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精神障害者の社会復帰と経済政策

 精神障害者が社会復帰するにあたっては、経済的施策が重要となる。
なぜならば、精神障害者の生活は、その疾病の特性から定期的な受診と継続的な服薬を続けることが重要とされるからである。また、精神疾患の症状によっては、安定した収入を得ることは容易でない場合が多く、長期入院などで、仕事の継続が困難となった精神障害者の社会復帰には、経済的な支援が必要となる可能性が高い。
その経済的施策の基盤となるのが「障害年金」と「生活保護制度」である。
 
 精神障害が理由で一般就労につくことが困難となり、生活困窮に陥る方の多くが利用を検討する制度が「障害年金制度」である。
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事等が制限される場合に、受け取ることができる年金制度のことである。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで、初めて医師に診療を受けたとき(初診)に加入していた年金で請求できる年金が変わる。
初診日に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、
初診の際に厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できる。

障害年金を受け取る際の「障害認定基準」において、精神の障害は
「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」「気分障害」」「知的障害」等に区分され、各区分によって障害の程度に対応した障害状態が示されている。
この障害等級の認定では、欠損障害のように症状が固定された障害は、
永久認定となるが、精神障害の場合は、精神症状が変動することから
障害状態の確認がなられる有効認定が用いられている。
この障害状態の確認は、医師による診断書を元に行なわれ、更には勤務先や給与額等の詳細など就労状況なども判断の材料となる。
障害が改善されたと判断された場合障害年金の支給停止や受給していた年金の等級が下る可能性がある。
しかし、障害年金が改善されたと判断されたとしても、永久的に安定するわけではなく、多くの場合症状や状態は変動するのである。
従って障害年金が停止されたからといって、停止された精神障が必ず就労できる状態であるとは限らない。

精神障害者が活用できる経済施策の基盤である2つ目の施策は「生活保護精度」である。
 「生活保護制度」は健康で文化的な最低限度の生活の保障と自立の助長を図ることを目的としており、困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度である。
他法優先の原則により、精神障害者が障害年金を受給している場合は、まず障害年金を優先に受給し、不足部分を生活保護費等によって補う。
また、障害年金1・2級の受給者は、生活保護費に障害加算が加算される。

 精神障害者の精神症状は、変動があり、上述した国の経済施策だけで安定した生活をカバーすることが難しい場合があり、国の施策以外の施策を活用うする必用がある。
自治体独自の施策や都道府県社会福祉協議会が実施主体である生活福祉資金貸付制度などである。経済施策を必要としている人の手に届くことが、精神障害を持ちながらも自律した社会生活を送ることができるのだという希望や目標に繋がるのだと考える。

【参考文献】
「精神保健福祉に関する制度とサービス」(中央法規株式会社)
「日本年金機構:ホームページ」


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