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なぜなに複業~企業が取り組む意義①~

自称・次世代ワークスタイル開拓者の成瀬です。

現在、本業では「複業」に関する新規事業を企画・開発中です。2018年から約2年間構想・市場調査し、2020年は約1年かけてサービスを開発してきました。この新規事業でチャレンジしたいのは、「複業を企業が促進することが、社員と組織の成長につながる」ことを実証することです。

「なぜ、企業が副業を認めるだけでなく、複業を促進するといいの?」

というご質問を本当によくいただきます。私も何度も何度も言語化してきましたが、結局、個人(社員)にとってのメリットに聞こえてしまう。という課題があります。この感覚は、私が約10年取り組んできた「テレワーク」の状況によく似ています。新型コロナの影響で、テレワークは一気に普及しましたが、これまでテレワークは特別な企業、特別な社員の働き方、という状況が長く続いてきました。2015年以降、働き方改革の時代になり、ひとつの人事施策となる機会も増えましたが、それでも、現在の状況から振り返るとごく一部の働き方だったと思います。私にとっての新たなテーマである「複業」も同じ歴史をたどるのではないか、という感覚があります。この時代の変革期に、少しでも変化を促進したい、そんな想いで、現在「企業向け複業促進サービス」を企画・開発しています。

■「副業」か、「複業」か

国が推奨するのは、「兼業・副業」と言われていますが、民間企業の人事関連事業者の立場から、組織にとって、そして働く個人にとって定着を狙うべきは「複業」であると考えています。私にとっての双方の定義を図示するとこんな感じです。

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「副業」は、あくまで本業がある前提で、サブ収入を目的としたものです。これでも最初はいいのですが、これからの時代を考えた時、「副業社員」が多くいる状況だけを追い求めても社会的意義、そして企業メリットが低いと考えています。

「複業」は、いくつかの生業がある内の大きなひとつに本業がある、他にもいくつかの選択肢としての「複業」が存在している状態、です。「本業が複数ある」とも言えますが、私なりの目指す世界観は、「大きな本業もありつつ、他にも生業が複数増えていく」という状態です。

■組織にとっての複業メリット

このまま流れに身を任せて書いていくと、また個人目線になりそうなので、本業側の企業・組織を主語にして「複業に取り組む意義」を思考整理していきたいと思います。

いくつかの切り口があると思いますので、どこかで全体像を整理したいと思いますが、ひとつひとつ見ていきたいと思います。

①守りの視点:社員のエンゲージメント

1点目は、複業を認めることで社員のエンゲージメントに繋がる、という点です。これは私自身と周囲の複業社員の実例があります。個人側は既に複業できる環境にある人が増えていますし、社会環境の変化と将来への不安から複業希望者が増えています。この状況で、複業(副業)を禁止、もしくは厳しい管理を行えば、「バレないように複業する人」「認めてくれる企業への転職」という状況を生みます。逆に、複業を成長の一環として認め、自律的なキャリア構築を応援することで、「なんて懐の深い会社だ」ということで組織に対する感謝が生まれ、結果的に複業で得た経験を本業にも還元しよう、という思考が生まれます。過程において、複業の方が楽しい、忙しいという時期もあるでしょうが、本業側も持続的にコミュニケーションをとっていくことで本人もバランスをとるようになっていきます。

②攻めの視点:変革や新たな視点を生み出す人づくり

2点目は、複業を促進することで、組織に新たな視点を生み出すことに繋がる、という点です。これも、複業社員と一緒に働いていることで私には実感があります。組織や事業が変革を求められる時代、自組織内の経験値だけでは、前提を疑うことができず、何をどこまで変えるべきか?何を取り入れればいいのか?そんな正解のない課題が増えてきました。組織内に解が見出せないなら、組織外から取り入れなければなりませんが、一方で自組織のことは自ら解を出さなければならない、というジレンマもあります。これを乗り越える手段が、「組織内人材の外部人材化」です。一つの方法論として出向という手段があります。また、人材育成の観点から、意図的に計画的異動配置を行っていく、というのは従来の人事施策でもあった方法です。これが、組織内だけでは経験機会として不十分になってきた。ここに社外での複業という手段が新たに加わった、という考え方です。この時、本業のついでに取り組む「副業」では効果が薄く、本業同様にコミットして取り組む、かつ複数の経験機会を得る「複業」出なければ、社外経験を活かすまでに時間がかかり過ぎてしまいます。

先ずは、「社員のエンゲージメント向上」と「新たな視点を生み出す人づくり」の2点を、企業が複業を促進する意義として取り上げてみました。

次回は、違う切り口からもう少しアプローチしてみたいと思います。



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