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伝統の世界

週1noteスピンオフ回の最終回
「今興味があり、好きになりそうなもの」について書いていく。

今私がすごく興味があるものは、私の地元群馬県伊勢崎市の伝統絹織物「伊勢崎銘仙」だ。簡単に言ってしまえば着物の素材の一種だが、何がそこまで私を惹きつけたのか書いてみようと思う。

伊勢崎銘仙とは

明治から昭和にかけて女性の日常着やおしゃれ着として大流行した「銘仙」と呼ばれる絹織物。銘仙は主に伊勢崎、桐生、足利、秩父、八王子などで盛んに生産され、中でも群馬県伊勢崎市で作られていたものを伊勢崎銘仙と呼ぶ。下の写真のように、世間一般の高貴でフォーマルな着物のイメージからは想像できないほど色鮮やかでポップなイメージの絵柄で表現された織物だ。

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この織物の何が凄いのかと言うと、この絵柄は織り込んだ着物に絵を描いたのではなく、なんと糸一本一本を完成形をイメージして染色し、それを絵柄がずれないように織り込んでできたものだということ。横糸と縦糸共に染が施され、緻密に織り込むことで美しい柄と鮮やかな色彩を生み出す「併用絣へいようがすり」と言う技法が使われている。しかもこの併用絣と言う技法は伊勢崎市の中でも豊受地区という非常に狭いエリアでのみ使われていた技法だそうで、私の地元中の地元の産物だったのだ(勉強したばかりで間違っていたらSorry)。

地元に目を向けたこと

そんな銘仙について語る私だが、伊勢崎銘仙に出会ったのはつい数か月前(2020年4月の中頃?)の出来事だ。もともと月に一度(以上)地元を知るために、群馬の活動的な人物のところを訪れて体験したり情報共有したりする活動をしていたが、コロナ騒動で活動停滞してしまっていた。在宅中に次群馬を訪れる時にどんな人を訪ねようかネットサーフィンしていて、実家がある伊勢崎市に目を向けることにしたのだ。

私の地元伊勢崎市は、継続的に人口が増加している地域であったり、子育て環境、仕事環境がとても充実している地域であるそうなのだが、いかんせん観光地となる物が極めて少ない・・・
伊勢崎市観光地で検索してもめっちゃ安い遊園地(華蔵寺公園=小さい頃よく遊んでいた)が最上位になるぐらいで、私もわざわざ観光で伊勢崎を訪れようと思ったことはなかった(伊勢崎市民には大変申し訳ないが・・・)。

銘仙を思い出させたカルタ

そんな非常に観光地に乏しい伊勢崎市だが、群馬県民なら誰しもが暗記しているであろう超ローカルかるたである上毛かるたに1札だけ登場している。

「銘仙織り出す伊勢崎市」という札だ。

上毛かるたは群馬県の名所や偉人などが札となっていて、子供のころからよく暗記させられ、大人になった今でもとっさに言えたりする究極の英才教育だ。大人になってから旅行や小説で、「あの札の観光地はここか!」「あの偉人ってこんなことしてた人物だったのか!」と改めて札の意味を知ることが多々あり、私にとって伊勢崎銘仙もその一つだった。

だが、そもそも「銘仙」ってなんだ?って言うのが去年までの私の状態であった・・・

前橋市、桐生市、高崎市などを旅して様々な取り組みをする人に出会ったが、伊勢崎市は誰が何をしているの?と言う疑問が浮かんだ。

地元のことをもっと知りたい。
何もないって言いたくないから。
おそらくそんなことを考えなかったら、上毛かるたがなかったら、伊勢崎銘仙に出会い、それについて調べることもなかったのだろうと思う。

現代によみがえった銘仙

そんな地元旅による探求心と、上毛かるたの記憶から出会った伊勢崎銘仙。日本女性の衣服の洋装化が進むにつれ、1980年代初頭には市場から姿を消し、技術も途絶えてしまっていた中、復元が不可能と言われていた技術がなんと現代に蘇ったというのだ!!どれぐらい凄いことなのか、詳しい話は以下のリンクよりどうぞ。

全14工程を担うそれぞれの職人さんを探し出して、当時の機材を整備し3年の歳月をかけて現代に復元された「イセサキメイセン」。しかし、技術は復元さえできたものの、職人さんはご高齢であり、当時の機材そのものが現在は在庫が見つからず、生産するにしても当時のとても繊細な織り機の構造を再現することは難しというのだ。

また、絵画や骨董のように作者の名前が作品に刻まれることのなかった伊勢崎銘仙は、当時の職人さんを探し出すこと自体がとても困難であり、職人さんも自身も生活のためにやっていたことであり、自らが職人であるという自覚はなく、現役で手を挙げる人も出てこない。

後継者不在、職人探しの難航、道具の消失、材料の生産終了、伝統に対する需要の低下等、伝統技術の継承もまた容易なことではないのだろう。

誇れる地元のため

一度は現代に蘇り、再び技術が消滅しようとしている伊勢崎銘仙。現在復元された作品はイギリスロンドンにあるデザインで最高峰を誇るビクトリア&アルバート博物館(V&A)に永久保存が決まった。観光地も少なく、わざわざ足を運ぶ理由もないと思っていた伊勢崎市だが、市民にとってはとても名誉となる出来事だ。

そんな私は、実は伊勢崎銘仙の実物見たことがない(笑)。
しかし、今は地元に行きたいと思う理由があり、後世に残したいと思う誇れる伝統がある。とても困難で、険しい道ではあるが、誇れる地元のために一歩足を踏み入れてみたい世界だ。

コロナが落ち着いて来たら、必ず地元伊勢崎市に行こうと思う。
その世界がどれほど自分の中に変化をもたらすのか楽しみだ☆

最後まで読んでくれてありがとうございました。
週1noteラストは遅刻


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