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入れ歯で 真っ青 修学旅行

20年以上前、高校2年生の私は、交通事故によて 前歯4本 失った。

差し歯を作るため 定期的に口腔外科に通院した。
前歯4本中、3本ぼろぼろに折れ、残りの1本は神経がだめになり、
神経ごと抜くことになった。

差し歯を作る作業は 口の中で神経を抜いた入り
歯を削ったりの大工事だった。
差し歯をが出来上がるまでには時間がかかるため、仮の入れ歯も同時につくってもらった。

仮の入れ歯が出来るまでは、マスクをして学校へ通っていた。
前歯がないと 声がもれてしゃべりにくい。
ふがふが はふはふ して しまい とても恥ずかしかった。

そんなこんなで

マスク通学を始めて 数週間後 仮の入れ歯を手に入れることができた。

これで フガフガせずしゃべれる。 
マスクなしで会話できる。
入れ歯の完成が嬉しくてたまらなかった。

快適入れ歯生活が 板についてきた頃

修学旅行の時期がやってきた。

修学旅行の 班を決めたり 買い物コースを決めたり
あれよあれよと 楽しい日々は進み あっという間に

修学旅行の当日。

母親とともに 寝坊した。

寝坊と言っても車で駅まで行けば 余裕で間に合う。


バタバタと車に荷物を乗せ

大慌てで駅の集合場所へ向かう

まだ来ていない人もいる。 

間に合った・・・

ふぅ〜 っと 一呼吸おいて

「おはよう」

友達に挨拶をする

「おはよ・・・う。 え・・・? 」

友達の笑顔が消え 怪訝な顔。

「なに?どうしたの?」

 「波、歯。 歯ないよ。」

友達が小さな声で教えてくれる

サーっと血の気が聞いていくのがわかった。

急に意識が前歯のない歯茎に集中する。 

いまから 長崎に旅立つっていうのに 歯抜け?
修学旅行の思いでが歯抜けの状態なんて無理!!!

母親に電話して 大急ぎで入れ歯を頼む。

間に合うか間に合わないか 本当に気が気じゃなかった。

「波!!!これ!!」

息を切らした母親が 焦った様子で私を呼ぶ。 
ポーチに入った入れ歯ケースを持ってきてくれたのだ。

間一髪まにあった。 

必死になって持ってきてくれた母親の姿をみて泣きそうになった。
(お母さん優しい・・・・あ・・・でも帰ったらバチクソ怒られるな。)

これで 安心。 写真だって笑顔で写れる。

無事前歯を手に入れて、元気100倍 で 長崎へ飛び立った。  

長崎へ到着

1日 遊んで 食べて 写真もとって ホテルでは夜も遅くまで 友達と話しをした。

学校は大嫌いだったけど、 私は友達に恵まれたお陰で、中学も高校も楽しい思い出はたくさんある。

高校の修学旅行もそのひとつだ。

長崎最高〜!

最終日 ホテルのチェックアウトの日  帰り支度がぎりぎりで 

みんなバタバタ 荷物まとめた。

整頓整頓が苦手な私は バックの中も整理できない。

ババっとつめて なんとか まにあった。

集合場所で一息ついてたところ

「忘れ物がありました。」と同じ部屋の子が先生に届けていのを目撃した。

それ・・・・ 私の入れ歯ケースセットがはいったポーチ。

仲のいい子にしか 入れ歯のことは伝えていなかった。

修学旅行中 2回目 血の気が引いた。

先生に 中身を調べられてはたまらない!


「私のです。ごめんなさい!」

と先生の手からポーチを奪い取った。

今思い返すと 入れ歯ケースを見られることくらい たいしたことじゃないのだが

女子高生の私からしたら、ポリデントを持参してるなんて思われたら 

恥ずかしくてたまらない! 

無事 手元に取り戻したポーチを、急いでバックの底に隠した。

高校修学旅行の一番の感想は 

「早く 差し歯を入れてほしい! 入れ歯は懲り懲りだ!」

となったのだった。 


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