THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 6thアルバム「ロデオ・タンデム・ビート・スペクター」(2001)レビュー

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●新境地の意欲作

ロデタンである!個人的には2ndアルバム、ハイタイムと同率一位だな。これは最高!ネットのレビューを見てみるとそんな評価高くない感じだけど、俺がズレてるのか?確かに過去作と比べて今作から結構雰囲気が変わったから今までの陽気なミッシェルが好きな人は気に入らんかも。あとやっぱブランキージェットシティの影響が強くなってきたのも嫌な人は嫌かな。歌詞が特にイギリスからアメリカになってきてブランキー味増してるな。自分は歌詞あんま聞かんのでどうでもいいけど。

●どシリアスな作品

今作ロデタンはシリアスで暗い!ヒリヒリしてるよね。緊迫感、終末感、ヤケクソ感が全体から漂ってくる。あんまポジティブな雰囲気は無く、破滅に向かってる感はあるんだけど、カッコいいんだよな~。前作カサノバあたりから不穏な空気は漂ってたがリボルバージャンキーズとかGT400とかまだ救いのある曲が挟まってた。今作はマジで全部ハードな感じで過去の陽キャミッシェルの面影は全く無い。ヤサグレてる。でもカッコいいんだよな~。ロデタンはとにかくカッコいいのよ!それに尽きる。もうカッコ良ければ暗くても明るてもどっちでもOK!

●余裕や軽さを感じさせる

デビューから徐々にパワー系にシフトしていき血管切れそうな勢いで突っ走ってきたミッシェルだったが、今作ではハイタイム時代の軽さが帰ってきた気がする。アベがインタビューでも言っていたが、良い意味で肩の力が抜けている。重いグルーヴの曲も無く、パンキッシュでタイトな曲が多い印象だ。ボーカルも全部叫んでるかと思いきや結構メリハリというか、強弱強めで力抜いてるとこはかなり抜いてるな。

●気になった曲、布教したい曲の感想

01 シトロエンの孤独
これはリアルタイムで聴いてた人はかなり驚いたのでは?ていうかメンバーも驚いたろうな!ポエトリーリーディングとまではいかないが、サビ以外はほぼメロディーが無い!吐き捨てるような語りでリズムはあるもののラップとも言えない独特なボーカルパートでチバ以外は歌えんぞ!間違ってもカラオケなんかで歌うなよ!頑張れば頑張るほどドン引きされるぞ(笑)。アレンジは指がつりそうな高速パンクギターリフから始まりタイトなドラムとピアノの低音にも聴こえる凶悪ベース(ライブだと更に凶悪)が絡み合い唯一無二のグルーヴを纏って疾走!そして無機質で機械的な冷たい雰囲気の曲調!メロディーが無いのとよく分からん曲名にこれまた意味不明な歌詞もプラスして無国籍を越えてあの世別の宇宙って感じだな!うーんカッコいい。

02 アリゲーター・ナイト
今作では一番テンション高く明るい曲か。全然明るくは無いんだけど(笑)ロデタンだとこれでも明るいのだ!リズムがカッチョイイ!ジャズっぽいというか、スイングというか、ハネる感じ?オシャレ系だぞ!スーツが似合う!ホーンが入っても不思議じゃない、夜な雰囲気の大人なダンサブルロックだ!このジャズ的アプローチは次作で更に発展した形で登場するぞ。珍しくテンション低い間奏が一番ジャズ味あるな。

03暴かれた世界
1stシングル、世界の終わりよりよっぽど終末感、カタストロフィ感のある今作中一番ラウドな音像の重めのパンクナンバー。これがシングルってのがすごいな。メロディアスに始まるがサビでメロディーが無くなる(笑)。とにかくカッコいいというか、怖い雰囲気。人類滅亡って感じだ。間奏の間抜けな裏声も楽しい感じは無くヤケクソ気味だ。

04ゴッド・ジャズ・タイム
その暴かれた世界より更にカタストロフィ、1999年7の月感がある(笑)怖いがカッコいい曲。一気に不穏な空気になるイントロのベースが超凶悪。全体的にギターのフレーズがミッシェルらしからぬ感じで結構斬新に聴こえる。ギターの目立つバンドだけにギターがいつもと違うとエライ雰囲気違って聴こえるな。シングルかってぐらいタイトル、メロディー、アレンジ全てにフックがある大名曲。特にサビの絶望感は凄いぞ。もうおしまいだぁ…てな具合で朝には聴きたくない(笑)。ミッシェルの曲でもトップクラスに壮大で宇宙的、そして恐怖を煽る曲。ちなみに音楽的にはジャズ感は無い。

05 ベイビー・スターダスト
ギターリフがカッコいいシングル曲。久々にアベのカッティングがキレッキレだ。冒頭しつこく繰り返されるフレーズはAメロに入ると奏法が変化し一気にアベ味を増す(笑)。ジャキジャキでカッコいい!この時期には珍しくメロディーが盛り上がらない系でチバのドラゴンボイスも聴けないがその分アレンジが凝っている印象だ。ライブだとより分かりやすいが歌より演奏を聴かせる曲だな。いつも通りタイトなリズムでカッコいい。歌詞は悪魔と天使がどうのアバズレメンヘラがこうので当時チバがディスっていたV系っぽい雰囲気だが良いね。やるせない感じだ。

06 リタ
これは人気無さそうだな(笑)。地味だし盛り上がらんしの目立たん曲だが映画の劇半っぽく聴こえなくもない。マフィア、ギャング映画だ。当時のミッシェルメンバーもそんな出で立ちだったしな。雰囲気を味わう聴き方が正しかろう。ヤクザな雰囲気。

08 ターキー
こっから似たようなハイテンポパンクナンバーが続くのでどれがどれだか分からなくなる(笑)。ターキーはミッシェルお得意のスラッシーなパンクナンバー。ボーカルと演奏の掛け合いのような構成でシンプルながらあんま無かったパターンか。歌メロの譜割り、リズムがかなり凝っている印象でこれはラップ的な気持ちよさがあるぞ。よく聴くと韻踏んでる箇所も結構あるな。メロディーも無いし、意識したかは分からんがほぼラップと言える。歌ってみて気持ち良い言葉とリズムをはめたような感じだな。カラオケで歌いたい!

09 ブレーキはずれた俺の心臓
ターキーから間髪入れず始まるハイテンポパンクナンバー。ぼんやり聴いてるとターキーとの違いが分からないが(笑)よく聴くと当然全然違うぞ。今作中一番荒馬感、ヤケクソ感の強いタイトル通りの曲調で疾走する。かなりシンプルな曲でアレンジも後期にしては単調か?削ぎ落とされた感じだがタイト過ぎる演奏とディストーションボーカルの絡みがやはり素晴らしく、余裕で聴けてしまう。

10 マーガレット
ハイテンポパンクナンバー3発目。似たようなカロリー高めの曲が連続するのがライブ感あって良いな(笑)。不穏なギターリフで始まるイントロは印象的でベースラインも同じフレーズだからか記憶に残るな。聴きどころは2番サビ後のギターソロからAメロまでのアレンジの流れ。クソカッコいいぞ!超不良だ!

11 バードランド・シンディー
ダンサブルな哀愁ロックナンバー。何となくカサノバスネイクっぽい曲調に聴こえなくもない。ロカビリーっぽいからかな?クレイジーケンバンドあたりでもありそうな曲調だな。やはり聴きどころはウエノのウッドベース!これはかなりカッコいいぞ!これだけでも聴く価値あるぞ。ギターソロもたっぷりだ!ラスト付近の畳み掛けアレンジはベタだが盛り上がる。全体的に哀愁全開の曲調だがラストは取って付けたような明るい雰囲気で終わる(笑)。

13 赤毛のケリー
シングルでもおかしくないぐらいキャッチーでフックありまくりの大名曲だぞ!
シンプルながらカッコいいシリアスギターリフから始まり、タフな8ビートを纏って疾走!いや、疾走とまではいかないか。絶妙なテンポで重みがあるぞ。初期や中期では絶対辿り着けない焦燥感、緊張感のあるヒリヒリした作風でPVのマッチング具合は全曲中トップクラスだ!ところどころで少しだけ明るい響きになるのが逆に哀愁ある。感情の無い冷たい曲が多いロデタン収録曲だがラストで湿っぽい曲がくるところがしっかり考えて作られてる感あるんだよな~。会社主導のシングル寄せ集めアルバムとはモノが違う!単体でも勿論良い曲だがアルバムの1ピースとして完璧なのよ!
ダニーゴーとは違う種類のこれからのミッシェルに乞うご期待!って感じのラストにふさわしい力作。後期嫌いのファンでもこれだけは好きって人もいるだろう!ロック好きならば必聴だ!ボーカルのピッチが珍しく不安定なのが玉にキズだ。ライブの方が安定してるな。

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