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【受賞団体インタビュー】奨励賞:おむすびの会(桐生市)

群馬県地域づくり協議会事務局です。令和5年度地域づくりAWARDで奨励賞を受賞した「おむすびの会」の澤口さんにインタビューを行いましたので、その様子をレポートします。


1.受賞の感想

【事務局】このたびは受賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。

 こうした表彰制度に申し込んだのは、初めてだったので、受賞できるなんて全然思っていませんでした。たまたま表彰制度を見つけて、募集要項を読んでいたら、私たちの活動も該当するのではないかと思って。受賞したいという思いではなく、こういった表彰制度に申し込めば、県内で活動している団体のお話が聞けるのではないかという気持ちで申し込みました。

 それなので、受賞の報告は本当にありがたかったですし、私たちの取り組みが評価されることが初めてだったので、すごく興奮しちゃいました!!私たちの活動を肯定してくれる方がいたことが嬉しかったですし、今後のやる気にもつながりました。

 活動に参加された方から感謝の言葉をもらったことはありましたが、活動に参加されていない審査員の方々が私たちの話を聞いて、いいねと思ってもらえたことが、活動してきて良かったなと思えました。また、自己満足ではなく、誰かのためになっているのだと実感できました。

おむすびの会 〜ママと地域の縁結び〜 (facebook.com)

2.活動を始めたきっかけ

【事務局】活動を始めたきっかけを教えてください。

 おむすびの会をつくるきっかけは、2019年、子供を持つお母さん達をターゲットにした「わがままマーケット」(※1)を開催するためでした。その時に、個人個人で参加するより団体名があった方がみなさんが参加しやすいし、協力も得やすいのではないかということで、その時に賛同してくれたお母さん達で立ち上げました。

※1 わがままマーケット
孤立しがちな育児期の母親達が自分の得意なことを活かし、子連れでも出店できるマルシェ。

わがままマーケット

 立ち上げ当時、中心メンバーは4人、お手伝いも含めても5~6人くらいでしたが、たくさんの方々に協力していただけたおかげで、イベントを開催することができました。

 イベントがあったから、地域の方々との繋がりを強めることもできました。知り合いに「こういうことをやりたい」という話をすると、「それいいね!」と言って協力してくれる方もいて、そうやって様々な方と繋がりを持つことができました。取組をやっていなかったら、今もただの顔見知りの関係だったかもしれません。

3.活動中の出来事

【事務局】最初に一歩踏み出そうとしたとき、ためらい等はありましたか?

 今もそうですけれど、何かやろうということに対してハードルはあまり感じていません。私たちメンバーの特徴かもしれませんが、何かやるときは「それいいね。やってみようよ。やったことないけど。」みたいな感じで(笑)。

【事務局】活動の中で苦労したこと、記憶に残っていることをお聞かせください。

 活動してすぐにコロナ禍になってしまい、活動が制限されたことが、とても歯がゆかったです。ちょうど、これもやりたい、これもやってみよう、色々な人に声をかけてみようとメンバー同士が盛り上がっていた時期だったので。

 子供の命を守ることは、もちろん親として大事ですし、子供を安全に育てなければならないことも分かるのですが、母親として、それ以上に「生きる上で必要なもの、大切なこともある」という思いも感じていました。

 子供たちに色々な経験をさせること、考えさせることを止めてはいけないと感じて、当時の世の中の流れとは逆行するけれども、「古民家で子供預かり」(※2)という取組をやってみました。そのときの取組がいまの活動にすごく繋がっていて、あのときに思い切ってやって良かったなと思っています。

※2 古民家で子供預かり
コロナ禍の休校中に古民家で子供の預かりを実施。毎日様々なジャンルの体験講座を開催し、行き場を失った子供と親に居場所と学びを提供。

古民家で子供預かり
様々なジャンルの体験講座を開催

【事務局】コロナ禍で色々な制約も生じて、思いどおりに活動できないこともあったと思いますが、どのようなことが活動のモチベーションになっていますか。

 私たちの取組の大きな目標として、「自分の子供が私たちのいなくなった後の社会でも幸せに生きていけるように」という願いがあって、子供たちがコロナ禍においても「いま生きている瞬間を幸せに思ってもらいたい」という思いで活動しています。

 「古民家で子供預かり」の取組に集まってくれた子供たちは「あの時の、あの時間」がもの凄く楽しい思い出として心の中に残っていて、環境や色々な条件が付いてくるけれども、自分が幸せと思えるかどうかは自分の考え方や視点次第だと感じました。この体験から、子供たちには、色々な考え方や視点を持ってほしい。それが私たちの活動のモチベーションになっています。そして、子供たちだけでなく私たち親だったり地域の人だったりが同じような心持ちで生活できたら、今よりもっと幸せな社会がやってくるのではないかなと思っています。

 コロナ禍で色々な制約はありましたが、その中でもできることはあって、できることをやってきました。いまも時間がない、お金がないなど、できないことや手にはいらないことはたくさんあるけれども、やろうと思えばできることはあるので、これからも自分たちにできる範囲で活動してきたいと思っています。

【事務局】活動の中で「地域づくり」を意識したことがありますか。

 最初に活動を始めた頃は「地域づくり」なんて全く意識していなくて、自分たちの中であったらいいねと思えること、あったら楽しいと思えることだけをやってきました。

 ただ、活動を進める中で関わる方が増えてきて、親だけじゃなくて周りの人と関わることで自分の子供が大きく成長することを実感してきました。自分が教えられることは限られていますが、関わる大人が増えることで、子どもたちの経験値が高まるし、視野も広がると感じました。色々な大人から学ぶことが多く、地域の方々みんなで自分たちの子供のことを見てくれている感覚があり、最近はこういうことが「地域づくり」なのではと感じるようになりました。

 みなさん自分の家の子供を幸せにするにはどうしたらよいかは一生懸命考えているけれども、自分の家の子供が幸せでも隣の家の子供が幸せでなかったら、社会としては全然幸せではないと思ってしまいます。子供に限らず、みんなが幸せになれる社会こそが「地域づくり」ではないか、そんな社会を目指して活動したいと思っています。

4.今後の展望

【事務局】今後の展望についてお聞かせください。

 現在、「まちの先生見本市」(※3)という取組に力を入れているので、継続して取組を進めていきたいと思っています。また、私たちみたいに普通のお母さんたちでもできたので、他の地域でもやってみてくれる人が増えたら良いなと思っています。できないと思っていたことでも、声をだして協力を呼びかけたらできたということもあるので、そういったことも含めて情報発信していきたいです。

※3 まちの先生見本市
「古民家で子供預かり」での経験を元に大人達が自らの職業や特技を子供たちに伝える企画。

まちの先生見本市

5.メッセージ

【事務局】これから活動しようとしている方々へのメッセージをお願いします。

 もちろん、できないこともあるのだけれども、やらないで諦めるのはもったいないと思っています。育児をしていると辛いことや大変なこともありますが、どうせやるのであれば楽しく、より良い方がいいと思っています。何かをやりたいという方は、近くの方とでもできますので、ぜひやってみてください。もちろん「おむすびの会」で一緒にやりたいという方がいれば、大歓迎です。

(群馬県地域づくり協議会事務局 栗原、田辺、星野)

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