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Lil'Bくん(そしてボーカルをある程度綺麗に、かつなるべく安く録りたいアナタ)へのPAKIN的おすすめアイテム

PAKINです!

敬愛するラッパーのLil'Bくんが、Twitterでこんな呟きをしていました。

彼との付き合いも長いのですが、やっぱりCWCTと一緒に作ったこのEPが絶品でしてね。ヴォーカリストって感じで羨ましいわけです。

今週金曜日にもさらなるリリースがあるようなのでそっちも楽しみ!


さて、冒頭に戻るわけですが、なるほど、皆さんにも大いに身に覚えのある悩みだと思います。

これからレコーディングをしてみたい、でも何から選べば良いかわからないし楽器屋の無愛想な店員に初心者まるだしの質問をして鼻であしらわれるのはイヤ!特にラッパーやってるのになんで一々訳のわからないことをごちゃごちゃと考えないといけないんじゃコッチはただサクッとラップしてパリッとクラブに行きテェんだよ などなど...

非常によくあるお悩みですね。

でも大丈夫!そのお悩み、

私がパリッと解決します。

不肖私、ラッパーなのにレコーディングやミキシングにハマってしまい、有り金をやたら機材やらソフトウェアやらに使い込んできた、いわば「機材芸人」
個人で購入しているので、「「ガチ」」なスタジオやプロの方には敵いませんが、ミニバンなら新車で買えるくらいの金額は使い込んでまいりました。

機材集め、楽しいですよね.…

新しい機材を買ったら即「My new gear...」。
水着のチャンネー、筋肉もりもりマッチョマンもなんのその。
自慢のオモチャをTwitterやインスタで見せびらかすのはとても素敵な経験です!

皆さんもどんどんMy new gearできるよう、微力ながら精一杯お手伝いしていきたいと思います!

以下、個人的なおすすめを列挙していきますが、もし「え?PAKIN君、この内容まちがってんじゃん?しかも抜けてる所あるし……キミ、本当に機材芸人このままやってくつもりなの?もしかして機材ナメてない?」みたいな点があったら鬼の首を取ったかの様に大声で教えてください


条件
ボーカルがある程度綺麗に録れる。
なるべく安く。
👉機材一つあたりの価格の上限を大体10万円と設定。
👉ミキシング、マスタリングは他の人にお任せ。

では行ってみましょう。

絶対必須なやつ

DAWソフトウェア(録音するソフト)
Studio One Prime など

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※DAWソフトウェアについては無料版で十分。ただ、モノによってはトラック数に制限があるため、トラック数無制限のものを見つけること。上限があると常にそれを気にしてレコーディングしたいといけなくなる。精神的によくない。
逆にいうと、トラック数を無限に作れるモノならなんでも良い。
チームで制作をしているなら、チームメンバーとDAWは揃えるのが吉。ファイルのやり取りがすごい簡単になる。

ちなみにStudio Oneをおすすめする理由は2つある。

1つに「音質がいい」と言われていること。これの正体、音がくっきりはっきり鳴るということじゃないかなーと自分は思っている。ネットの海にいるガチ勢の方の意見を引用すると、トランジェントがはっきり出てきすぎてオケ同士が馴染まない、とのこと。(トランジェントって何って人はググって。)その人はS1の音質は自分には向かないって文脈で上記の通り語っていたわけですが、俺は逆にすごいラップミュージック向けだなーと思ったんです。ラップってトランジェントの塊だから。ダンスミュージック全般そうだけどさ。

2つ目に、「軽い」。動作がともかく軽い。立ち上がりに30秒かからない。前に他人のCubase(これも有名なDAWソフト)の立ち上げ時間を測った時あるんだけど、全然1分超えてた。


マイク
Neumann TLM103 またはTLM102
Blue Rocket Stage One もしくはBaby bottle
Audio Technica AT4050
Lewitt LCT 540
Aston Microphones AST-Origin などなど

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※マイクは、レコーディングした際の音が自分の声に合う、合わないが一番出るので、基本的には楽器屋で試聴した方がベター。

Neumannはレコーディングの現場で鉄板。(高いU87Aiの方だけど)
Blueもファン多いよね、俺は個人的にルックスが苦手で使ってないけど。悩んだらとりあえずルックスで選べば良い。ルックス大事。ガワがよければ全て良くなる。
オーテクはマジで無難、なんでもいいならとりまオーテク。下のグレードの20シリーズでも可。悩んだらオーテク、答えが出ないならオーテク。俺はオーテクからの回し者ではない……
LewittとAstonは個人的にこの価格帯では注目してる。なんか最近のマイクって感じがすごいする。どこがって?なんとなく!あとガワがイケてる。
10万円以下のマイクはものすごい数のメーカー、機種があるので、値段と録り音を天秤にかけて検討するのが良い。前述の通り、マイクは絶対試聴。例え自分が行った楽器屋にクソ無愛想でテキトーな店員しかいなくても、だ。
録り音の何処を聴いて良し悪しを判断するのか、だけど、個人的には録り音がやたらと派手になるマイクは控えてます。R社のNなんとかに代表される、味付けが強烈な低価格帯マイクは、大体ミキシング段で破綻する。破綻するっつーか「え、どうすんのこれ」ってなる。新人君を信じて任せた初めての案件が大炎上した時の気持ちに似てる。EQで切っても切っても変なところがぼこっと強調されたり、やたらと音が痩せたり。キャンキャンしたり、ギンギンしたりする。

まぁここで紹介してる大体のマイクって10万円以下だから、マイクの世界で言うと全部低価格帯なんだけど。

自分の中で一つ基準になる音があれば、それと比較して選ぶことができるんだけど、一番最初はそれすら難しいわけだ……なので、低価格帯〜ミドルレンジのマイクを選ぶにあたっての選定基準、俺だったら、自分が出せる予算プラス1〜3万円くらいまでの価格レンジで探します。

でも自分がいいなって思ったマイクを使ったらいいっす!自分の耳と機材を信じよう。Trust your  gear!


オーディオインターフェイス
Baby face pro fs, Solid State Logic SSL2 +

Universal Audio apollo twin MkⅡまたはArrow

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※オーディオインターフェイスは基本的に内蔵されているチップの性能と値段が比例するので、低価格帯から選ぶなら音質はあまり気にしすぎない方が良い。気がする。精神衛生上よくない。

それよりも、作業スペースに置ける大きさや、独自機能が自分の制作スタイルにマッチするかが非常に大事。例えばSSL2+なら同社の有名コンソール、SSL4000の様な色付けをするスイッチがついている。スイッチを押すとどうなるか?勝手に音が良くなる!(はず。)
簡単に録り音を良くできるって凄い良い。インスタントラーメンみたいなお手軽さでパリッとしたボーカル録れるって、レコーディングなんてとっとと終わらせてそのまま飲み屋にしけこみたい僕らのよつな人種にとってはスーパー大事。
また、基本的には発売された時期が新しいものを選ぶこと。チップの性能は日々進化してるので、同じ価格の機種同士なら、新しいものの方が性能が高い(はず)。
Universal AudioのIFは独特で、ソフトウェアでマイクプリアンプを再現し、遅延ほぼ無しでの「掛け録り」を行うことができる。これを使う場合、マイクプリアンプは必要ない。別売のUADってソフトウェアを買う必要あるけど、実機と比較してめちゃくちゃ価格を浮かせることができる。マイクプリアンプって何って人はこれ読んで。
https://otokake.com/matome/5iwS0D

まぁUADって名前の沼でもあるんだけどさ……

最後に、RMEが最近出したBabyface pro fs、これはもし予算が許すなら是非検討してほしい。バスパワー稼働だからコンセント要らず、コンパクトでRME設計の高品質チップと、この機種からSteady Clockっていう、なんつーか、凄い正確な周波数を作るシステムが入って非常に正確なサンプリング周波数でのAD/DA変換が。

……とにかく凄い音質が良くなったんです。クロックについて知りたい人はこれよんで。しょーじき俺も正確に理解できてねーっす。

https://vook.vc/n/1063

その他、

ポップガード

ポップガードは布製と金属製の2タイプあるが、個人的には金属製の一択。抜け感が違う。
ポップガードも非常に種類が多く、何を選べばいいか悩むところだが、STEDMANなどの有名メーカーはやはり強い。これも、可能であれば色々なメーカーのものを楽器屋で試すこと。

ケーブル、マイクスタンド、マイク用のショックマウント


上の三つは(今は)そこまでこだわりすぎなくて良い。基本的にはNeumann以外は、ショックマウントマイクを買った時についてくるはず。ケーブルならMogami、Canareを選んでおけばOK。
注意点として、かならずマイクと機材の入出力にあったものを買うこと。基本的にはXLRでの接続になるはずだが、時々ファーンケーブルなど有り。入出力の形状は機材毎に違うからその辺は買ったお店で合うものを見繕って貰えばOK。スタンドはお好みで。

ヘッドフォン

YAMAHA HPH-MT8, Audio Technica ATH-50x, Sony MDR-CD900ST  など

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宅録するならスピーカーよりヘッドフォン。というか、最悪ヘッドフォンしかいらない。しかしヘッドフォン、一番お勧めしにくい。なんでかっていうと、自分の頭の大きさによって合う合わないが如実に出るから。

まず最初に、ヘッドフォンは消耗品なので、交換パーツがある製品以外、高いやつ買うのはほんのりと覚悟して買った方が良い。あと、レコーディングする前提であれば絶対「密閉型」のやつを買うこと。開放型だと音漏れして自分の声と一緒にレコーディングできちゃう。よくない。

なので、個人的にお勧めはDJ用モニターヘッドフォン。爆音の環境で聴くために十分に密閉されてるってことと、ボーカルをきちっと聞き取ることができるから。オーテクのATH-50はずっと使ってた。

あと、レコーディング時には使ったことないけど、YAMAHA HPH-MT8。マスタリングエンジニアの方が絶賛していた。聞いてみたけど、落ち着いている音かと思いきやそんなことなく密閉型らしくバチっとなってくれる。細かい粗探しに向いてるなーとは思うけど、レコーディング時に変なノイズが乗ってないか確認するにはいいんじゃないかな?と思う。あとガワがイケてる。

ネットを眺めてると右も左もネコも杓子もソニーの900STをお勧めしておりますが、俺はマジであれ大嫌い。一応候補に載っけたけど。リハスタに常備されてるやつ使ったことが一度だけあるんだけど、その一回の使用で今後絶対使わないってなった。鳴り方も好きじゃないし、俺の場合、多少耳への側圧が強いやつじゃないとラップしてるときにズレそうでダメ。リハスタのやつがヘタれてたのかもだけど、すごい側圧弱い印象。ただ、耳のすぐそばで音が鳴るので、レコーディングには向いてると思う。

なんどもいうように、試聴してみて、自分に合えばそれでオッケーなんで!かの有名なJapanese DUBの天才、Dub Master X氏も、90年代の自宅スタジオで完パケしたものは全部900STで作っていたらしいですので。結局、自分に合うかあわないか、な気がします。


あればさらに良いもの

マイクプリアンプ
Warm Audio WA-73またはWA12 MarkⅡ
Golden Age Project Pre-73
Forcus Lite ISA One analog
Art Tube mp



マイク同様、マイクプリアンプは音質向上に直結するけど好みに左右されやすい難しいマシン、でもマイクプリを入れるだけで、いいやつならマイク単品と比べて5レベルくらい音質が良くなる。やはり試聴推奨。
Warm Audioは絶賛する楽器店員さんもおり、オススメ。この価格であの名機の再現したマシンが買えちゃうんですか!?みたいなワクワク感がある。ともかく安さが半端じゃない、Neve 1073のクローンがこの価格で買えるの……?大丈夫?破産しない?
Goiden Age Projectは、汚しすぎと感じるか、アナログの太くなる感じがたまらねぇ!と感じるかで評価が分かれると思う。個人的には有り。あとガワがいけてる。
ISA Oneが5万円前後の価格帯ではやはり支配的。だが、以前と比べこの辺の価格帯の選択肢が増えた。たぶんまだまだwebの世界ではISA Oneをお勧めする記事が多いと思うけど、そこまでこだわりすぎなくてOK。でも普通にかっこいいから

最後のArtの真空管マイクプリ、この子はめちゃくちゃ安い。が、サウンドもノイズ乗ってる、なんでかっていうと中に入ってる真空管がチャチすぎるから

買った瞬間に速攻で中に入っている真空管を別のものに入れ替えちゃうのおすすめ。おすすめの真空管はネットのレビュー記事に大量に乗っかってるから好きなものを選んでください。俺は大昔に買ったけど中に入れた球の名前は忘れちゃいました……


コンプレッサー

WARM AUDIO  WA76, Shinya's Studio 1U76 Rev.D, FMR AUDIO RNC1773, KLARK TEKNIK KT-2A など

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正直に言いましょう、俺は単体でのアナログコンプレッサーは使ったことがない。

機材芸人を名乗ることなど本当は許されないのだ。

だってわざわざ機材の数増やしたくなくてチャンネルストリップに行っちゃったんだもん。10万円以下のチャンネルストリップって無いから紹介できないし。

でも、上にあげた低価格帯の有名どころ、行っちゃっていいんじゃないでしょうか?特に1176モデリングのコンプレッサーはみんな「何にでも使っちゃう。」って言いますよねーわかるー。画像はLA-2AのクローンKT-2Aだけど。俺は1176のことは好きなんだけど、でもふとLA-2Aのことを思い出して体をLA-2Aに委ねてしまう派。1176のレシオ全押しフルテンバツバツの、グイグイ迫ってくる男らしさに「自分は求められているんだ」って満足感を得ることができるんだけど、でもLA-2Aの、どれだけ強く突っ込んでもフワンっと受け止めてくれる優しさにどうしても甘えてしまう。その優しさに甘えちゃだめだよって分かっていても、ついまたLA-2Aの所に戻ってしまうんですよね……

まあ全部プラグインでしか使ったことしかないんですけどね。

気になっているものといえばShinya's Studioさんの1176クローン。今買うなら、5、6万円代行くよりちょっとお金貯めてこれ買った方が良い気がする。オプションのInput SelectとS.C.HPFもつけちゃいたい。

代わりに、俺の思うコンプレッサーの良し悪しをば。「音質の向上」、という意味では、いいマイク、いいマイクプリ、そしていいオーディオインターフェイスがあれば完結すると思う。

でも、そもそも歌いやすさ、ラップのしやすさということを考えた時に、コンプレッサーは非常に重要。

コンプレッサーの基本的な使い方としては、「音量自動調整マシーン」のはず。(大きい音を小さく、代わりに、小さい音を持ち上げる。)音量が安定することで、歌いやすくなる。結果として、ヴォーカルの品質そのものが向上する、というわけ。(そのほか、味付け、という側面もありますけど。)

ただそう考えると、理想としてはコンプレッサーの助け無しで自分の声をコントロールするのが一番ですよね。コンプって薬物みたいなもんでさ。掛けすぎと頼りすぎは危ないと思う。コンプに頼りすぎると、掛け録りしているときはいいんだけど、いざライブで歌ってみたら、全く自分の声が安定しない……なんてことになりかねないんじゃないかなあ?とは思ってるヨ!

あと、コンプを強くかけすぎるとめっちゃぺラーイサウンドになるからみんな気をつけるんだゾ!


気がついたら変なテンションでこの記事を書いてしまった。

まとめとして、俺はコンプレッサー以外をまず揃えることをお勧めします。あとは実際に楽器屋で試そう。

試せる楽器屋が近くに無い。そんな時はyoutube。多少は機材動画あるよ。聞かないよりは100倍マシだと思う。あと、レビューサイトで音源あげてくれてる有志もいらっしゃいますので、そういう方のレビューも参考にして。

最後に一言。

レコーディング、マジでどんな機材使っても、

結局、部屋の吸音環境と、

ヴォーカリストの力量次第だから。

頼むよ。


あと、Lil'Bくんごめんなさい、コロナの影響でわけのわからないテンションで突っ走ったらこんなわけのわからない長文になったわ、読んでくれてたらありがとう。。。

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