしてほしかったですが)
 3回目は、30代後半、部長職になって間もない頃、自分自身の能力の伸びに停滞と壁を感じていた時です。「何かしら、自らを変えることをしないといけない」というハッキリとしない危機感があり、事業構想大学院大学に入学(MPD)しました。MPDでは、自らの事業を構想し、事業構想計画書を修士論文として完成させないといけないのですが、その過程で問われ続けたのは「なぜ、あなたがやるのか?」です。最初の内は、解決手段が先行していた事業構想も、何度も何度も問われたり、他の院生の考えに触れる内に、「自分が本当にやりたいことは何か?なぜ自分がやるのか?」を軸に、事業構想することができるようになりました。ここで事業構想した新規事業を、企業内で提案し、立ち上げたのが『プロテア』です。(ちなみに、この事業を私がやりたい理由は「自分の子供たちの世代のために、今の当たり前を変える力(即ち自己変革力)をもった人を増やす」ためです。)

 振り返ると、私の場合は、何かしらの「危機感」、「劣等感」が生じた際に「自己変革力」が発動しています。何が自己変革につながったのか?については、今後順を追って整理していきたいと思いますが、今回は「自己変革する力はなぜ必要なのか?」について記します。

■自己変革できない理由

 自己変革できない理由を考える時、思い出すのは、ある投資家の方が大企業人材を指して何気なく発言した一言です。
「大手の人は、前提を疑うことができないからね」
もう3年以上前に聞いた言葉ですが、未だに覚えています。また同じ頃、別の方を取材している際に発言された言葉、
「自分の本当の声が聞こえるようになった」
大企業にいながら、複業をし始めて何が変わったか?という問いに対する回答でした。この言葉も、未だに脳内に残っています。
 この2つの言葉から気づいたことは、「システム化された世界に生きている人は、暗黙の前提に支配されている」ということです。書籍『問いのデザイン  創造的対話のファシリテーション』の冒頭でも、以下のように記されています。

自分にとって「当たり前」すぎることは、日常においてはっきりと「メタ認知」(自分の思考についての客観的な思考)をすることは、簡単なことではないからです。

問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション(著:安斎 勇樹、塩瀬 隆之、2020)

■自己変革力の必要性

 様々なトランスフォーメーション(変革)が求められている時代、多くの企業現場で変革を求められている状況がありますが、多くの人が「自らの前提を疑う」ことができず、「なぜ、自分がやるのか」を明確にできず、モヤモヤしているのではないでしょうか。私自身の経験を振り返ると、無意識にもっていた「前提」に自分自身が囚われていたことがわかります。
①法人営業時代:結果を出すには、担当を変えてもらわないといけない
②コンサル時代:仕事・担当は誰かが与えてくれる
③事業開発時代:新規事業構想において、手段から考えてしまう

 自分自身が囚われていた「前提」を疑うことができたのには、いくつかの要素があります。その要素は、自己変革力の学習モデルとして今後整理していきたいと思います。当時を振り返ると、「自分だけでは変われなかった」ということだけは明確です。人や組織が変化、変容するには、何らかの外的刺激が必要であり、その刺激を受けた後に、自らの内なる声を見つけ出す必要があります。今後、今まで以上に速度を増して社会環境は変化していくでしょう。変化に適応する力、状況や環境に応じて自らを変えていく力(自己変革力)は、〇〇トランスフォーメーションの文脈だけではなく、個々人の日々の生活においても必要性が増していると感じます。

人は、変わらなければならない時、自らと、自らを取り巻く状況を変える力を求められる。

自己変革力とは何か?どうすれば学び、高めることができるのか?

これが、私自身の探究テーマであり、問い(リサーチクエスチョン)です。


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