子どもの共同養育推進に関する陳情を渋川市に提出

子どもの共同養育推進に関する陳情 

渋川市議会議長 殿

令和2年  6月  日

陳情者
住所  渋川市
         氏名  ぐんま子ども愛育の会 渋川支部

                    
陳情の趣旨
 子どもを持つ夫婦の別居や離婚後も親子が良好な関係を保ち、直接接触できて、子どもの最善の利益が守られるような子どもの養育支援が渋川市において必要です。また、子どもの親権争いを激化させ、他方の親の同意のない子どもの連れ去りや同居親が子どもを別居親に会わせないなどの親子関係の断絶を引き起こす原因となる離婚後単独親権制(民法第819条)の改正と子どもの共同養育の推進を国に求めることを強く望みます。                                                                                                                  

陳情事項
 平成30年厚生労働省統計によれば、日本では年間59万組みが結婚して、20.7万組みが離婚しています。このため約20万人の未成年の子どもが離婚を経験しているものと推定されます。
渋川市では平成31年度までの3年間に平均116件の離婚届けが受理されています。このうち未成年者の子どもがいる割合を約6割として、平成28年度厚生労働省全国ひとり親世帯等調査結果報告等を考慮して試算すると40人の父母が意思に反して子どもと会えなくなっていると推定されます。そして、渋川市には子どもと全く会えずに苦悩している父母が約400人いて、子どもやその祖父母を含む被害者は約1,600人に上ると推定されます。
日本は先進国で唯一離婚後単独親権制を採用しているため子どものいる夫婦間では子どもの親権争いが激しくなる傾向があります。父母が子どもの親権を確保するために他方の親の同意なく子どもを連れ去り、裁判所が重視する子どもの監護の継続性を維持するために子どもを子どもと別居する親(以下、別居親)に会わせないなどの子どもと同居する親(以下、同居親)の行動が日常化しています。
1994年に日本が批准した子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)では、子どもが父母に共に養育される権利(第7条)や子どもが父母の意思に反して父母から分離されない権利(第9条)が保障されています。また、子どもの成長・発育における父母の共同責任の原則が重視されています(第18条)。他方の親の同意なく子どもを連れ去ること、子どもを別居親に会わせないことなどは、子どもに対する虐待です。また、別居親に対しても自然的権利である養育権の侵害となります。このような子どもと別居親の人権侵害は、やがては同居親と子どもの関係さえも損なうことにつながり、未来を担う希望に満ちた子どもの養育において決して望ましいものではありません。
国際的には、夫婦の離婚に裁判所や行政が関与することが一般的です。しかし、日本では、約9割が夫婦の協議のみで離婚しています。このため子どもを持つ夫婦の大半は子どもの養育費や面会交流について取り決めをせずに離婚しています。ひとり親家庭において養育費を受け取っているのは約2割、子どもと別居親の面会交流を実施しているのは約3割に過ぎません(平成28年度厚生労働省調査)。 
親権を持つ親(※)の意思によって子どもに全く会えない父母だけではなく、面会交流を制限されるなど、一方の親に絶対的な権限を与える離婚後単独親権制の被害者となる父母は、渋川市に、約580人いて、子どもと祖父母を含めると被害者は2,300人以上いると推定されます。 (※)多くの場合、同居親                       
このようなことから渋川市においても、離婚後の養育費の支払いや面会交流に関する取り決めの支援、過半数の母子家庭が貧困状態にある原因ともなる養育費の不払いの解消、子どもが父母の両方から愛情を受けて養育されるために不可欠な面会交流の円滑な実施支援などの制度整備が必要です。
今年に入って新型コロナウィルスの感染拡大により、全国の学校が休校になっています。そのような中で、仕事を持つひとり親家庭において、子どもを預ける場所が保育園や学童保育所などでしかないことは残念です。別居していても他方の親やその家族に子どもを預けることは出来るはずです。別居や離婚に関して、同居親は子どもを監護養育する親、別居親は養育費を支払う親というような画一的な社会認識は改めるべきです。新型コロナウィルスの感染拡大によって、子どもと別居親の面会交流が中止または縮小される事例が増えています。海外では都市封鎖の下でも子どもと別居親の面会交流は、親子の明確な権利として認められています。
児童手当や新型コロナウィルス対策の現金給付金などは、DV被害親等の申請によって世帯主と異なる住所に住んでいても受給できます。それは深刻なDV被害にあう親子にとって必要な措置である一方で、親権の確保や早期離婚のために虚偽のDVが訴えられる事例も少なからずあります。弱者に寄り添う一方で、他方の親にも十分配慮した対応が求められます。
今日、先進国において離婚後共同親権制を採用していないのは日本だけです。法務省が4月に公表した「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査」によれば、G20を含む海外24ヵ国において日本と同様に離婚後に単独親権のみを認めているのはインドとトルコだけだとされています(別紙参照)。昨年2月には国連・子どもの権利委員会から日本においても離婚後共同親権とするための法改正が勧告されています。
このような理由から、子どもの最善の利益を守るために、渋川市において別居または離婚する家庭に対する養育費等の支払いの確保や円滑な面会交流の実施などの子どもの養育支援を求めます。また同時に、時代遅れとなり国際社会との隔たりが顕著になっている離婚後単独親権制(民法第819条)を改正して、父母による子どもの共同養育を推進することを国に求めることを強く望みます。 

陳情の要点
■子どものいる父母の離婚等に対して、養育費等の支払いと子どもと別居親の面会交流の取り決めを支援して下さい。
■養育費等が確実に支払われるような保証制度等を整備して下さい。
■子どもと別居親の面会交流が円滑に行われるように支援して下さい。
■父母が子どもを連れて他方の親と別居する際などに、他方の親のDV等が不当に主張されることもあります。一方の主張を唯諾するのではなく、他方の父母にも十分配慮して下さい。
■時代に遅れ、国際社会から取り残されていると言える離婚後単独親権制(民法第819条)の改正と父母による子どもの共同養育の推進を国に要望して下さい。

                                 以上

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