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御書印プロジェクトの現実と改善の可能性

こんにちは。前回の記事では、御書印プロジェクトの目的やリアル書店の魅力についてお話しました。

今回は、「御書印があるからといって、実際にリアル書店に行きますか?」という疑問に焦点を当ててみたいと思います。


御書印がリアル書店への動機になるか?

書店巡りやスタンプラリーが好きな人にとって、御書印は書店との交流を楽しむ一つの指標となるでしょう。しかし、そうでない場合、御書印を求めてわざわざ書店を訪れるでしょうか?

リアル書店には、書店員との交流を楽しみに訪れる人もいますが、近所の書店で十分という人も少なくありません。また、書店に訪れても本を購入せず、ただ交流を楽しむだけの常連さんもいます。リアル書店のメリットは理解しつつも、ネットでの購入が便利でお得なため、立ち読みだけしてネットで注文する人も増えています。

御書印プロジェクトの現状

御書印プロジェクトの現状を数字で見てみましょう。2022年7月時点で、参加書店は364店舗、御書印帖の配布数は17,000冊以上、御書印の押印回数は35,000回以上です。50店舗以上を巡った「巡了者」は55人に達しています。
(御書印新聞第1号に掲載)

プロジェクト開始は2020年3月なので、2年4ヶ月が経過しています。この期間で1書店あたりの御書印の押印回数は約100回、月平均で4回弱にとどまります。50店舗巡了者数が55人ですので、その分の御書印押印回数を除くと、平均で1人あたりの押印数は2つ程度です。

現在では、書店数も増加し、認知度も上がっているため、1ヶ月あたりの押印数は増加していると考えられます。しかし、東京神保町に書店が集中していることから、全国的な格差が大きいのも事実です。多くの人が、たまたま訪れた本屋さんで一つだけ御書印をもらうというケースが多いのではないでしょうか。

御書印リストを活用した書店巡りの現実

御書印プロジェクトの公式ページには書店リストがありますが、このリストを活用してわざわざ書店巡りをする人はどれだけいるのでしょうか?

例えば、旅行の計画を立てる際に、「御書印をもらおう」と思ってリストを見たとしても、その場所に行くまでのハードルが高い場合が多いのです。リストを見ても書店の特徴・魅力が分かりにくく、営業時間や詳細情報を調べるのも手間がかかるため、結局訪問を諦めてしまうことが少なくないでしょう。

御書印プロジェクトとリアル書店のメリットの再考

前回の記事で述べたリアル書店のメリットを、御書印の現状と照らし合わせて再考してみます。

  • 偶然の出会いがある
    これは地元の書店でも同じです。わざわざ御書印リストにある書店を訪れる必要はありません。

  • 書店の雰囲気を楽しめる
    写真があれば雰囲気はある程度伝わりますが、匂いや音はリアルでないと感じられませんが、新刊書店であれば匂いも音もそう変わりはありません。カフェ併設などの付加価値が必要です。

  • 個人経営書店ならではのセレクション
    SNS等でオススメ本が発信されていれば、わざわざ書店にいく必要がありません。

  • 書店員との対話ができる
    書店リストに載っている書店でも、コミュニケーションを取れるかは不明です。特に、大手書店では忙しさから対話が難しいことが多いです。

  • 地域コミュニティの一部となれる
    書店に合わせて地域のイベントや観光情報を調べる手間があり、行かない理由になりがちです。

御書印プロジェクト改善の提案

御書印プロジェクトや参加書店が改善策を講じれば、訪問者を増やすことができるかもしれません。以下はその一例です。

御書印プロジェクト側の改善提案

  • 御書印参加書店リストの情報追加
    書店がどのような書籍を取り扱っているか、カフェ等併設の有無、公式HPやSNSのリンクなどをリストに追加することで、訪問意欲を高められます。

  • 御書印フェアの活用
    御書印参加書店の特徴やおすすめ本を紹介する際に、その書店の個性がもっと伝わるような情報を提供します。

  • 書店と地域の連携強化
    御書印プロジェクトと地域の観光協会や商工会と連携し、書店と地域の名所を結びつけたイベントを開催します。これにより、書店訪問が地域の観光の一環として位置づけられ、訪問者の増加が期待できます。
    例えば、御書印新聞第3号に掲載されている「京都お寺巡りと御書印マップ」のようなものを、観光地や街の図書館などに配布する方法も考えられます。

御書印参加書店側の改善提案

  • 周辺情報の発信
    お店のイベント情報だけでなく、近隣のおすすめスポットやイベント情報を発信することで、遠方からの来客を促します。

  • 店主の個性をアピール
    人となりが伝わるような日記やコラムを発信し、書店との親しみを感じてもらう工夫をします。

参考アイデア:さらなる改善策

以下は、より独自性を強調し、訪問者の購買意欲を強力に引き出すための、さらに踏み込んだ改善策です。

1. 「御書印×読書体験」パッケージの提供
御書印のスタンプだけでなく、「読書体験」を含んだパッケージを提供します。特定の本を購入すると、その本に関連する読書ガイドや著者インタビュー音声、関連グッズがセットになったパッケージを提供し、訪問者はスタンプ集め以上の価値を感じます。

2. 「会員制御書印クラブ」の導入
定期的に御書印プロジェクトに参加する顧客を対象に、会員制の「御書印クラブ」を設立します。会員には限定イベントへの招待や、通常では手に入らない特別な御書印が提供され、ゲーム感覚での購買意欲が刺激されます。

3. 「御書印ツアー」プランの提供
旅行代理店や観光地と提携し、特定地域の御書印参加書店を巡る「御書印ツアー」を企画します。ツアーに参加した訪問者には、書店ごとの特別な御書印や地域限定のアイテムが提供され、書店での購買が促進されます。

4. 「御書印ストーリー」コンテストの開催
訪問者が御書印を集める際に、その書店で得た経験や感想を「ストーリー」として投稿するコンテストを開催します。優秀なストーリーは書店で展示され、特別な御書印や景品が贈られます。

5. 「御書印アプリ」の開発
訪問者が御書印をデジタルで管理し、書店訪問の進捗を確認できる「御書印アプリ」を開発します。訪問した書店のレビューや、おすすめ本リストを保存できる機能を搭載し、訪問者同士の交流も促進します。

6. 「御書印トレーディング」の導入
御書印を収集するだけでなく、訪問者同士で交換できる「御書印トレーディング」の仕組みを導入します。希少な御書印を集めることで、訪問者が複数回の訪問や購入を行う動機を作ります。

7. 「ポップアップ書店」×御書印の展開
イベントや地域のお祭りに合わせて、期間限定のポップアップ書店を展開し、特別な御書印を提供します。訪問者の関心を引き、購買行動を誘発します。


まとめ

御書印プロジェクトは素晴らしいアイデアであり、リアル書店に足を運ぶきっかけとして非常に有効だと感じています。もっと多くの人にリアル書店を楽しんでもらいたいと思っています。

現在、御書印プロジェクトは、訪問者にリアル書店を訪れる動機を提供していますが、まだその動機が本の購入やリピーターになるまでには至っていないケースが多いと感じます。この現状を改善し、書店の提供する価値をもっと明確に伝えることで、訪問者が「この書店で買い物をしたい」と思うようなってほしいです。

これからの御書印プロジェクトとリアル書店の発展に期待し、さらに多くの人々に書店を楽しんでもらいたいです!


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