ラッパー、山に登る  陣馬山〜高尾山1day縦走




PAKINです。

このnoteに音楽関係のことしか書かないと決めて数ヶ月で飽きて放置してましたが、創作活動として登山に行ってきたのでつらつら思ったことをシェアします!というか考えたことを忘れたくないので俺のために書きます。

きっかけ

一年ほど前に某DJ、MC諸兄に誘われて11月の最終週に群馬と新潟の県境でキャンプしたのがきっかけで、当初は「アウトドアいいなー!キャンプしたいなー!」と漠然と思っていた。

ただ、車も持ってないし、自ずとキャンプ出来る装備は自分で担げる分だけ、しかも本当にキャンプしたいのかな、と突き詰めて考えた時に「やっぱ登山じゃね??」となった。

理由は三つある。
一つ目に体力作り。
もともと体を動かすアクティビティが好きだし、ブラジリアン柔術(以下BJJ)もやってるから、カーディオ能力向上と体脂肪コントロールのために有酸素トレーニングを取り入れたかったのだ。

二つ目に、1人でできて、誰かと競争しない趣味探し。
自分はグライムという音楽のMCで、さらにBJJもやっている。いろんな意見があると思うが、個人的にはこれらの趣味は「第二者(観客、対戦相手などなど…)以上の人を必要とするゲーム」だ。
ラップはシーンの中でいかに他のアーティストより目立つかが肝であるうえ、そもそも聞いてくれるリスナーがいないと成り立たない代物だし、
BJJは言わずもがな対戦相手がいないと話にならない。(試合に出なくても、スパーリングをする相手が必要だ。)
コレらの趣味は、必然的に、相手との優劣を競う側面が生まれてくる。
今から趣味を新しく作ろうと思った時に、もう同じような競争型の趣味を増やすのはやめようと思ったのだ。
誰かと戦い続けるような趣味をいくつも持つ気にはなれなかった。
勝った、負けた、売れた、売れなかった、イベントに人が入った、入らなかった……お腹いっぱいだ。もっとシンプルに、ニコニコ笑って終われるような事がしたい。できれば自分なりの達成感や新しい気づきを得られれば上出来だ。

そして三つ目、コレが重要なのだが……
コロナ以前より、都会の暮らしや、夜遊びから自分がインスピレーションを受けることが少なくなってきた。そして、コロナ禍でその事態が加速した。
もちろん、グライムはやりたい。今後コロナから復活していくにつれて、現場や創作活動を再開する動きもしていくだろう。ただ、以前と同じようなことを続けるのは、あまり乗り気にならなくなっていた。
つまるところ、今までのやり方に飽きてしまったのだ。
特に楽曲を作るという点においては、コロナで刺激がなくなった分同じような切り口になりがちで、時として自家中毒気味にすらなってしまう。なんというか、作ってる自分自身が面白みを感じない。
全く違うところからインスピレーションを得ていかないと、窒息しそうだとおもった。

というわけで登山なのである。

宅建試験の勉強期間の唯一の楽しみとして、登山系youtuberのチャンネルを眺めることが増えていた。それが好きな人がやっているから当然ではあるのだが、兎も角皆んな楽しそうだった。
とあるyoutuberの人は、登山から学んだ人生観や哲学的な話まで色々熱っぽく語っており、年も割と近そうなのに随分しっかりした考えを持ってるんだなぁ、と感心したりしていた。
そんな人たちが画面の向こうにいたものだから、
「もしかしたら登山から何か創作のきっかけを得ることができるのではないか?」
そう考えたのだ。
また、服やバッグを「道具」として扱うカルチャーも、制作機材にハマった者としてはとても興味深いものだった。
アウトドアにおけるギアって、音楽制作における機材とか、プラグインだよな。
手当たり次第に買いまくる収集癖を発動させるも良し、コスパ重視で整えても良し、ともかく一方向に振り切ったギア集めをしても良し。(ウルトラライトスタイルなんかはまさにそれだよね。)

おもしろそうだ。

一年近く悩んだ挙句、今年の宅建試験が終わったタイミングで重い腰を上げることにした。

ある程度の装備を整えたところで、日帰り登山程度なら行ける状態になった。じゃあどこに行こうか、となった際に、たまたまYahooニュースで「初心者の登山にはこのコース!」という記事が配信されていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/07af8146c420d814f66511bf7575ab7f835c3ae3?page=1

それが、陣馬山から高尾山までの縦走だった。

調べてみると、都内からでも十分にとっつきやすく、また最近買ったギア類をテストし、自分自身がどの程度歩けるか試すルートとしても絶好のものに思えた。

というわけで、ラッパー、山に登る。

登山に行ったのはコレが本当に初めてで、しかもソロ。
とりあえず行けば何とかなるっしょBJJやってるし!というノリで山に行った結果、色んな事が自分の中では「完全に理解した」ので、その記憶を残しておこうと思う。

完全に理解した


前提として、
晩秋の日帰り登山縦走20km弱、快晴で、最低気温は0℃には届かず、昼間は14℃前後の気温である。(つまり、雪もなく過ごしやすい秋の日といったところ。場所や季節といった条件設定が変われば、また考え方は変わってくるだろう。)
登るのは成人男性(体重重め、運動経験ありだが登山は初。)で、縦走した山域もそこまで高くないエリアである、という点は踏まえた上での本記事であること、ご理解頂きたい。
あと、基本的には自分向けのメモだし、一回登った程度の初心者の記録なので、読んでいる人は半笑いする程度の距離感で読んでほしい。

1.脚が全て
「靴は登山で1番大切なギア。」というアドバイスは、登山について調べたらそれなりによくきくものだと思う。僭越ながら自分が補足すると、
「登山は脚が全て。」

「なので、靴とかしっかりしたもの買わないとダメだよ。」
ということになる。
というのも、脚が動かなくなるということは、山の中で行動不能に陥るというだいぶハードな事態に直結するからだ。
今回の縦走で、実際に自分は行動不能になりかけた。
10kmを超えたあたりにて、急な坂を登っていた時に、左膝の裏側が痙攣を始めたと思ったら、いきなり膝のお皿がバチバチに痛み始めた。
脚使い切りました!もう今日は店じまいです!!」という膝の主張が聞こえてくる。
いくらBJJをしているといっても、数時間ひたすらアップアンドダウンを繰り返すアクティビティに耐えられるほどの脚にはなっていなかったというわけ。
コースとしては残り7km弱残っており、一瞬リタイアも考えたが、まだ右脚は残ってるよな、と考えたことと、前日に渋谷のドンキで「虫の知らせ」を感じて買っていたバンテリン加圧サポーターを持っていたので、それを巻いてなんとか下山することができた。(痛み自体は帰宅直前でいきなり弱まった。不思議。)
これで右脚も捻挫などしていたら、いよいよエマージェンシーだった。危機管理!
靴もそうだが、普段脚をガッツリ使う類の運動していない場合、行動中の足首、膝、そして腰のケアがとても大事だということがわかった。適宜ストレッチや休憩を取ること。自信がない場合は、サポーターを購入しても良いと思う。(その場合、必ず家で着脱のテストをすること。山で痛みに耐えながらサポーターを装着するのは、慣れていないとこれも苦行である。)
ちなみに今回初めて使用した登山靴はHoka one
oneのKAHA GTXで、それとワークマンのメリノウールの厚手の靴下という組み合わせは、めちゃくちゃ足をプロテクトしてくれた。ブリスター(肉刺)も出来なかったし、下りでも足先を痛めることはなかった。皆んなHokaを買え、安売りしてるときに楽天で買うとポイントももらえて一石二鳥!

2.山を舐めるな(物理)
俺は「初心者にオススメの登山縦走コース」と聞いて本コースを選んだのだが、では実際に「初心者にオススメの登山縦走コース」がどんなものかというと、

根っこ階段

こんな木の根っこの坂や

膝くらいの段差with根っこ

こんな木の根っこの階段が延々と続くルートのことをいうらしい。
最初に登山口からここに入って行ったときには「とんでもねぇとこにきちまった。
と正直思った。
こんな上りと、当然登った分の下りのループが10数キロ延々と続くのだが、登板中の心拍数は150〜170くらいまで上がり続けたし、しっかり途中から口の中で血の味が出始まったので、初心者コースのくせに普通に強度が高い。
ちなみに使用していたYAMAPアプリ情報によると、合計で4000kcalほど消費していたらしい。食事を2000kcal取ったとしても、差分は2000kcal、約3.5日で1kgほど痩せるという計算に。つまり、ひと月でマイナス10kgも夢ではない、ということになる。
あと、坂よりも階段、そして下りという組み合わせが一番やばい。(ネットの情報は本当だったんだ!)
上りは心臓にくるけど、下りは脚に痛みがくる。
階段は歩幅の調整が利かないので、小幅で歩くということができない。
更に、俺のように体重が重い人間は、自分の脂肪や筋肉がそのまま「重り」となって関節部分への負担になってくる。
思っていた以上に高強度なアクティビティなので、それなりに覚悟と忍耐力が必要だ、ということがよくわかった。
なお、知り合いの都内在住英国人……彼はスポーツサイクリングやトレイルランニングをしていて、俺が登ったコースを何度か走ったことがある……からメッセージをもらった。彼からしても「そのルートは初心者向けじゃない!」とのことだった。なるほど??

3.極度乾燥(しなさい)
日帰り登山であれば、服装について、足回り以外はそこまで気にする必要はない……

あるある

実際、アウター類は、風を防げて最低限の保温ができれば何でも良いと感じた。急な雨対策にも、100均やホームセンターのカッパでとりあえずは凌ぐこともできると思う。
ただ、一番の問題は汗なのだ、汗。正確には汗冷え。
山で汗が冷えると地獄。
自分が出した汗が衣類に留まり、山の空気で冷やされ、それが体温を奪い、一気に体調を「持っていかれる」。
特に俺のように大量の発汗をする人間は、着用している衣類によっては死亡遊戯一直線。
まさか自分の体温調節機能がこんなにも自分の身を苦しめるなんて……
そしてお腹が弱い民もマジで死活問題。山には、トイレがないのだ。お腹が冷えると……?!
つまるところ、どんどこ出てくる汗を即座に乾かして、素肌や衣服をドライに保つというのが極めて重要なポイントなのだ。アウターよりインナーの良し悪しが登山の快適度合いを左右しているといっても過言ではない。と思う。

僕たちのお気に入りのブランドもそう言っている


さて、どうしよう?

解決してくれたのは、羊と網でした。
ウールや。メリノウール。まずはワークマンから……いや、ワークマン「さん」から発売されているメリノウール素材のロンT、そしてスパッツ、アンダーパンツ、靴下。

ワークマンさん……!

暖かい上に、通気性がしっかりある。しかも臭いも付きにくい。丸一日着ていて、汗びっしょりになったが、勝手に乾いていたし不快な匂いとも無縁であった。
化繊ではこうはいかない。
ストリートから山まで、どこでも快適性を提供してくれるあったかあったかさん。家紋を羊にしてもいいくらい気持ち良い。
あと、価格が激安。一番高かったのはロンTだが、それでも税込2500円。他のブランドだと軽く3倍はするのではないだろうか?
ワークマンさんの企業努力に自分のQOLが支えられていることを実感。

次。ミレーの……いや、ミレー「さん」のあみあみTシャツ。

ミレーさん……!

正式名称ドライナミックメッシュ。友人からミレーの網Tはヤバいと聞いており、「ヤベェんだろうな」とおもっていたら、その外観を見て「あこれはヤベェわ」と納得。さらに、先般の縦走で10数時間着て「これはヤバいわ!」と一粒で3度美味しい逸品でした。
とにかくドライにしてくれる。BJJでも色々なラッシュガードを着てきたが、速乾力と着心地でこいつに及ぶものはない。
見た目はアレだが、当然こいつはインナー類の一番下に着る物なので、普通は人目に付かない。
完全に、縁の下の力持ちというわけだ。
防寒着や運動できる上下のウェアがあること前提だが、(そもそも汗が抜けない上着を着ていたら全て台無しになる)上に挙げたウェアは全て揃えても一万円程度。毎週やってたクラブ遊びを少しだけ我慢することでこれらの道具が手に入る、と考えると、これは実質無料なんですね。


おわりに
さて、諸々書いてきたが、全体を通してみると「登山、キツくね?」という結論に至っているように読めるのは決して勘違いではなく、「登山はキツイ!!」と胸を張って断言できる。
実際、時期が違えばアブやハチ、ヘビたくさんいるはずで、山域によっては熊に襲われる危険もある。
今回ファーストエイドキットとして持って行ったのは絆創膏と日焼け止めという最低限どころか舐め腐った装備で縦走していたので、もしより強力な「山を舐めるな(物理)」が発動した場合、キツイどころかこのメモを書くことができない状態になっていた可能性もあるわけで、ノーリスクな遊びとは言えない。(なお、下山後翌日に消毒液、痛み止め、包帯、追加のサポーター等も買った。ついでに携帯トイレも。)

しかしそれでもなお、俺はまだ山に登ってみたいと思っている。
降りて温泉に入ったあと、痛む脚のまま高幡不動にある某店に60L入るザックを買いに行ったし、降りた翌日に、泥まみれになった登山靴を洗って乾かしている。
なぜか?
それを追加の数千字で説明するのは疲れるし、できる気がしないので百聞は一見にしかず、とりま撮影してきた写真でも見てもろてなんとなく解って貰いたい。

紅葉でした
富士山
メインルートから外れた林道
Love…
登山口


温泉に1時間はいたのでも少し短め


それで結局創作の糧になったのか?

とりあえず山でフリースタイル動画撮ろうとは思ったよね。
あとはお楽しみに。


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